北朝鮮、数十億ドルの仮想通貨盗難と報告|ウォレットをハックする手口とは?
北朝鮮、仮想通貨で数十億ドルを窃盗
大手IT企業マイクロソフトの研究者が、2024年11月21日に開催されたサイバーセキュリティ関連のイベントで、北朝鮮が数十億ドル相当の仮想通貨と機密データを盗んでいることを報告しました。
マイクロソフトのセキュリティ研究者によると、北朝鮮は継続的な犯罪行為によって数十億ドル(数千億円)相当の仮想通貨を盗むことに成功しています。また、なりすましや身分の偽造によって、何百もの世界的に活動するIT企業や組織に潜伏していると指摘しました。
このような背景から、研究者は「北朝鮮のITエンジニアは大きな脅威だ」と指摘しています。また、リモートワークが普及したことにより、北朝鮮の技術者が詐欺や窃盗を行いやすい環境が整っているとも述べました。
研究者によると、なりすましや身分の偽造によって発生している被害・脅威の具体的な例は以下のとおりです。
- 北朝鮮の兵器開発のために仮想通貨や金銭を盗む
- 軍事、制裁、政策関連の情報を盗む
- 兵器開発の資金を調達するために合法的なIT業務を行う
また、多くの北朝鮮のITエンジニアはロシアや中国などに派遣され、これらの国を経由して世界各国の企業と取引を行っているとも指摘しています。
VCになりすまし、ウォレットをハッキング
マイクロソフトが追跡している北朝鮮の犯罪集団の1つは、半年間で1,000万ドル(約15億円)相当を盗み出すことに成功しました。なりすましや偽装の手口は多岐にわたります。
一例として、ベンチャーキャピタリストになりすました事例が見られました。こういった事例では、ターゲットの会社への投資に興味があると見せかけて、近づきます。
上記の過程で、ターゲットとオンラインミーティングを行い、ミーティング中に画面がフリーズするなどの問題が発生したかのように偽装し、問題を解決するためのソフトをターゲットにダウンロードさせます。
しかし、そのソフトはマルウェア(悪意のあるソフトウェア)で、仮想通貨のウォレットや資産関連の情報を入手し、仮想通貨を盗み出しました。
この他にも採用担当者を装う者や、フィッシングなどの事例も見られました。また、なりすましの過程でAIを活用している事例もあり、AIによってGitHub・LinkedIn・Slackなどのプロフィールやポートフォリオを偽装したケースが確認されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.7円)
詐欺・ハッキングから資産を守る
Souce:Microsoft発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用