IMF、仮想通貨の国際基準を更新|ビットコインは非金融資産に

by BITTIMES   

IMFが仮想通貨の国際基準を更新

国際通貨基金(IMF)は2025年3月20日に、仮想通貨(暗号資産)を国際収支統計に組み入れるための新たな国際基準を発表しました。

IMFが発表した「国際収支および国際投資ポジションマニュアル第7版(BPM7)」では、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨が初めて詳細に取り扱われており、グローバルな統計基準にデジタル資産に関する指針が盛り込まれています。

この新たな国際基準によれば、ビットコインのように発行主体(負債の対応者)が存在しない仮想通貨は「非生産・非金融資産」と分類され、国際収支統計では資本勘定に計上されることになります。

一方、ステーブルコインなど発行者の負債を伴う仮想通貨は金融資産として扱われ、従来の通貨や預金と同様に金融勘定で管理されます。

IMFは世界160以上の国や地域の専門家との協議を経てこの基準を策定しました。これにより、各国が国際収支統計で仮想通貨の取引を正確に記録できるようになります。

国際基準更新の背景

仮想通貨市場の拡大に伴い、従来の統計手法とのギャップが指摘されてきました。現行の「国際収支マニュアル第6版(BPM6)」は2009年に策定されましたが、ビットコイン誕生直後であり、仮想通貨は考慮されていませんでした。

IMFの国際収支統計委員会(BOPCOM)では、2018年から仮想通貨の計上方法が議論されてきましたが、特に「発行主体を持たない資産」(ビットコインなど)の分類を巡り意見が対立していたことが報じられていました。

ステーブルコインは金融資産としての分類が早期に決まったものの、ビットコインは「金融資産」か「非金融資産」かで各国の対応が分かれていました。

こうした課題を受け、IMFはG20の「データギャップイニシアチブ(DGI)」の一環として、国際基準の見直しを進めてきました。BPM7の策定には160以上の国・地域が関与し、デジタル経済の進展を反映した形で基準が更新されました。

また、この改訂は「SNA(国民経済計算体系)2025」とも連動し、GDPなどの経済統計にも仮想通貨が反映される見通しです。IMFは各国に対し、新基準(BPM7)およびSNA2025を2029~2030年までに導入するよう推奨しており、今後数年をかけて統計のアップデートが進むことになります。

仮想通貨市場はIMF新基準でどう変わる?

仮想通貨取引の統計上の扱いが明確化

仮想通貨の国際取引が公式統計に反映されることで、資本移動が可視化され、各国の経常収支や資本収支バランスへの影響がより明確になるとみられます。

ブラジルでは統計手法の変更により、経常赤字が大幅に縮小する見込みとなっており、新基準の影響の大きさが示されています。

メリット:透明性向上と市場の成熟化

新基準の導入により、統計処理が統一されることで、仮想通貨の資金フローの追跡が容易になります。公式統計に組み込まれることは、市場の成熟を示す要素の一つと考えられ、大手機関投資家の参入を促す可能性もあります。

また、マイニングステーキングの収益が「サービス輸出」として計上されることで、仮想通貨関連ビジネスの経済的意義がより明確になります。

デメリット:実施の難しさと規制強化の懸念

一方で、統計への反映には匿名性の高い取引の把握や、海外取引所のデータ管理といった実務上の課題も指摘されています。また、仮想通貨が統計上明確に分類されることで、各国における規制強化や課税の対象拡大につながる可能性もあります。

IMFは仮想通貨を「資産」として扱う一方で、「通貨」としては認めておらず、公的通貨との明確な線引きが改めて示されました。

代表的な仮想通貨の取り扱い

ビットコインは「非生産・非金融資産」として分類され、国際収支統計上は資本勘定に計上されることになります。イーサリアム(ETH)のようなスマートコントラクト対応資産については、用途や保有目的に応じた分類が今後議論される可能性があります。

ステーブルコインのうち、法定通貨建ての銘柄(USDTUSDCなど)は「通貨・預金」として扱われ、金融収支に計上される見込みです。

制度化が進む仮想通貨市場

今回のIMFの新基準発表は、広がりを見せる仮想通貨の主流化トレンドと歩調を合わせるためのものと見られています。

2024年以降、世界各地で仮想通貨に関する規制整備や採用拡大が進んでおり、特に欧州連合(EU)は「MiCA(仮想通貨市場規制)」を承認し、2024年12月30日に全面施行されています。

最近の調査によれば、83%の金融機関が2025年に仮想通貨への投資比率を増加させる計画を立てており、多くがDeFiプラットフォームを活用する見込みです。

各国が新基準に基づくデータを蓄積・公開することで、信頼性のある情報基盤が整い、仮想通貨が経済の一部として定着する未来がより現実味を帯びてきています。

新基準の導入は2029年までに各国で完了する予定ですが、国によって導入ペースや規制の強化度合いが異なることが予想されます。

投資家にとっては、仮想通貨がより明確に金融システムに組み込まれることで市場の信頼性が高まる一方、各国の規制強化や課税動向に注意を払う必要があります。

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Souce:IMF公式発表「BPM7」
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像

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