この記事の要点
- フィデリティが「仮想通貨の冬」脱却の5要因を公表
- 価格サイクルや規制、金融政策など相場転換の条件を整理し、市場回復のシナリオを検証
フィデリティ「仮想通貨の冬」終焉の条件を提示
米資産運用大手Fidelity(フィデリティ)は2026年6月29日、過去の「仮想通貨の冬」と呼ばれる弱気相場を振り返り、その終息局面に共通して見られた要因を整理したレポートを公表しました。
同レポートでは、ビットコイン(BTC)を中心とした現在の市場環境を過去の弱気相場と比較しながら分析し、相場回復につながり得る5つの要因を挙げています。
あわせて、長期的な価格サイクルや規制の進展、金融政策の転換、市場における技術革新、機関投資家の動向といった複数の要素を取り上げ、それぞれが歴代の強気相場で果たしてきた役割を検証しています。
BTC「強気サイクル幕開けの可能性」
歴代の強気転換と一致する5つの条件
レポートでは、ビットコインが2025年10月に12万6,200ドル(約2,040万円)の史上最高値を付けた後に弱気相場へ転じ、3月から5月にかけて一時的な反発を見せた経緯を振り返っています。
現在は2019〜2021年の強気相場で記録した6万9,000ドル(約1,120万円)を下回る水準で推移しており、フィデリティはこの局面を「仮想通貨の冬」と位置付けています。
一方で、2026年6月時点の直近安値は史上最高値から約53%の下落にとどまり、過去の弱気相場で記録した77%以上の下落と比べると、下げ幅は小さいと説明しています。
こうした分析を踏まえ、同社は過去の強気相場に共通していた5つの要因を順に整理しています。
半減期が支える約4年ごとの価格サイクル
1つ目の要因として同社は、2011年以降のビットコインが強気相場の天井と弱気相場の底をおおむね4年ごとに形成してきた周期性を挙げました。
直近の底が2022年11月だったことから、この傾向が続けば次の底は2026年11月前後になるとの見方を示しています。
この周期を支える背景として約4年ごとに実施される「半減期」を挙げ、新規発行量が減少する一方で需要が維持または拡大すれば価格は上昇しやすくなり、その流れが市場全体の上昇にもつながってきたと振り返っています。
ただし同社は、サイクルの長さには一定のばらつきがあるため、売買タイミングを判断する材料ではなく、長期的な相場環境を把握する視点として活用すべきだとしています。
法整備の進展が慎重派の参入を促す
2つ目の要因として同社は、規制整備が進んだ局面では市場参加者の不確実性が和らぎ、強気相場へ移行するケースが多かったと振り返っています。
その一例として、2024年1月にSEC(米証券取引委員会)がビットコイン現物ETP(上場投資商品)を承認したことが、価格を史上最高値へ押し上げる契機になったといいます。
デジタル資産市場に法的な枠組みを与える「CLARITY(クラリティ)法案」についても以前から注目しており、不透明な法環境の改善が進めば、これまで慎重姿勢を取ってきた事業者の活動も活発になるとの見方を示しています。
同法案は2026年5月に米上院銀行委員会を通過し、2026年6月時点では本会議での審議に向けた調整が続いています。
金融政策の転換がリスク資産に追い風
3つ目の要因として同社は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策を挙げています。利下げ局面では借り入れコストの低下によって投資家がリスク資産へ資金を振り向けやすくなるため、仮想通貨市場も過去に恩恵を受けてきたといいます。
一方で、2026年6月時点ではインフレ懸念が残っていることから、年内に利上げへ転じる可能性もあるとしています。
ただし、物価上昇が落ち着き利下げ局面へ移行すれば市場環境は改善しやすく、相場は実際の政策変更より前に織り込み始める傾向があると説明しています。
RWA・ステーブルコイン・AIが有力分野
4つ目の要因として同社は、新たなユースケースの登場を挙げています。2019年から2021年の強気相場ではNFTやミームコインへの関心が高まり、市場全体の資金流入を後押ししたと振り返っています。
現在は、RWA(現実資産)のトークン化やステーブルコイン、AI(人工知能)関連の仮想通貨インフラを有力な分野として位置付けており、このうちステーブルコインは2025年に成立した「GENIUS(ジーニアス)法」を追い風に普及が急速に進んでいるとしています。
その一方で、次の強気相場をけん引するテーマは、現時点では想定されていない分野から生まれる可能性もあるとの見解を示しました。
企業・機関の仮想通貨採用が着実に拡大
5つ目の要因として同社は、機関投資家による採用拡大を挙げています。
2020年には複数の上場企業が仮想通貨をバランスシートへ組み入れ、その後の強気相場を支えたほか、2024年の現物ETP承認や2025年に米国が打ち出した戦略的な仮想通貨準備金の創設方針も、史上最高値更新につながる材料になったと振り返っています。
2026年時点では、機関投資家の参入自体は特別な材料ではなく、弱気相場でも採用は着実に広がってきたと説明しています。
そのうえで、これまでにない規模の資金流入が実現すれば、新たな強気相場を後押しする要因になり得るとの見方を示しました。
フィデリティ「強気転換は断定できない」
ただしフィデリティは、今回挙げた5つの要因はいずれも過去の強気相場で共通して確認されたものであり、同じ条件が揃ったとしても市場の回復が保証されるわけではないとしています。
一方で、ステーブルコインのように実需を背景とした分野では普及が着実に進んでいるとし、市場環境の変化は複数の要因が重なり合うことで生じるとの見方を示しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=161.95 円)
関連の注目記事はこちら
Source:フィデリティ分析
サムネイル:AIによる生成画像



























