ウクライナ議会、仮想通貨合法化法案の第1読会を可決|所得税18%と軍事税5%の導入へ前進

ウクライナ議会、仮想通貨合法化法案の第1読会を可決|18%課税と軍事税5%の導入へ前進(Ukraine parliament approves first reading of crypto legalization bill with 18% tax and 5% military levy)
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ウクライナ議会、仮想通貨課税法案を第1読会で可決

ウクライナの最高議会(ヴェルホーヴナ・ラーダ)は2025年9月3日、仮想通貨の合法化および課税に関する法案(第1読会)を賛成246票で可決したことが明らかになりました。

現行案では、仮想通貨取引で得た利益に対して18%の所得税と5%の軍事税を課す内容が盛り込まれています。さらに、施行初年度に限り、仮想通貨を法定通貨へ換金する場合の税率を5%に軽減する特例措置も設けられています。

この法案は、規制の空白が続いてきたウクライナの仮想通貨市場に明確なルールを整備することを目的としたものです。ホロス党のヤロスラフ・ジェレズニャク議員は自身のテレグラムで可決を報告し、制度化の意義を強調しました。

第1読会の可決により本法案は今後さらに審議が進む見通しで、ウクライナにおける仮想通貨の法的地位と税制整備の確立に向けた重要な一歩となりました。

仮想通貨課税による国家予算強化を目指す新制度

規制未整備で進んだ非課税取引の現状

ウクライナは仮想通貨の利用が盛んな国の一つで、ロシアの全面侵攻以前には国民の約16%が仮想通貨を保有していたとされています。

しかし、規制や課税の枠組みが整わなかったため、年間数十億ドル(数千億円)規模の取引が非課税のまま行われていた指摘されています。

こうした状況を受け、今回可決された法案第10225-d号は仮想通貨市場を合法化し、取引利益に対する課税ルールを明確にしました。

ヤロスラフ・ジェレズニャク議員は「法案の詳細について長々と説明する意味はあまりありません。第2読会までに非常に多くの変更が加えられるでしょう」と述べ、第2読会で修正が加わる可能性に言及しています。

所得税18%・軍事税5%の課税へ

ジェレズニャク議員によれば、現行案では仮想通貨取引の利益に対する課税率は所得税18%+軍事税5%の合計23%となり、施行初年度のみ仮想通貨から法定通貨への換金時に限って優遇税率5%が適用される見込みです。

一方で、この分野を所管する規制当局については「ウクライナ国立銀行(NBU)になるのか、国家証券・株式市場委員会(NSSMC)になるのかは未定だ」と述べ、監督体制の決定が今後の課題であると指摘しました。

本法案では、仮想通貨をブロックチェーン上に存在する「特別なデジタル財産」と定義し、法定通貨ではなく民法上の動産として扱うことが明記されています。

戦時下経済再建に向けた仮想通貨の役割

仮想通貨はウクライナにおいて法定の支払い手段ではなく、資産として位置付けられます。こうした法的整理によって、市場参加者には明確なルールが提示される見込みです。

ウクライナの大手仮想通貨取引所WhiteBITのヴォロディミル・ノソフCEOも、本法案が経済の活性化と市場の近代化を進める上で「重要な要素になる」と述べ、仮想通貨産業の発展が戦時下の経済再建を後押しすると期待を示しました。

統計によると、ウクライナは2023年時点で仮想通貨の普及率が世界第5位に位置し、戦争下でも国内の関心と需要が高いことが明らかになっています。

今回の法案可決は、そうした国民の関心に応えると同時に、国家財政の強化にもつながる動きとして注目されています。

ヘトマンツェフ財務・税関委員長も「明確なゲームのルールを作ることに関するもので、仮想通貨の合法化は国家予算に大きな影響を与えうる」と述べており、適切な課税によって国庫に資金をもたらす可能性を強調しています。

仮想通貨合法化が示すウクライナ経済再建の道

ウクライナは戦時下であっても仮想通貨市場の整備を進めており、課税法案の可決は法的枠組みを確立する第一歩として大きな意味を持つとみられています。

今後は第2読会での修正や最終採択を経て、規制当局の明確化や税制の安定運用が進むかどうかが焦点となり、国内外の投資環境に影響を及ぼす見通しです。

今回の動きは国家財政の強化だけでなく、国際社会における信頼回復や経済再建に直結する可能性があり、ウクライナの仮想通貨戦略の方向性を示す重要な局面となっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.05 円)

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Source:ヤロスラフ・ジェレズニャクTelegram
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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