この記事の要点
- ベギッチ米議員が押収BTCの売却停止・備蓄化を主張
- 20年保有を定めるARMA法案を提出、米国のBTC備蓄制度化を推進
「押収BTCは金と同じ備蓄に」ベギッチ米議員
米下院のニック・ベギッチ議員は2026年6月17日に公開されたビットコイン政策研究所(BPI)のインタビューで、米政府が押収したビットコイン(BTC)を競売などで手放さず、金と同じ戦略準備資産として長期保有すべきだとの見方を示しました。
ベギッチ議員は「金が貴金属のなかで支配的な準備資産であるのと同じように、ビットコインも仮想通貨のなかで中心的な価値の保存手段になりつつある」と語っています。
そのうえで議員は、世界の基軸通貨がおよそ93年ごとに入れ替わってきたと指摘し、ドルが永遠にその座を保つ保証はないとして、金と同様に「保険的資産」としてビットコインを備える必要性を強調しました。
こうした主張を制度として具体化するため、メイン州選出のジャレッド・ゴールデン議員らと2026年5月に超党派法案「米国準備資産近代化法(ARMA)」を下院へ共同提出しています。
BTC国家準備「政権を超えた制度に」
ベギッチ議員が語るビットコイン備蓄とAIリスク
ソフトウェア起業からBTC保有者へ
ベギッチ議員は、ベイラー大学で起業を学んだのちインディアナ大学で経営学修士(MBA)を取得し、フォード・モーターを経てアラスカでソフトウェア開発会社を立ち上げたと振り返っています。
創業当時はクレジットカード1枚とノートパソコンだけで立ち上げた事業を、議員はその後、3カ国にまたがり約150人の従業員を抱える規模にまで育て上げたといいます。
そうして事業を広げるなかで為替リスクと向き合った議員は、2013年1月、ドル安に備える有望な価値の保存手段になり得るとみてビットコインを保有し始めました。
当時の取引には世界最大級の取引所だったマウントゴックス(Mt.Gox)を使っており、議員によれば同取引所は世界のビットコイン取引のおよそ7割を扱っていたと語っています。
そのマウントゴックスが経営破綻した際にはおよそ440 BTCを失い、議員は自らを「ゴックスされた」と振り返りつつ、破産手続きを経て最終的には失った以上の回収を得たと明かしました。
戦略BTC備蓄に20年の売却禁止を規定
こうした自身の経験を踏まえ、ベギッチ議員は、政府が押収したビットコインを売却せずに長く保有する仕組みを法律として固めるためにARMAをまとめたと説明しています。
同法は、連邦各機関が保有するビットコインを財務省内に新設する「戦略ビットコイン備蓄」へ集約し、移したのちは最低20年間にわたって保有するよう義務づけています。
備蓄に移されたビットコインは保有期間中、売却や交換、競売、担保差し入れによる処分が目的を問わず禁じられており、対象となるのは刑事や民事の没収手続きで政府が取得したものに限られます。
同法はさらに、四半期ごとに保有状況を公開する「準備証明(プルーフ・オブ・リザーブ)」と独立した第三者による監査を求めており、政府が持つビットコインを外部から検証できる体制を整える内容となっています。
「早く備蓄した国が有利」各国動向を指摘
ベギッチ議員は、ある資産が準備資産として機能するための条件として「希少性」と「広く行き渡っていること」の二つを挙げ、産出が限られ世界中で保有されてきた金がその両方を満たしてきたと指摘しました。
そのうえで議員は、ビットコインが仮想通貨(暗号資産)全体の時価総額のおよそ6割を占めるまでになり、保有者の裾野が広がるほど希少性と価値への信認が強まっていくとの見方を示しています。
また「ネットワーク効果が働き始めれば、その流れに早く加わった者ほど優位に立つ」と述べ、米国が早い段階でビットコインを蓄えておく利点を強調しました。
海外ではエルサルバドルが実際にビットコイン保有を進めているほか、チェコでも中央銀行による準備資産化の議論が浮上しているとして、ベギッチ議員は「米国も戦略的な価値を持つ資産をいま急いで手放すべきではない」と訴えました。
AI進歩の光と影、議員が二面性を指摘
インタビューの後半では人工知能(AI)にも話題が及び、議員は、医療や生産性の向上で社会を豊かにする未来と、人間の役割が大きく失われる未来という二つの可能性を対比しています。
とりわけ後者について議員は、人々が仕事を通じて得てきた存在意義そのものが揺らぎかねないとして、社会から役割が一斉に失われたとき人は何のために生きるのかという問いが残ると語っています。
オープンソースのAIをめぐっては、最も高度なモデルを完全に公開することに慎重な姿勢を示し、核技術や一部の生物学研究が厳しく管理されているのと同じ理屈が当てはまると述べました。
そのうえで議員は、いったん公開すれば取り消せない非対称なリスクがあると指摘し、中国がオープンソースを推し進める背景にも、米国のAI投資の勢いをそぐ経済的な狙いがあるとの見方を示しています。
ビットコイン20年売却禁止へ
大統領令から連邦法へ、ARMA審議が継続
米国ではこれまで、トランプ大統領が2025年3月に署名した大統領令を基盤に、押収したビットコインを対象とする戦略ビットコイン準備金の構築が進められてきました。
行政府でも準備金づくりは続いており、ベッセント財務長官は2026年6月3日の上院財政委員会の公聴会で、その構築を「鋭意進めている」と述べ、立法による裏付けの必要性を訴えました。
ベギッチ議員のARMAは、この準備金を大統領令という行政措置から連邦法へ引き上げ、政権交代があっても保有方針が揺らがないようにする狙いを掲げ、下院金融サービス委員会に付託されています。
ARMAは現在も下院金融サービス委員会で審議が続いており、大統領令で始まった戦略ビットコイン準備金を連邦法として制度化できるかが議会で議論されています。
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Source:ビットコイン政策研究所インタビュー
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

























