エストニア中銀:中央銀行デジタル通貨(CBDC)の「研究プロジェクト」立ち上げ
エストニアの中央銀行である「エストニア銀行(Eesti Pank)」は2020年10月2日に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の運用に同国のデジタル行政サービスで活用されている基盤技術が適合できるかどうかを調査することなどを目的とした研究プロジェクトを立ち上げたことを発表しました。
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中央銀行デジタル通貨の「研究プロジェクト」立ち上げ
エストニア銀行(Eesti Pank)は2020年10月2日に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の運用に同国のデジタル行政サービスで活用されている基盤技術が適合できるかどうかを調査することなどを目的とした研究プロジェクトを立ち上げたことを発表しました。
ブロックチェーンや仮想通貨を早い時期から積極的に取り入れているエストニアでは、すでに行政サービスのデジタル化などでブロックチェーン技術が活用されており、エストニアの「Guardtime(ガードタイム)社」によって開発された「KSIブロックチェーン」と呼ばれる技術が実際に利用されています。
今回立ち上げられた「中央銀行デジタル通貨の研究プロジェクト」は、このKSIブロックチェーンを基盤としたソリューションが中央銀行デジタル通貨(CBDC)のインフラとして適しているかどうかを確認することなどを目的としたものであり、この他にも「デジタルID」や「その他のデジタル行政ソリューション」を使用することによって提供できる新しい決済ソリューションの調査も実施すると説明されています。
CBDCの要件を満たすプラットフォームの構築方法を検討
エストニア銀行のCBDC研究プロジェクトにはテクノロジー企業である「Guardtime」や「SW7Goup」が協力しており、プロジェクト自体は今後2年間に渡って複数のフェーズに分けて実行されていくと報告されています。
公式発表によると、第1フェーズでは『速度・セキュリティ・プライバシー・回復力などを含めた中央銀行デジタル通貨の厳しい要件を満たす、スケーラブルで実用的な安全なプラットフォームを構築する方法』を検討するとのことです。
エストニア銀行の決済システム部門責任者であるRainer Olt(ライナー・オルト)氏は、中央銀行デジタル通貨の研究プロジェクトについて次のようにコメントしています。
小さな中央銀行である「エストニア銀行」は、ユーロ圏の中央銀行が開発するプロジェクトの中から私たちが大きく貢献できるものを慎重に選んでいます。エストニアは長年に渡って、安全かつプライベートで効率的な電子政府を維持するための独自ノウハウを開発してきました。
エストニアのユニークで豊富な経験は、テクノロジー企業である「SW7Goup」や「Guardtime」とプロジェクトを立ち上げ、技術的な機会を探るための良いきっかけとなりました。「Guardtime」はブロックチェーン分野における長期的な協力パートナーであり、この分野における世界のトップ企業です。
エストニア銀行は今回の発表の中で、今回立ち上げられたCBDC研究プロジェクトが新しい方面から取り組む最初の取り組みの1つであることを説明しており、エストニアの金融・決済分野で開発を行っている民間企業にも協力を求めています。