ソフトバンクら支援企業がBTC大量取得
米国のビットコイン(BTC)投資ベンチャー企業「Twenty One Capital(トゥエンティワン・キャピタル)」が2025年5月13日、約4億5,870万ドル(約675億円)相当のビットコイン「4,812 BTC」を購入したことが明らかになりました。
SEC(米国証券取引委員会)に提出された文書によると、この巨額のビットコイン購入は、同社が特別買収目的会社(SPAC)「カンター・エクイティ・パートナーズ」との合併を通じて新規株式公開(IPO)を目指す過程で実施されたものです。
Twenty One Capitalは、決済サービスのStrike(ストライク)社創業者であるジャック・マーラーズ氏が率いるビットコイン投資会社です。USDT発行元のテザー社や日本のソフトバンクグループ、仮想通貨取引所ビットフィネックスなどが主要出資者として参画しています。
今回購入した4,812 BTCは、平均購入価格が1 BTCあたり95,319.83ドルで、5月9日付でテザー社によって取得されました。これらのビットコインは現在、テザー社が管理するウォレットに保管されています。
このビットコインは、SPAC合併手続き完了時にTwenty One Capital側へ4億5,870万ドルで売却・引き渡される契約となっており、取得額と同額で新会社の準備資産として貸借対照表に組み入れられる予定です。
ソフトバンクら出資のBTCベンチャー設立
Twenty One Capitalが進めるNASDAQ上場計画
金融大手カンター系SPACとの合併契約を締結
Twenty One Capitalは2025年4月、金融大手カンター・フィッツジェラルド系のSPAC「Cantor Equity Partners(カンター・エクイティ・パートナーズ)」と合併契約を締結して発足したビットコイン特化型投資企業です。
同社は「1株あたりの仮想通貨ビットコイン保有量(Bitcoin Ownership Per Share:BOPS)の最大化」を経営方針として掲げており、企業価値36億ドル(約5,300億円)の評価で米国NASDAQ市場への上場を目指しています。
合併完了後、Twenty One Capitalの株式銘柄コード(ティッカーシンボル)は「XXI」となる予定で、それまではSPAC側の「CEP」銘柄が引き続きNASDAQ市場に上場されています。
資金調達とビットコイン購入計画
今回のビットコイン購入は、同社が調達した資金を用いて行われたものです。
Twenty One Capitalとカンター・エクイティ・パートナーズは合併に先立ち、転換社債による3億8,500万ドルと株式による2億ドルのパイプ投資(私募増資)で合計5億8,500万ドル(約867億円)の追加資金調達契約を締結しました。これらの資金はすべてビットコインの追加購入や事業運営に充てられる計画です。
この資金調達計画に基づき、同社は創業段階で42,000 BTC(約43億ドル/約6,400億円相当)以上の仮想通貨ビットコインを保有する見込みです。この目標が実現すれば、同社は世界第3位のビットコイン保有企業に躍り出ることになります。
BTC保有数ランキング(画像:Bitcoin Treasuries)
機関投資家の参入を狙うビットコイン戦略
主要出資者であるテザー社とソフトバンクなどの支援を受け、同社は今後もビットコインの積極的な取得戦略を展開していく見通しです。
カンター・エクイティ・パートナーズCEOのブランドン・ルトニック氏は「テザーとソフトバンクという著名な2社の支援と先見性あるリーダーシップのもと、Twenty One Capitalはビットコインの需要拡大と機関投資家からの支持獲得による価値創出を目指していきます」とコメントしています。
また、ジャック・マーラーズCEOも次のように述べ、ビットコインの長期的な蓄積を最優先する経営姿勢を強調しました。
私たちは単に市場で勝とうというのではなく、まったく新しい市場を創造しようとしています。この企業はビットコインを信じて支援する人々(ビットコイナー)によって築かれ、その人々のための公開企業なのです。
東証上場企業メタプラネットもBTC購入
ビットコイン保有量で世界3位へ浮上か
今回の動きにより、Twenty One Capitalは一躍ビットコイン大量保有企業の仲間入りを果たしました。
初回購入分の4,812 BTCのみでも、同社は世界の民間企業で17番目のビットコイン保有量になるとの試算があります。さらに今後予定されている追加購入を含め保有量が42,000 BTCを超えれば、米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)社やブロックワン社に次いで世界第3位のビットコイン保有企業となる見通しです。
ビットコイン保有量トップのストラテジー社は記事執筆時点で568,840 BTC(約590億ドル/約8.7兆円相当)を保有しており、ビットコイン準備資産戦略によって企業価値を飛躍的に向上させています。
業界からもTwenty One Capitalの大胆な投資戦略に注目が集まっています。米国の仮想通貨資産運用企業Bitwise(ビットワイズ)のジェフ・パーク氏はX(Twitter)上で「発表からわずか2週間で約5億ドル(約736億円)相当のビットコインを一気に買い付けた」と評価しています。
Twenty One Capital basically snapped up half a yard of BTC within two weeks of its announcement, while the rest of the macro community was busy crapping out.
Conviction.
— Jeff Park (@dgt10011) May 13, 2025
Twenty One Capitalは、発表からわずか2週間でビットコインを約5億ドル分買い集めた。一方で、他のマクロ投資家たちは怖気づいて撤退していた。
この違いが“確信”の力だ。
また、日本を代表する大手企業「ソフトバンクグループ」が本格的なビットコイン投資ビジネスに参画したことも国内外で話題となっており、Twenty One Capitalの今後の事業展開に市場関係者から大きな注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.23円)
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Source:SEC提出書類
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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