米国政府閉鎖でビットコイン急騰、主要アルトも全面高に
2025年10月1日、米国政府が予算不足により一部閉鎖(シャットダウン)に突入したことで、ビットコイン(BTC)の価格は一時、約11万9,000ドル(約1,750万円)まで急上昇しました。
ビットコインの急騰に追随する形で、ソラナ(SOL)やエックスアールピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)などの主要アルトコインも軒並み4~6%上昇しました。これにより、仮想通貨市場全体の時価総額は前日比で約4%増加したと伝えられています。
市場関係者によると、この急騰は、米国政府閉鎖による経済的不透明感が背景にあり、その結果、投資家の資金がビットコインや金(ゴールド)などの安全資産に流入したことが主な要因とされています。
同日には金価格が1オンス=3,895ドル前後まで上昇し、過去最高値を更新するなど、伝統的な安全資産にも買いが集まりました。
米国議会で予算案を巡る対立が続いた結果、10月1日、米国政府は一部閉鎖に突入し、それに伴って連邦政府機関の一部業務も停止しています。
イーサリアム主導でアルト市場を形成
米国政府閉鎖と金融不安で加速する仮想通貨市場の急騰
医療保険補助金を巡る対立と閉鎖突入の背景
2025年会計年度の予算案を巡り、米議会では与野党の対立が深刻化していました。特に医療保険補助金を含む歳出を巡る争点で折り合いがつかず、10月1日までに暫定予算も成立しませんでした。
その結果、連邦政府は6年ぶりに閉鎖状態へ突入しました。ドナルド・トランプ大統領は今回の閉鎖を「歳出削減など不可逆的な措置を講じる機会」として擁護しており、政治的膠着の長期化が懸念されています。
こうした状況は、2018~2019年に記録された35日間の閉鎖(過去最長)を彷彿とさせるとの声もあります。
SEC業務停止で揺れる仮想通貨ETF承認
政府閉鎖により米連邦政府の各機関は最低限の人員での運営を余儀なくされています。
金融規制当局のSEC(証券取引委員会)は職員の90%超を一時帰休とし、新規株式公開(IPO)審査や日常的な開示レビューを停止しました。
これに伴い、仮想通貨関連の審査業務も停止されました。SECは10月上旬にも複数のアルトコイン現物ETFを承認すると見られていましたが、閉鎖により審査が中断し、ソラナやXRPの現物ETF承認時期は不透明な状況となっています。
さらに労働省が予定していた9月の米非農業部門雇用統計の公表も延期される見通しで、経済指標の空白期間が生じています。専門家は「重要指標の遅延は投資家の判断材料を欠如させ、市場の変動性を高める可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
米民間雇用(ADP)統計悪化が利下げ観測を後押し
閉鎖の影響が広がる中、金融市場ではリスク回避の動きが強まりました。
米ドル指数は4営業日連続で下落し、投資家は代替資産への分散を進めています。その結果、代表的な安全資産である金価格は過去最高値圏に達し、米10年物国債利回りも4.1%台に低下しました。
一方で、ビットコインは「デジタルゴールド」としての側面が意識され、資金の受け皿となっています。1日に発表された米民間雇用(ADP)統計は市場予想に反して前月比マイナス3.2万人と弱い内容でした。
これにより、市場では「10月末のFRB(米連邦準備制度理事会)会合で0.25%の利下げが実施される」との見方が急速に強まりました。金利先物市場では利下げ織り込み度が9割以上に達し、仮想通貨へ資金を振り向ける動きも出ています。
なお、ビットコインは9月末に一時112,000ドル台まで下落後、すぐに反発に転じており、アナリストの間では「第4四半期(Q4)の幕開けとともに強気相場が再開した」との見解も出ています。
短期リスクと中長期緩和シナリオの対立
仮想通貨市場の急騰に対し、業界専門家からは冷静な分析も出ています。
仮想通貨取引所Bitunixの市場アナリストは「政府閉鎖は短期的な政治リスクに過ぎず、中長期的な金融緩和の流れを変えるものではない」と指摘しました。
同氏は現在の市場環境を「利下げ期待によるリスク選好」と「景気減速懸念による安全志向」という二つの相反するシナリオの綱引きと分析しています。
さらに同氏は「ビットコインも110,000~112,000ドル付近に下値支持帯、116,000ドル台に上値抵抗帯がある」との見解を示しました。
また、ブロックチェーン企業VeChain(ヴィチェーン/VET)のジョニー・ガルシア氏は「政府閉鎖はこれまで市場に大きな後遺症を残していない」と述べました。投資家向けノートでは「今回の騒動もおそらく長期的にはノイズに過ぎない」と楽観的に分析しています。
その根拠として同氏は「政府閉鎖直後の株式・債券市場の反応が比較的限定的であること」を挙げています。過去40年間で米国では11回の連邦政府閉鎖がありましたが、いずれも最終的に予算合意に達しており、恒久的な悪影響は限定的でした。
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政府閉鎖が続く米国と仮想通貨市場の行方
政府閉鎖で高まる資産分散と仮想通貨需要
10月2日時点でも米国政府閉鎖は続いており、その影響は世界の金融・仮想通貨市場にも及んでいます。直近では、閉鎖を受けた安全資産への需要の高まりが、資金の流れにも反映されています。
米国では、ビットコイン関連の投資信託やETF(上場投資信託)に対して、一時的に合計4億3,000万ドル(約630億円)の資金流入があったと報じられました。
この資金流入は、従来の金融市場が不安定化する中、ビットコインをはじめとする仮想通貨が資産分散先として注目を集めていることを示しています。
SEC業務停止でアルトコインETFが停滞
一方、SECの業務停止により、ソラナやXRPの現物ETFを含む複数の仮想通貨ETF承認スケジュールが停止していることから、市場には一定の不透明感が残っています。
市場関係者は政府再開後の規制当局の動向を見極めつつ、アルトコイン市場への影響を注視しています。
政府閉鎖長期化が市場動向に与える影響
今後の焦点は、米議会が予算成立に向けた歩み寄りをいつ実現できるかにあります。
政府閉鎖が長期化すると、経済指標の空白や規制遅延が続き、市場のボラティリティが高止まりする恐れがあります。一方、閉鎖期間中に金融緩和観測が強まれば、ビットコインなどリスク資産に追い風になるとの見方もあります。
依然として続くワシントンの政治的膠着と金融政策の行方は、仮想通貨市場にとって当面の重要な焦点となりそうです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.26 円)
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