中道・伊佐氏「サナエトークン」巡り金融庁に対応要求|損失相談5件が明らかに

中道・伊佐氏「サナエトークン」巡り金融庁に対応要求|損失相談5件が明らかに

この記事の要点

  • 金融庁、サナエトークンの損失相談5件を国会答弁で公表
  • 改正法案で無登録業者の契約が原則無効・拘禁刑10年に強化
目次

サナエトークン損失相談、金融庁が5件把握

中道改革連合の伊佐進一衆院議員は2026年6月10日、衆議院財務金融委員会で、高市早苗首相の名前を冠した暗号資産「SANAE TOKEN(サナエトークン)」を巡る金融庁の調査状況と無登録業者への対応をただしました

答弁に立った金融庁の堀本善雄総合政策局長は、同トークンのDEX(分散型取引所)での購入などを巡り、損失に言及のあった相談が6月9日までに5件寄せられたと明らかにしました。

同局長は相談の内訳にも触れ、5件のうち相談者側から被害額の主張があったものは3件で、うち1件は日本非居住者からの相談だったと説明しています。

伊佐氏は、同トークンが発行初日に約30倍まで上昇し25億円規模に達したことに言及したうえで、相当の規模で宣伝されていたことから金融庁は早い段階で状況を把握していたのではないかと指摘しました。

さらに同氏は片山さつき金融担当大臣に対し、サナエトークンについて高市首相に説明や助言を行ったことがあるかと質問しましたが、片山大臣は個別事例への対応はこれまでも明らかにしていないとして回答を控えています。

改正法案、拘禁刑10年と契約無効化へ

利用者苦情や広告から無登録業者を捕捉

サナエトークンを巡る議論に先立ち、伊佐氏は質疑の冒頭で、無登録業者に対してどのように営業実態を把握し、どのような手続きで対処しているのかを尋ねました。

これに対し堀本局長は、利用者からの苦情や捜査当局からの照会、暗号資産交換業者・協会からの情報提供、ネット広告などを通じて無登録業者を把握していると説明しました。

同局長は、実態把握の結果として利用者保護上必要と認められた場合には警告と名称公表を行い、必要に応じて警察庁へ情報を提供するなど捜査機関との連携も進めていると述べています。

立証責任を業者側へ転換、投資家保護が強化

こうした把握と警告の枠組みを確認したうえで、伊佐氏は改正法案に盛り込まれた無登録業者への民事規定について、契約が無効となる条件と投資家側のハードルがどれだけ下がるのかを質問しました。

金融庁の井上企画市場局長は、無登録業者が暗号資産を販売した場合には民法上の公序良俗違反による無効に該当すると推定し、契約を原則として無効とする規定を設けると答弁しました。

この仕組みでは契約の有効性を主張する無登録業者の側が立証責任を負うことになり「投資家は不当利得返還請求権に基づく代金の返還を実現しやすくなる」と井上局長は説明しています。

伊佐氏はこの立証責任の転換を大きな取り組みとして評価し、拘禁刑の上限が3年から10年に引き上げられる点や、証券取引等監視委員会の犯則調査(強制調査)の対象に加わる点にも言及しました。

そのうえで同氏は「令状による捜索・差し押さえから刑事処分まで可能になる強力な措置になる」と述べる一方、監視委員会には暗号資産への対応経験が多くないとして体制面の懸念を示しました。

これに対し証券取引等監視委員会の斎藤事務局長は、有価証券に係る無登録調査や犯則調査のノウハウを生かし、金融庁や関係機関と連携しながら体制整備に努めると答えています。

海外業者の監視、アプリ停止と国際協力で対応

議論は国内の執行体制から海外の業者への対応に移り、伊佐氏は海外のトークンや海外業者をネット経由で利用する日本人も少なくないとして、国内規制の保護が及ぶのかを尋ねました。

井上局長は、国内にいる人を相手方とする暗号資産取引業は国内・海外の業者を問わず登録義務の対象になると説明し、悪質な無登録の海外業者には警告と名称公表で対処すると述べました。

同局長によると、警告後も営業を続ける業者にはアプリの配信停止を働きかけるほか、金商法(金融商品取引法)への移管によりIOSCO(証券監督者国際機構)の多国間覚書の対象となり、海外当局との情報交換も可能になるといいます。

それでも伊佐氏は、日本人による海外トークンの利用実態まで把握することは容易ではないとして、無登録業者への規制をどのように実効的なものにしていくのかをただしました。

これに対し井上局長は、登録業者は金融庁のウェブサイトで公表されていると応じ、無登録業者との取引には不測の損害を被るリスクがあると注意喚起を図る考えを示すにとどめています。

質疑では業者規制だけでなく、取り扱うトークンそのものに基準を設ける必要性も論点となり、伊佐氏は悪質なトークンや詐欺的なものをどう取り締まるかをただしました。

井上局長は、移転・保有記録の管理が難しいものや匿名性が高くマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されやすいもの、流動性が乏しいものの取り扱いを禁止する基準を下位法令で定める方針を示しています。

片山大臣「税率引き下げはお墨付きでない」と強調

質疑の終盤では税制も論点となり、伊佐氏は金商法移管に伴って暗号資産が申告分離課税の対象となり税率が下がることで、政府が投資を推奨しているように見えるのではないかと確認を求めました。

これに対し片山大臣は、国内の暗号資産口座が1,400万口座に達し、そのうち稼働している口座だけでも880万にのぼるという保有の広がりを挙げました。

そのうえで大臣は、投資対象化が実際に進んできた現状を踏まえ「取引の実態に即して利用者保護の充実を図ることが今回の法案の趣旨になる」と説明しています。

投資の推奨については「やたらに推奨したり、ましてお墨付きを与えるという政策は全く持っていない」と述べ、政府が暗号資産投資にお墨付きを与える意図を否定しました。

伊佐氏は質疑のなかで、法案審議のさなかにサナエトークンを巡る損失相談が寄せられている状況にも触れながら、金融庁に適切な対応を求めています。

改正法案は衆議院財務金融委員会で審議が続いており、質疑では無登録業者への規制強化や執行体制の実効性が主要な論点となりました。

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Source:衆院財務金融委員会質疑
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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