Zcash主要開発チームがECC離脱、新体制CashZ始動へ
2026年1月9日、プライバシー特化型の仮想通貨ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)の主要開発チームが、新会社「CashZ」を設立したことが明らかになりました。
同チームはこれに先立つ1月7日、開発元であるElectric Coin Company(ECC)を集団で退職しており、今回の新会社設立は一連の組織再編の一環として公表されたものです。
新会社CashZでは、ECCがこれまで開発を進めてきたモバイルウォレット「Zashi」のコードベースを引き継ぎ、Zcashに対応した新ウォレット「cashZ」を近日中に公開する予定としています。
We are all in on Zcash.
We need to scale Zcash to billions of users.
Startups can scale, but nonprofits can't.
That's why we created a new Zcash startup.https://t.co/ZurjfTxnPi pic.twitter.com/ksnwLewpPp— Josh Swihart 🛡 (@jswihart) January 8, 2026
私たちはZcashにすべてを懸けています。Zcashを数十億人規模のユーザーにまでスケールさせる必要があります。
スタートアップはスケールできますが、非営利組織にはそれができません。だからこそ、私たちは新たにZcashのスタートアップを立ち上げました。
こうした集団辞職に至った背景として、ECCを統括する非営利組織「Bootstrap(ブートストラップ)」との間で、ガバナンスを巡る深刻な対立が表面化していたことが挙げられています。
ECC元CEOのジョシュ・スウィハート氏は、取締役会が雇用条件を一方的に変更した結果、組織として本来掲げてきた使命を十分に遂行できない状況に追い込まれたと説明しています。
一方で、開発チームは新体制へ移行した後もZcashエコシステムへの関与を継続する姿勢を示しており、Zcashのプロトコルやネットワーク運用そのものに直接的な影響はないと強調しました。
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Zcash開発チーム集団離職、CashZ設立までの経緯
Zcash理念を巡る対立、開発陣と取締役会の溝
スウィハート氏は、Bootstrapの取締役会との間で生じた一連の対立について、X(旧Twitter)を通じて詳細な説明を行いました。
同氏は、ここ数週間にわたり、取締役会の大半がZcashの理念や使命と明確に乖離した方向へ意思決定を進めていたとしています。
具体的には、取締役4名が主導する意思決定が、開発チームの裁量や行動の自由を著しく制限する内容であったと述べています。
さらに、取締役会による雇用条件の変更によって、開発チームが職務を効果的かつ誠実に遂行することが不可能になり、結果としてECCのチーム全員が離職する事態に至ったと説明しました。
Over the past few weeks, it's become clear that the majority of Bootstrap board members (a 501(c)(3) nonprofit created to support Zcash by governing the Electric Coin Company), specifically Zaki Manian, Christina Garman, Alan Fairless, and Michelle Lai (ZCAM), have moved into…
— Josh Swihart 🛡 (@jswihart) January 7, 2026
ここ数週間の動きを通じて、Zcashを支援するために設立された非営利団体「Bootstrap」の理事会の過半数、具体的にはZaki Manian氏、Christina Garman氏、Alan Fairless氏、そしてMichelle Lai氏(ZCAM)が、Zcashの本来のミッションから明確に逸脱していることが明らかになりました。
7日、ECCのチームは全員、ZCAMによる事実上の追い出しを受ける形で離脱しました。雇用条件が一方的に変更され、誠実かつ実効的に職務を遂行することが不可能になったためです。
私たちは新たな会社を立ち上げます。しかし、チームは変わりませんし、掲げるミッションも同じです。「検閲や妨害を受けないプライベートマネーを構築する」こと。
重要な点として、Zcashプロトコルそのものには一切影響はありません。今回の判断は、ECCが本来果たすべき使命を不可能にする、悪意あるガバナンスの動きから、私たちのチームとこれまでの成果を守るためのものです。
Zcash理念を守るための独立という選択
スウィハート氏は、こうした状況を事実上の「建設的解雇」に相当するとした上で、今回の決断はECC本来の使命を守るための防衛的な選択であったと強調しました。
取締役会によるガバナンス上の措置は、Zcashが創設当初から掲げてきた理念を阻害するものであり、長期的にはプロジェクト全体に悪影響を及ぼしかねないと主張しました。
その上で、新会社CashZの設立については、チームの構成や開発思想はこれまでと何ら変わらず、「誰にも止められないプライベートマネー」というZcashの中核理念を引き続き追求していくと述べています。
非営利法人としての責任を強調する取締役会
一方、対立の当事者となったBootstrapは、2020年に設立された米国の非営利団体で、ECCのガバナンスを担ってきました。
近年、ECCが開発したZashiウォレットを巡り、外部資本の導入や事業の民営化(スピンオフ)を検討する動きがあり、これを巡って両者の見解の相違が顕在化したとされています。
Bootstrap取締役会は声明の中で、非営利法人としての法的義務や受託者責任を踏まえ、Zcashの長期的な使命やコミュニティへの影響を慎重に考慮する必要があると説明しました。
寄付によって形成された資産が私的利益に転用されるリスクを回避することが、取締役会として不可欠な判断だったとしています。
Zcashエコシステムへの影響を巡る見解の相違
さらに取締役会は、当初検討されていたZashi関連の取引案について、そのまま実行すれば政治的動機による攻撃や訴訟リスクを招き、最悪の場合、取引自体が無効とされる可能性があるとの懸念を示しました。
こうした事態はZcashエコシステム全体を不安定化させかねないとして、取締役会には裁量の余地がなかったと説明しています。
これに対し、スウィハート氏は、非営利組織という枠組みでは迅速な意思決定や大規模な資金調達に限界があると反論しています。
Zcashを数十億人規模に普及させるためにはスタートアップ型の組織が不可欠であり、そのために新会社を設立したと述べています。
ヘイズ氏のZEC強気予測
Zcash内部混乱が価格とネットワークに与えた影響
開発チーム離脱直後に起きたZcash価格の急変
主要開発チームの大量離脱という異例の事態を受け、Zcashの市場価格は短期的に大きく変動しました。
発表直後には一時20%近く下落し、約385ドル(約6万円)まで値を下げましたが、その後は売りが一巡し、記事執筆時点では約430ドル(約6万6,000円)前後まで回復しています。
今回の価格変動により、2025年に記録した1,900%超の急騰分の一部が調整される形となり、市場では開発体制の不透明感が投資家心理に影響を与えたとの見方が広がっています。
Zcash内部対立が市場全体に与えた心理的影響
また、今回の価格変動を受けて、プライバシー通貨全体に対する警戒感も一部で高まっています。
Zcashは2025年末時点で主要なプライバシー通貨として存在感を強め、一時は時価総額でモネロ(Monero/XMR)を上回る場面もありましたが、足元では再びモネロが首位に返り咲いています。
ただし、これは市場の短期的な評価変動によるものであり、プロジェクトの基盤そのものが揺らいでいるわけではないと見る向きもあります。
実際、Zcashのネットワークは引き続き安定して稼働しており、ブロックチェーンの運用やプライバシー機能に技術的な支障は確認されていません。
関係者は、Zcashが掲げてきたプライバシー技術の発展という使命は今後も継続されるとの見解を示しており、プロジェクトの行方に引き続き関心が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.01 円)
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Source:ジョシュ・スウィハート氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像























