仮想通貨市場が2025年最大の下落、ビットコインなど主要銘柄急落の要因と回復シナリオ

仮想通貨市場が2025年最大の下落、ビットコインなど主要銘柄急落の要因と回復シナリオ(Crypto market sees biggest drop in 2025, key factors behind Bitcoin and major altcoins crash with recovery outlook)
目次

BTC・ETH・XRP急落で投資家心理が悪化

米国の仮想通貨市場が週明け2025年9月22日に急落し、ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)エックスアールピー(XRP)など主要銘柄が軒並み大幅な下落となりました。

仮想通貨全体の時価総額も一時約3.8兆ドル(約562兆円)まで落ち込み、2025年最大規模の調整局面となっています。

こうした急落の背景には投資家心理の悪化があるとされており、仮想通貨関連メディアの分析では、イーサリアムとソラナ(SOL)は2023年夏以来、ビットコインは今年6月以来の大幅な下落となったと伝えています。

CoinGeckoの市場データによると、BTC価格は一時112,700ドル(約1,660万円)まで下落し、ETH、XRP、SOL、ドージコイン(DOGE)といった主要アルトコインもそれぞれ前日比7%、5%、7%、10%の急落を記録しました。

この動きは株式市場にも波及し、仮想通貨関連企業の株価も下落しています。ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は2.6%、米仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)は3.4%の下落となり、仮想通貨関連株に売りが広がりました。

一方、同日は米株式市場のS&P 500指数が0.4%上昇して最高値更新に接近しており、伝統的なリスク資産と仮想通貨市場で明暗が分かれています。

FRBの利下げと過剰レバレッジが招いた仮想通貨市場の清算ラッシュ

FRBの利下げを背景に拡大した過剰レバレッジ

今回の急落要因について、仮想通貨データ企業Kaiko(カイコ)の調査責任者アダム・モーガン・マカーシー氏は、9月17日にFRB(米連邦準備制度理事会)が初の利下げ(0.25%引き下げ)を決定した後に仮想通貨市場で過剰なレバレッジが蓄積し、投機的な取引が活発化していたと指摘しています。

FRBはFOMC会合で政策金利を4.00〜4.25%に引き下げる方針を発表し、パウエル議長はこの利下げを「リスク管理上の一手」と位置付け、市場の過度な楽観に警戒感を示しました。

しかし、仮想通貨市場ではこうした警戒感とは裏腹に短期的な強気心理が広がり、先週後半からレバレッジを伴う強気ポジションが積み上がっていたとマカーシー氏は分析しています。

ロスカット急増で投資家心理が悪化

またマカーシー氏は、こうした投機的な強気ポジションの増加と、その後の価格下落が引き金となって大量のロスカット(強制清算)が発生して、さらに価格急落を招いたとの見解を示しています。

実際に、米仮想通貨デリバティブ市場のデータによれば、急落前後の24時間で約40万7,000人のトレーダーが保有するポジションの清算に追い込まれ、その清算総額は15億ドル(約2,200億円)超に上りました。

これは今年3月以来最大のロスカット連鎖となり、市場全体に強い売り圧力をもたらしたと分析されています。

仮想通貨急落後の投資家心理と回復シナリオ

レバレッジ解消に伴う仮想通貨市場の回復観測

一連の急落を受け、市場関係者は今後の回復シナリオについてさまざまな見解を示しています。

仮想通貨アナリストのCryptoInsightUK氏は、今回の下落について「市場構造が根本的に崩れたのではなく、レバレッジ解消の動きにすぎない」との見解を述べ、投資家にパニックに陥らないよう呼びかけました。

同氏は自身が公開した動画分析の中で「焦って売却するのではなく、落ち着いて全体像(長期のチャート)を見るべきだ」との見解を示しています。

実際、今回の急落直前には仮想通貨全体の時価総額や多くの銘柄が過去最高値圏に達しており、CryptoInsightUK氏は「先週にはBTCを除く総合指数が約1.67兆ドル、BTC・ETH除く指数も1.13兆ドルと過去最高水準で引けていた」と指摘し、今回の下落もその大局的な上昇トレンドの中の一時的な調整にすぎないとの見方を示しました。

さらに同氏は、市場のテクニカル指標にも注目すべきだと述べ、その一例として急落後によく見られる「ダイバージェンス型の底入れパターン」に言及しています。

具体的には「急落で一度つけた安値を、その後のもみ合い局面でわずかに下回った後、RSI(相対力指数)が前回より高い水準を示せば、売り圧力の減退を示す明確な反転サインとなる」と解説しました。

こうしたテクニカル分析に基づき、CryptoInsightUK氏は「時間軸が大きいほど信頼性が増すが、高い時間軸でこのパターンが確認できれば底打ちの可能性が高まる」と述べており、短期的な値動きに一喜一憂せず構造的な底入れシグナルを待つ戦略の重要性を強調しています。

ドイツ銀行とJPモルガンが示す強気予測

中長期的な価格見通しについては、大手金融機関の強気な予測も相次いでいます。

ドイツ銀行のストラテジスト、マリオン・ラブール氏は「ビットコインは2025年末までに12万ドル(約1,770万円)を超える可能性がある」と自信を示しており、足元の調整局面にもかかわらず強気の長期見通しを示しました。

また、米銀大手JPモルガンのリサーチチームも最新の分析で、ビットコインのボラティリティが過去最低水準まで低下したことを踏まえると「ビットコインの理論的公正価格は2025年末時点で約12万6,000ドル(約1,860万円)に達する」と試算しています。

この公正価格は現在の市場価格を大きく上回っており、JPモルガンは「現在のビットコイン価格はファンダメンタルズに対して割安」との評価を示しました。

背景には、ビットコインの価格変動率(6カ月間のローリングボラティリティ)が年初の約60%から直近では30%程度まで低下し、リスク資産としての性質が金(ゴールド)に近づきつつあることが指摘されています。

こうしたボラティリティ縮小により機関投資家が参入しやすくなるとの見方もあり、大手行の試算からは年内にもビットコインが過去最高値を更新する余地が示唆されています。

投資家心理と機関投資家の動向が左右する市場回復

2025年9月23日現在、仮想通貨市場は急落からの回復過程にありますが、依然として投資家心理は不安定であり、マクロ経済要因の影響を強く受けています。

一方で、FRBの利下げ後に広がった過剰レバレッジの解消は市場健全化につながるとの見方も多く、投資家の長期的な強気姿勢を支えています。

今後は米金融政策や機関投資家の動向がカギを握り、短期的な変動を挟みつつも中長期的には上昇シナリオを模索する展開が続くとみられています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.87 円)

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Source:CryptoInsightUK氏YouTube
サムネイル:AIによる生成画像

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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