米民主党「反仮想通貨汚職週間」を宣言
2025年7月11日、米国下院金融サービス委員会の筆頭民主党議員マキシン・ウォーターズ氏と、デジタル資産小委員会の筆頭議員を務めるスティーブン・リンチ氏は、14日からの週を「反仮想通貨汚職週間」とする方針を明らかにしました。
これは、下院共和党指導部が同週を「仮想通貨週間(Crypto Week)」として仮想通貨関連法案を強行採決しようとしている動きに対抗するものです。
ウォーターズ氏ら民主党は、共和党が推進する「CLARITY法案」「GENIUS法案」「中央銀行デジタル通貨(CBDC)反監視国家法案」の3法案について、危険な内容を含んでいるとの見解を示しています。
民主党は、これらの法案には消費者保護や国家安全保障に必要な規制が欠けており、その結果として議会がトランプ大統領の仮想通貨ビジネスに関する利益相反問題を容認する構図になりかねないと警戒を示しました。
リンチ氏によると、トランプ氏は仮想通貨関連ビジネスからすでに12億ドル(約1,770億円)にのぼる利益を得ており、これらの法案は、その収益を事実上正当化する可能性があるとして批判しています。
仮想通貨関連の主要3法案を審議・採決へ
CLARITY・GENIUS・CBDC法案への民主党の反発
ウォーターズ氏とリンチ氏は、これら3法案が仮想通貨市場や国家安全保障に悪影響を及ぼす可能性があるとして警鐘を鳴らしています。
CLARITY法案への懸念
「CLARITY法案」は、米国証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の規制権限を明確化することを目的とした包括的な法案です。
民主党は「同法案は投資家保護に不十分であり、金融システムにリスクをもたらす」と批判しており、提出された30件以上の修正案もすべて却下されています。
また、ウォーターズ議員は「共和党は仮想通貨業界のロビー団体やトランプ大統領に迎合している」と非難し、今年5月には抗議の意思を示すために公聴会への出席を拒否しました。
規制・監督機関の明確化で市場を強化
GENIUS法案とトランプ氏の利益相反
「GENIUS法案」はステーブルコインに初の連邦規制を設けるもので、6月に上院で可決されました。
トランプ氏の企業は独自のステーブルコイン「USD1」を発行しており、自身のミームコイン「$TRUMP」も展開していることから、利益相反の懸念が指摘されています。
上院では大統領のステーブルコイン関与を禁じる条項が追加され、エリザベス・ウォーレン議員ら一部の民主党議員も賛成に回りました。
民主党は、この法案が大統領一族に利益をもたらす構造になっていると非難し、市民団体のパブリック・シチズンも「大統領による過去に類を見ないレベルの利益相反である」として批判を展開しています。
ステーブルコイン規制の明確化
CBDC禁止法案への批判
「中央銀行デジタル通貨(CBDC)反監視国家法案」はFRB(連邦準備制度理事会)によるデジタルドル発行を禁止するもので、トム・エマー議員が主導しています。
共和党は監視国家化を防ぐと主張する一方、民主党は「デジタル通貨分野での技術革新を阻害し、中国に主導権を渡す恐れがある」と懸念を示しました。
ウォーターズ氏は「自由を守ると言いながら、実際はトランプ氏の腐敗帝国に金融未来を委ねている」と批判しています。
CBDC「国家が国民を監視するツール」
トランプ氏の仮想通貨事業収益を巡る論争
民主党は法案に反対する一方で、トランプ大統領による仮想通貨関連ビジネスへの直接的な関与とその利益に関する疑惑を追及しています。
2024年の財務資料では、トランプ氏がワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)を通じて5,730万ドル(約84億円)の利益を得たことが判明し、資産も大幅に増加していることが明らかにされました。
このことから民主党は、MEME法案やCOIN法案を通じて、公職者による仮想通貨ビジネスへの関与を制限する法整備を進めています。
ウォーターズ氏は「STOP Trump in Crypto Act(仮想通貨におけるトランプ氏の利益相反防止法)」を提出し、トランプ大統領による仮想通貨利権への関与を制限する法的枠組みの導入に注力する姿勢を示しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.33 円)
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Source:民主党プレスリリース
サムネイル:AIによる生成画像






























