ウォルマートの金融アプリ「OnePay」が仮想通貨対応へ
米小売大手ウォルマート傘下のフィンテック企業のOnePayは2025年10月3日、年内に自社アプリでビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の売買・カストディ(資産保管)機能を提供する計画を進めていることが明らかになりました。
CNBCの報道によると、事情に詳しい関係者の話として、発表予定の機能では、仮想通貨インフラ企業Zerohash(ゼロハッシュ)の協力を得て、ユーザーがアプリ上でビットコインとイーサリアムを売買・保有できるようになると伝えています。
さらに、保有する仮想通貨(暗号資産)を現金化して、ウォルマート店舗での支払いに利用したり、クレジットカード残高の返済に充当したりできる仕組みになる見込みとのことです。
なお、OnePay広報担当者はコメントを控えており、公式発表はまだ行われていません。
仮想通貨取引を銀行口座連携で簡易化
OnePayが目指すスーパーアプリ化と仮想通貨導入の狙い
スーパーアプリ構想を支える技術提携と資金力
OnePayのアプリはすでに高金利貯蓄口座やクレジット/デビットカード、後払いローン、携帯通信プランなどを統合しており、今回の仮想通貨機能の追加によって金融サービスを一体化した「スーパーアプリ」の実現を目指しています。
報道によれば、新サービスは米国拠点の仮想通貨インフラ企業Zerohash(ゼロハッシュ)が提供する予定で、同社は機関向けの安全なカストディや取引インフラを担うとしています。
ゼロハッシュは9月23日、モルガン・スタンレーやインタラクティブ・ブローカーズなどから1億400万ドル(約153億円)の資金調達を完了し、金融機関向けサービスの提供体制を強化しています。
週1億人以上が利用する決済基盤への仮想通貨導入
CNBCによると、アプリでは保有する仮想通貨を現金化し、ウォルマートの店内およびオンラインでの買い物に充当できる仕組みが導入される見込みです。
OnePayのアプリはウォルマートの店舗とオンラインの両方のチェックアウトと連携しており、週に1億5,000万人規模の顧客にリーチできるとしています。
こうした強力な流通チャネルを活用することで、OnePayは仮想通貨を日常決済に取り込む戦略を進めているとみられています。
OnePayはすでに米AppleのApp Storeで無料ファイナンスアプリランキング5位に入るなど急成長しており、PayPalやVenmo、Cash Appなど主要競合アプリも仮想通貨取引サービスを提供しています。
今回の機能拡張は、これらフィンテック企業との競争でOnePayの魅力を高め、ウォルマートの小売ネットワークと融合した独自の強みをもたらすと期待されています。
SPARで仮想通貨決済が可能に
小売業界に広がるビットコイン・仮想通貨決済
小売業界でも、仮想通貨決済の導入が広がりつつあります。
米欧小売業で進むビットコイン・仮想通貨導入
米コンビニチェーンのSheetz(シーツ)は8月に仮想通貨決済利用者に対して店内商品の50%割引キャンペーンを実施し、関心を集めました。
また、米ファストフード大手ステーキ&シェイクは5月に、全米約400店舗でビットコイン決済を導入すると発表し、約1億人の顧客に仮想通貨による支払い機会を提供しています。
欧州でも9月に、スイスの大手スーパー「SPAR」チェーンがKuCoin Payを通じてステーブルコインなどの仮想通貨決済を導入すると発表されました。
ドレイパー氏が示す仮想通貨決済時代の到来
これらの事例は、従来型の店舗決済に仮想通貨を組み込もうとする世界的な潮流を示しています。
シリコンバレーの著名投資家ティム・ドレイパー氏は5月に「ドルは絶滅しつつある」と警告し、米ドルの価値下落を背景に、多くの小売業者がビットコイン決済を導入する時代が到来すると指摘しています。
今回明らかになったOnePayの取り組みも、こうした小売業界における仮想通貨導入の流れの一部として位置付けられ、今後の展開が注目されています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.44 円)
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Source:CNBC報道
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