米国の資産運用会社であるFidelity Investments(フィデリティ・インベストメンツ)が、仮想通貨取引所を構築するために人員採用に向けた取り組みを行なっていることが6月6日に明らかになりました。
フィデリティ(Fidelity)とは
フィデリティ(Fidelity)は、世界でも有数のネットワークと歴史を誇る独立系の資産運用グループです。
数兆ドルの資産を管理していると言われるFidelityは、1946年にエドワード・C・ジョンソン2世が米国のボストンに資産運用会社を創設したことによってスタートし、それから半世紀以上にわたって世界の主要なマーケットにおいて、個人投資家から機関投資家までの幅広いニーズに対応した資産運用サービスを提供しています。
仮想通貨取引事業に参入
6日にBusiness Insidergが報じた内容によると、マサチューセッツ州ボストンに本社を置くFidelityは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方に仮想通貨取引所を作成して展開するためにDevOpsシステムエンジニアを探しているとのことです。
この件に詳しい匿名の人物によると、フィデリティは現在2兆4000億ドル(約264兆円)の資産を管理しており、約1年間をかけた計画に取り組んでいるとのことです。
同社はこの他にも、ビットコイン(BTC)やその他の仮想通貨のためのファーストクラスのカストディアン(資産管理)サービスを開発するスタッフも求めています。
後者は、企業の限られた仮想通貨関連サービスを扱うフィデリティデジタル資産サービス部門に属するとされています。
選ばれたクライアントは現在、CoinbaseアカウントをFidelityポートフォリオにリンクすることができ、他の投資とともにFidelityプラットフォームでの仮想通貨の保有状況を確認することができるため、この新しいサービスによってFidelityで仮想通貨を直接保有することができるようになります。
しかし現時点では、仮想通貨取引が主要なFidelityプラットフォームで利用可能になるのか、会社の傘下にある別個のエンティティとして存在するのかは明らかにされておらず、サービスがいつから開始されるかについても詳しい情報はわかっていません。
市場に与える影響
仮想通貨取引所を開始するFidelityほどの大企業は、昨年の好況にもかかわらず、依然として多くの機関に懐疑的な見方をする業界に信頼性をもたらすことに貢献すると考えられています。
Abigail Johnson(アビゲイル・ジョンソン)CEOののリーダーシップの下で、フィデリティは発展しかけている仮想通貨の資産クラスに重大な影響を与える最初の機関の1つでした。
彼女は昨年5月仮想通貨業界で行われた会議の中で「私は信者である」と語っています。
「私は今日、仮想通貨をあきらめていない大手金融サービス会社から数少ない立場に立っています。」
ジョンソン氏は、同社がいくつかの業界企業にベンチャー投資を行っており教育目的で主に設立されたとしても「実際にたくさんのお金を稼いでいる」と述べています。
同社の慈善団体は寄贈者がビットコインで寄付することもできるようにしているため年間数千万ドルの仮想通貨を収集し、2017年だけでも2200万ドル(約24億円)を集めています。
仮想通貨への評価
ここ数カ月の間では仮想通貨取引の評価が急上昇しています。
かつては不透明だった業界の数は、大規模な機関への正当性を証明するのに役立つライセンスの取得について規制当局に近づいてきました。
最近仮想通貨取引所Poloniexを買収したCircle社は、証券取引委員会(SEC)にブローカー・ディーラーおよび代替取引システム(ATS)として登録を行い、最終的に銀行ライセンスを取得する可能性があることを明らかにしました。
Coinbaseからはまだ公表されていませんが、同様の計画について議論していると伝えられています。
しかし、フィデリティのような大規模企業が仮想通貨取引事業を開始した場合には、他の金融商品とともにこの資産クラスの合法性を確固たるものにすることは間違いありません。
(引用:businessinsider.com)