金融庁と経済産業省が「企業が自社で発行・保有する暗号資産に対する課税方法」を見直す方針を固めたことが明らかになりました。この課税方法見直しは”国内スタートアップ企業の海外流出を防ぐこと”を目的としたもので、新興企業が新規発行した暗号資産にかかる税金の負担を軽減させるルールの導入が検討されていると報告されています。
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「売却など利益発生時に初めて課税する仕組み」を検討
金融庁と経済産業省が「企業が自社で発行・保有する暗号資産に対する課税方法」を見直す方針を固めたことが明らかになりました。このことは2022年8月24日に「読売新聞」などによって報じられていましたが、同日24日には自民党の平将明議員も読売新聞の記事を引用ツイートする形でこのことを報告しています。
ここ最近では「暗号資産関連のスタートアップ企業が独自トークンなどを発行・販売する」というケースが世界的に増えてきていますが、現在の日本の税制は「企業が期末まで暗号資産を保有していた場合には、期末時の時価に基づいて”保有している暗号資産の含み益”にも課税される」という仕組みとなっています。
暗号資産を発行・販売する新興企業の多くは「発行した暗号資産の一部を投資家に売却して資金を調達する」と同時に「議決権を確保するために自社で一定の暗号資産を保有する」という方法をとっていますが、現在の日本の税制では「売却した暗号資産」と「保有し続けている暗号資産」の両方に税金がかかるため、『日本の暗号資産スタートアップが税金の負担を減らすために海外へと拠点を移している』という問題が発生していました。
今回の課税方法見直しはそのような「国内スタートアップ企業の海外流出」を防ぐことを目的としたもので、金融庁などが検討する新たな仕組みでは『発行した企業が自ら保有する暗号資産については期末の時価評価の対象から外し、売却などで利益が生じた時点で初めて課税する』という仕組みに変更することが検討されていると報じられています。
新しい期末課税のルールについては「2023年度税制改正」で議論される予定だと報告されており、この課税方法が正式に採用されれば日本国内で暗号資産を新規発行してビジネスを立ち上げる際の税金負担が軽減されるため、暗号資産関連の新興企業創出につながり、日本国内のWeb3.0(分散型ウェブ)発展にもつながると期待されています。
なお、日本国内の暗号資産業界団体などは、以前から「暗号資産取引の利益への課税方法を”20%の申告分離課税”とすること」や「暗号資産取引の損失は翌年以降3年間、暗号資産に関する所得金額から繰越控除できるようにすること」なども求めています。