この記事の要点
- 2026年4月3日、ブラジル中央銀行のPix国際化計画が明らかに
- 2027年を目標に越境決済へ本格対応、予算確保が条件
- 海外送金の手数料大幅低下につながる見込み
- 2025年取引高は約1,094兆円相当、過去最高を更新
ブラジルPix、越境決済に2027年対応へ
2026年4月3日、ブラジル中央銀行が、国内で1億7,500万人のユーザーを抱える即時決済プラットフォーム「Pix(ピックス)」の国際化を計画していることが明らかになりました。
地元メディア「G1」の報道によると、現在は特定店舗に限定されている海外対応を、各国の即時決済ネットワークと連携する本格的な国際展開へ移行する方針です。
現時点では、アルゼンチンや米国(マイアミ・オーランド)、ポルトガル(リスボン)など一部地域で利用されていますが、今後はより多くの国や地域で利用可能となる体制整備が進められる見通しです。
実現時期は2027年を目標としており、中央銀行による予算確保や技術整備が前提条件になるとみられています。
海外在住のブラジル人や出稼ぎ労働者が、SWIFT(国際送金ネットワーク)や送金専業サービスを経由せずに母国へ資金を送れるようになれば、送金手数料の大幅な低下につながる見込みで、国際化計画への注目が高まっています。
ブラジルの金融機関向けに3機能展開
Pix5年の実績と国際化がもたらす変化
2025年取引高35兆レアル、Pixが記録塗り替え
Pixは2020年にブラジル中央銀行が導入した即時決済プラットフォームで、個人・法人・政府機関の間で24時間365日リアルタイムの資金移動に対応しています。
G1によれば、2025年のPix取引総額は35.36兆レアル(約1,094兆円)と過去最高(前年比33.6%増)を記録しました。加えて、数百万人規模の金融包摂にも貢献したとされています。
世界的な注目を集める一方、ドナルド・トランプ米大統領は2026年4月1日、PixがVisaやMastercardなど米系カード会社に不利益をもたらすと批判しました。
これに対し、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は「誰もPixを変えさせることはできない」と即座に反論しており、Pixが単なる決済サービスを超えた政治的にも重要な国家インフラとなっていることが示されました。
Pix国際化とあわせ追加される6つの新機能
中央銀行は2027年に向けた国際化とあわせ、2026年中にも以下の機能追加を進めるとしています。
| 機能 | 概要 | 予定時期 |
|---|---|---|
| ハイブリッド請求 | QRコードで銀行振込(boleto)との併用決済を義務化 | 2026年11月 |
| 電子手形支払い | 受取債権の即時決済・割引に対応 | 2026年内 |
| 税務スプリット | 消費税改革に伴うリアルタイム納税に対応 | 2027年〜 |
| Pix国際化 | 国家間の恒久的な越境決済インターオペラビリティ | 2027年(条件付き) |
| Pix担保融資 | フリーランス・個人事業主向け将来受取債権担保ローン | 2027年(条件付き) |
| オフラインPix | Wi-Fi・5G非接続環境での非接触決済 | 2027年(条件付き) |
とくに国際送金機能が実現すれば、海外在住のブラジル人や出稼ぎ労働者が、SWIFT(国際送金ネットワーク)や送金専業サービスを経由せずに母国へ資金を送れるようになります。
送金手数料の大幅な低下につながるとみられており、越境送金を必要とする層にとって利便性の大きな改善が期待されています。
国際化とあわせ、国内向けの信用機能拡張も検討されています。中央銀行はクレジット機能「Pixパルセラード(分割払い)」の標準化を進めており、現在クレジットカードを保有していない約6,000万人への新たな信用供与の枠組みについて議論が続いています。
Z世代の流入が加速するブラジル市場
Pixと仮想通貨、南米で融合加速
Pixの国際化計画が具体化する中、ラテンアメリカでは即時決済インフラと仮想通貨(暗号資産)市場の融合が進んでいます。
すでにアルゼンチンでは、ペソ安を背景にPixがテザー(USDT)などのステーブルコインへの入口(オンランプ)として機能しており、現地の仮想通貨ウォレットの90%以上がPixに対応しているとされています。
法定通貨が不安定な国ほど、即時・低コストで送金できるPixはステーブルコインへの資産移動を加速させる基盤となっており、国際化によって対応国が拡大すれば同様の構造が他地域にも波及するとみられています。
Pix国際化が実現し対応国が拡大すれば、こうした「Pix経由での仮想通貨アクセス」の構造がラテンアメリカ以外の地域にも広がる可能性があります。
ブラジル中央銀行が越境決済の標準化においてどこまで主導権を握るか、今後の政策判断が地域全体の送金市場と仮想通貨エコシステムの行方を決める焦点となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1レアル=30.94円)
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Source:地元メディア「G1」報道
サムネイル:AIによる生成画像




























