この記事の要点
- ブラックロック「BTC量子防御は優位」と分析
- 9社が量子耐性組織設立、1,500万ドル拠出へ
まずはビットコイン量子リスクを詳しく
量子耐性への移行は「攻撃より容易」
米BlackRock(ブラックロック)が新たなレポート「量子コンピューティングとブロックチェーン」を公開しました。
レポートでは、既存の暗号システムを量子耐性規格へ更新する作業のほうが、ビットコイン(BTC)の暗号を破れる量子コンピュータを構築するよりはるかに容易だとして、現時点では防御側が優位にあるとの見方を示しています。
また同社は、量子コンピュータの開発競争は着実に進んでいると指摘しており、脅威が現実化する前に量子耐性暗号への移行を進めることが重要だと位置付けています。
同日には、ブラックロックを含む金融機関やビットコイン関連企業9社が、量子時代を見据えた新組織「Bitcoin Security Consortium(ビットコイン・セキュリティ・コンソーシアム)」の設立も発表しました。
耐量子暗号で大統領令を発令
レポートが示す量子脅威と防御の到達点
「技術は十分、課題は時間」
防御側が優位とみる根拠についてブラックロックは、量子コンピュータの脅威が現実化する前に仮想通貨ネットワーク側が対応策を講じられる点を挙げています。
レポートでは「PQ(ポスト量子)移行は技術的な観点からは十分に対処可能で、主な課題はタイムリーな調整と実装にある」と述べ、障壁は技術そのものより関係者間の合意形成にあると強調しました。
ただし現時点ではビットコインの暗号を破れる水準の量子コンピュータは存在しておらず、実現には物理・工学の両面で大きな壁が残るとも指摘しています。
Google(グーグル)は量子対応への移行期限を2029年へ前倒ししており、IBMも2029〜2033年に大規模な量子計算の実現を目標に掲げています。
流通BTCの35%に公開鍵露出のリスク
移行を急ぐ背景としてレポートは、流通するビットコインの約35%にあたる約700万BTCが、公開鍵の露出によって量子攻撃に対し脆弱な状態にあると指摘しています。
このうち約190万BTCは公開鍵を直接公開する形式のアドレスに保有され、残りは過去の取引で公開鍵を露出したまま残高が残っているアドレスに集中しているといいます。
さらに所有者の死亡や秘密鍵の紛失で移行が困難な分として、Chainalysis(チェイナリシス)の推計を基に流通量の11〜19%が恒久的に失われる可能性にも言及しました。
ただし大半のビットコインは公開鍵を二重にハッシュ化して隠すアドレス形式で保有されており、攻撃経路の影響は限定的だともレポートは説明しています。
ブラックロックら9社が量子対策組織を設立
こうしたリスク評価を踏まえ設立されたビットコイン・セキュリティ・コンソーシアムには、ブラックロックのほかCoinbase(コインベース)やStrategy(ストラテジー)など計9社が発起メンバーとして名を連ねています。
Fidelity Digital Assets(フィデリティ・デジタル・アセッツ)やBlock(ブロック)、Galaxy(ギャラクシー)など、カストディ(資産の保管・管理)や決済分野の企業も参加しました。
参加各社は3年間で総額1,500万ドル(約24億円)を拠出し、量子耐性暗号への対応を含むビットコインの長期的な安全性に取り組む開発者や研究者への資金提供を進める方針です。
資金は中央で一括管理せず各社が支援先を独自に選定する方式が採用されており、コンソーシアム自体はプロトコル変更に賛否を示さない立場を明らかにしています。
量子コンピュータがBTCを襲う日
官民連携で量子耐性BTC移行が本格化
開発の現場では、量子攻撃に弱い鍵の経路を取り除く改善提案「BIP-360」の審議が草案段階で進んでおり、導入されれば公開鍵の露出を狙う攻撃から利用者を保護できるとレポートは説明しています。
各国政府もNIST(米国立標準技術研究所)が掲げる2035年を目安に量子耐性暗号への移行計画を進めており、民間の資金支援と公的な標準化の両面で準備が進められています。
民間でも、ビットコイン・セキュリティ・コンソーシアムが開発者や研究者への資金提供を通じ、量子耐性暗号への移行を後押しする方針を示しています。
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Source:BlackRockレポート
サムネイル:AIによる生成画像


























