金融庁「特定暗号資産」を新定義|改正金商法の詳細設計を公表

金融庁「特定暗号資産」を新定義|改正金商法の詳細設計を公表

この記事の要点

  • 金融庁が2026年4月10日、改正金商法等の説明資料を公表
  • 発行者のある暗号資産を「特定暗号資産」と新たに定義
  • 開示・インサイダー・業者規制の詳細設計を一括で明示
  • インサイダー規制を新設し、暗号資産市場の制度を強化へ
目次

金融庁「特定暗号資産」を新たに定義

金融庁は2026年4月10日、金融商品取引法および資金決済法の一部を改正する法律案の説明資料を公表し、暗号資産規制の具体的な設計を明らかにしました。

資料は、同日に閣議決定された改正案の業者規制・情報公表・インサイダー取引規制の詳細を示すもので、発行者がいる暗号資産(仮想通貨)を「特定暗号資産」として新たに定義する方針が明記されました。

この区分により、IEO(Initial Exchange Offering)トークンのように発行者が存在する銘柄と、ビットコイン(BTC)のように発行者不在の銘柄で、情報開示義務の担い手が分かれることになります。

また金融庁は、不正流出に備える責任準備金の積立義務、新規口座開設直後のアンホステッド・ウォレットへの即時移転を制限する熟慮期間、ステルスマーケティング規制の対象追加なども盛り込みました。

改正案は今国会での成立を経て、公布から1年以内に施行される見通しで、投資家・発行者・交換業者のいずれにとっても準備が必要な制度変更とみられています。

開示・インサイダー・業者規制、改正金商法の3大論点

開示|「特定暗号資産」とは何か、BTCとの違いを整理

金融庁の資料によると、特定暗号資産とは「特定の者のみが当該暗号資産を発行する権限を有するもの」と定義され、発行者は募集・売出しにあたり、性質・機能・供給量・基盤技術などの基本情報をあらかじめ公表する義務を負います。

発行者は年1回の定期情報に加えて、重要な事象が生じた際には臨時情報の公表も求められ、虚偽記載には有価証券と同等のエンフォースメント(10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその併科、課徴金、民事責任)が適用されると説明されています。

一方、ビットコインのように発行者が存在しない銘柄については、取り扱う暗号資産取引業者自身が情報公表義務を負う構成とされており、発行主体の有無に応じて責任の所在が整理される形となりました。

発行者が分権化等により内閣総理大臣の承認を受けた場合には、継続的な情報公表義務が免除される仕組みも設けられており、金融庁はこれをイノベーション促進と投資家保護の両立を意識した制度設計だと説明しています。

インサイダー|暗号資産にも初の規制、対象3カテゴリを明示

インサイダー取引規制については、上場有価証券の枠組みをベースに、対象となる重要事実が3つのカテゴリに整理されました。

重要事実カテゴリ 具体例
発行者等に関する事実 発行者の解散等
取引業者に関する事実 暗号資産の取扱開始・中止等
大量売買者に関する事実 発行済量の20%以上の売買等

規制対象者は発行者の関係者・取引業者の関係者・大量売買を行う者の関係者に加え、これらの者から情報を受領した者まで含まれ、未公表情報の伝達や取引推奨も禁止されます。

罰則は上場有価証券と同水準の5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金またはその併科とされ、風説の流布・偽計や相場操縦行為と並んで課徴金制度の対象にも追加されると金融庁は説明しています。

現行の金商法では暗号資産のインサイダー取引を直接規制する規定が置かれていないため、取扱開始や大量売買などの未公表情報をもとにした取引が、今回の改正で初めて取り締まり対象に組み込まれることになります。

業者規制|未監査トークンに上限200万円、IEO投資が制限へ

業者規制の面では、不正流出が発生した際の顧客補償原資として責任準備金の積立が義務付けられ、管理する暗号資産の残高とセキュリティ水準に応じた積立率が今後の内閣府令で定められる見通しです。

これにより、取引所がハッキング被害に遭った場合でも、利用者保護の実効性向上が期待されます。

さらに、監査法人等による財務監査が行われていない特定暗号資産の募集・売出しについては、投資家側に投資上限が設定される見通しです。株式投資型クラウドファンディングと同様に「50万円を超える場合は収入または純資産の5%まで、上限200万円」という水準が想定されています。

監査済みと未監査の銘柄では投資可能額に差が生じることになり、IEOを通じて未監査トークンを購入する際には、希望する銘柄であっても一定額以上は取得できなくなる可能性があります。

新規口座開設直後にはアンホステッド・ウォレットへの即時移転を認めず熟慮期間を設ける措置や、対価を受けて取引判断に関する意見を表示する際の表示義務(ステルスマーケティング規制)の対象追加など、SNS経由の詐欺的勧誘を入口で防ぐ仕組みも整備されます。

政省令と銘柄分類が次の焦点に

今回の説明資料で示された詳細設計は、2025年12月の金融審議会ワーキング・グループ最終報告書の提言を立法措置として具体化したもので、暗号資産を投資商品として扱う制度基盤の全体像がより明確になりました。

今後は国会審議の行方に加え、責任準備金の積立率・投資上限の具体水準・分権化の認定基準など、実務を左右する政省令の整備が焦点となります。

投資家にとっては、手元の銘柄や購入候補が「特定暗号資産」に該当するかを早期に見極めることが、施行後の取引判断の鍵となりそうです。

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Source:金融庁発表
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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