米経済データが重荷、仮想通貨全面安に波及
2025年8月18日、米国の経済指標発表を受けて仮想通貨市場で売りが強まり、ビットコイン（BTC）価格は115,000ドル（約1,700万円）、イーサリアム（ETH）価格は4,200ドル（約640万円）付近まで急落しています。
米労働省が先週末に公表した卸売物価指数（PPI）や輸入物価が市場予想を上回り、インフレ圧力への警戒感が広がったことで、9月のFRB（米連邦準備制度理事会）による利下げ観測は後退しています。
これを受けて市場では、利下げ幅の予想が0.5ポイントから0.25ポイントへと縮小し、仮想通貨市場からの資金流出が鮮明になりました。
ビットコインの急落は主要アルトコインにも波及しており、イーサリアムに加え、エックスアールピー（XRP）やソラナ（SOL）、ドージコイン（DOGE）など幅広い銘柄が前日比3～5％前後の下落となっています。
市場全体にリスク回避の動きが広がる中、安全資産への資金シフトも進み、金価格は上昇局面を迎えています。
「8月の呪い」でBTC急落の可能性
インフレ再燃でFRBの利下げ観測後退、市場に波及
米PPI急騰、金融緩和期待を冷やす要因に
7月の米卸売物価指数（PPI）は前月比+0.9％と市場予想（+0.2％）を大幅に上回り、約3年ぶりの高い伸びを記録しました。
食品・エネルギーを除くコアPPIも前年比+3.7％へ加速し、関税政策の影響で物価が押し上げられているとの見方が強まっています。
こうしたインフレ加速を受け、先月まで高まっていた金融緩和への期待には水が差される格好となりました。
High Frequency Economics（ハイ・フリークエンシー・エコノミクス）社の主席エコノミストであるカール・ワインバーグ氏は「今回のPPI急騰はFRBの慎重姿勢を強く裏付けるものであり、市場の9月利下げ期待も下方修正されるだろう」と指摘しています。
実際、米短期金利先物市場では9月利下げ観測の後退が鮮明となり、仮想通貨を含むリスク資産全般に売り圧力が広がりました。投資家の間では、一時的な金融緩和シナリオに対する期待が急速にしぼむ動きが見られています。
米露首脳会談不調で市場に不透明感広がる
加えて、地政学リスクの高まりも投資家心理を冷やしており、リスク回避姿勢を強める要因となっています。
先週末、アラスカで開催された米露首脳会談はウクライナ情勢で進展なく終了しました。あわせて、トランプ米大統領がロシア寄りの和平案に傾斜したとの報道もあり、欧米市場には不透明感が広がりました。
これら複合要因により投資家の慎重姿勢が強まる中、一部では「8月の呪い」と呼ばれる夏季特有の相場低迷への警戒感が指摘されています。
著名投資家ロバート・キヨサキ氏は8月4日に「8月にビットコインが9万ドルを下回る可能性がある」との見解を示しました。加えて、暴落時には自身の保有量を倍増させる意向も明らかにしています。
市場では短期的な変動を警戒する声が上がる一方、長期目線では押し目を好機と捉える強気姿勢もみられています。
カーランド氏「計算された調整局面」
仮想通貨市場、投資家の注目はFOMCと追加指標へ
ビットコインの急落に伴い、記事執筆時点の仮想通貨市場は高値から調整局面に入っています。
年初来で見れば依然プラス圏を維持しているものの、直近のインフレ指標が投資マインドに与える影響は大きく、主要指数の変動率拡大や出来高増加が目立ちました。
市場関係者は、来月のFOMC（連邦公開市場委員会）に向け、追加の経済指標や中央銀行関係者の発言を注視しています。今後数週間は、インフレ動向と金融政策の行方が相場を左右する展開が続くとの見方が広がっています。
※価格は執筆時点でのレート換算（1ドル=147.49 円）
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Source：The Block
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