トランプ氏の仮想通貨事業に規制強化「MEME法案」提出|$TRUMPめぐる倫理問題

by BITTIMES

米民主党、大統領の私的利益制限「MEME法案」提出

米民主党のクリス・マーフィー上院議員らが2025年5月6日に、公職者が仮想通貨などを使って私的利益を得ることを制限する「現代報酬と不正行為取り締まり法(通称:MEME法案)」を議会に提出しました。

このMEME法案は、大統領をはじめ副大統領・連邦議会議員・政府高官およびその配偶者や扶養家族に対し、証券・先物・商品・デジタル資産(仮想通貨を含む)の発行・スポンサー・宣伝を禁止し、公職を利用した私的利益の獲得を封じることを目的としています。

法案では、すでに発行された資産についても自身の利益に結びつくプロモーション活動を禁止しており、違反した場合は最大25万ドル(約3,580億円)の罰金と不当に得た利益の返還が求められます。

さらに最長5年の禁錮刑などの刑事罰も科される可能性がある厳しい内容となっています。

背景にはトランプ一族の仮想通貨事業

この法案が提出された背景には、トランプ大統領が仮想通貨ビジネスに深く関わっていることがあります。

NFTやミームコイン「$TRUMP/$MELANIA」で巨額利益

トランプ大統領は2022年末から、自身の姿を描いたNFTデジタル・トレーディングカード」を販売開始し、初回シリーズ4万4,000枚が数時間で売り切れるなど、仮想通貨関連のビジネスを着々と拡大してきました。

2025年1月には、自身の名を冠した公式ミームコイン「オフィシャル・トランプ($TRUMP)」を発行し、一時は自身の資産価値が500億ドル(約7.1兆円)以上増加したとされています。

トークンの取引手数料だけでも、トランプ大統領とその家族は約1億ドル(約143億円)以上の利益を得ているとの指摘もあります。

また、同月にメラニア夫人も独自の「MELANIA」コインを立ち上げるなど、トランプ一族をあげた仮想通貨ビジネスが広がっています。

さらに4月には、トランプ陣営は$TRUMPを多く保有する投資家向けに、ホワイトハウスでの晩餐会や特別ツアーといった特典を発表しました。この発表後にトークン価格が急上昇し、トランプ陣営には新たに約90万ドル(約1.3億円)の手数料収入がもたらされました。

こうした動きは熱心な支持者たちの関心を集める一方で、倫理的・法的問題も引き起こしています。

政治献金規制回避と海外資金流入への懸念

ミームコインは匿名性が高いため、政治献金の規制を逃れたり、資金の出どころを隠したりする手段として悪用される懸念があります。

マーフィー議員は、トランプ大統領のミームコイン事業について「賄賂を受け取るのと同じような倫理問題がある」と厳しく批判しています。

また、トランプ陣営が立ち上げた金融プラットフォーム「World Liberty Financial(WLFI)」と、そこで発行された米ドル連動型ステーブルコインUSD1」を通じて、海外の政府系ファンドから大量の資金が流れ込んでいるのではないかという疑惑も出ています。

先月4月には、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ政府系ファンドが仮想通貨取引所バイナンスに20億ドル(約2,800億円)を投資する際、このUSD1を使ったと報道され、米議会で強い反発を招いています。

$TRUMPがもたらす倫理的懸念

仮想通貨専門メディアのCointelegraphによると、ブロックチェーン分析の結果、$TRUMPを保有するウォレットは約200万件あり、そのうち約76万4,000件が投資で損失を抱えている一方、わずか58のウォレットが1,000万ドル(約14.3億円)を超える利益を獲得しているということです。

こうした大口投資家たちの利益は合計で約11億ドル(約1,540億円)に上り、トランプ陣営側も手数料収入だけで3億2,000万ドル(約460億円)以上を手にしているとされています。

また、著名な仮想通貨研究者モリー・ホワイト氏は「晩餐会が発表された直後に、800万ドル(約11.4億円)もの$TRUMPを一気に買い付けた投資家がいる」と指摘しており、ホワイトハウスとの会食権を得るために巨額の仮想通貨を買い増す動きが現れたと分析しています。

大統領が「$TRUMP」ミームコインの上位保有者を対象に、ワシントンD.C.の自身のゴルフクラブで開かれるプライベートディナーに招待すると発表したことを受けて、誰かが約800万ドル分の$TRUMPコインを購入しました。

この購入はBinanceのアカウントを通じて行われており、ウォレットの所有者がアメリカ国外の人物である可能性が高いと見られています。

MEME法案の成立可能性

トランプ大統領の仮想通貨ビジネスをめぐり「こうした動きが政治の世界での金の力を強めてしまうのではないか」という心配の声が上がっています。

ただし、現在は上院も下院も共和党が多数派を占めているため、このMEME法案が実際に法律として成立する見通しは厳しいとみられています。

法案を提出したマーフィー上院議員とサム・リカード下院議員は「たとえ法案が通らなくても、この問題について国民的な議論を起こし、公職にある人々の金銭的な不正行為を抑制する効果を期待している」と語っています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=143.17円)

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Source:公式声明 / MEME法案
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像

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