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ブロックチェーンは自動車産業をどのように変えるのか?


ブロックチェーン(Blockchain)技術は自動車産業に大きく成長させる可能性を秘めています。自動運転技術の可能性を広げ、カーシェアリングなどにおける車両や顧客情報の管理にも効果的な機能を発揮する分散型台帳技術(DLT)の特性は、車業界の未来を劇的に変えることができると期待されています。この記事では、実際にどのような変化がもたらさられることになるのか?の一部を紹介します。

こちらから読む:自動車産業に革命をもたらす「ブロックチェーン」を分かりやすく解説

自動運転技術とブロックチェーン

自動運転技術を用いた自走車の研究開発は世界中で積極的に進められていますが、未だに多くの問題を抱えています。

現在開発が進められている自動運転システムは、カメラ、センサー、ジャイロコンパスなどの様々通信機器が複雑に絡み合うことによって成り立っています。『クルーズコントロール』や『自動ブレーキ』などの便利な機能には、これらの機器の全てがうまくコミュニケーションを取る必要があります。すでに多くの車に導入されているこれらの機能が、より理想的で安全な自律走行を達成するためには、さらなる効率化を測る必要があるだけでなく、その他の様々な改善点も残されています。

スマートコントラクトの技術はこれらの問題を解決できる可能性を秘めています。ブロックチェーンのデータの処理速度はまだ速いと言えるものではありませんが、その速度がさらに高速化されれば自走車両の通信を効率的に処理することができる可能性があります。

アイオータ(IOTA/MIOTA)の「Tangle」のような技術はこのような面でも大きな期待を集めています。現時点では、ブロックチェーン技術にも様々な問題点があるため、これらの内容には多くの議論が必要となりますが、ブロックチェーン技術を活用することによって得られるその他の利点も考慮すると、実際に活用して研究に取り組むことに大きな意味があることは明らかです。

自走車両のデータ管理

ブロックチェーン技術は自走車両の研究を進めるために必要な膨大なデータの収集・管理においても大きなメリットをもたらします。

自動車の内部で行われるデータ通信を処理することももちろん必要ですが、本格的に自動運転が普及する社会を作るためには、内部だけでなく外部の膨大なデータも適切に処理して管理・保存する必要があります。

自動運転技術は革新的なアイデアではありますが、それには大きなリスクが伴っていることにも注意が必要です。実際に自動運転で走行している車は世界的にも限られており、研究を進めるために必要なデータは決して十分とは言えません。

ブロックチェーン技術を用いてこれらのデータを蓄積して管理することによって、この問題点は大きく改善できると考えられます。それぞれの車両から送信されるデータは、分散化された状態で安全に管理され、場合によっては複数の企業がそれらのデータを元にしてさらなる研究開発に取り組むことができる可能性もあります。

様々な自動車メーカーが協力して利用できるブロックチェーンが世界中で採用されることになれば、自動車産業は飛躍的な成長を遂げることになるでしょう。自動運転の研究を効率よく進めるためには、膨大な量のデータをいかに適切に管理するかが重要なことと一つとなります。

カーシェアリングの促進

カーシェアリングのサービスは世界的に導入が進んでおり、すでに多くの人々が実際に利用しています。

物事をシェア(共有)する場合にはブロックチェーンが特にそのメリットを発揮します。ブロックチェーンベースであらゆる車両やユーザーの情報が管理されることによって、圧倒的なコストパフォーマンスで豊富な車両やユーザー情報を管理することができます。

全てのデータはリアルタイムに記録・管理され、改ざんされる心配もなく、何か問題が発生した場合には過去のデータから素早く原因を見つけ出すことが可能になります。中央管理型のシステムでは必然的に付加的な料金が必要となってくるため、使用料金も割高になってしまいがちですが、理想的に分散化されたブロックチェーン上でサービスが提供される場合には、そのようなコストも最小限に抑えることができます。

レンタカー・サービスでの活用

レンタカーなどのサービスにブロックチェーン技術を導入すれば、より効率的なサービスを提供することができます。

消費者が車をレンタルする場合には、何か問題がおきた時のために各書類を提出する必要があり、現在も紙ベースで書類を管理しているサービスが多く存在します。ブロックチェーン上でデジタル化されたデータとして管理することによって、従来の紙ベースの情報管理よりも効率よく作業をこなすことができ、簡単なスキャンで必要な手続きを終えることができます。

より詳しく情報を管理するシステムが実装されるのであれば、盗難などの問題にも対処することができ、問題が起きた場合や書類などが必要な場合においても、書類を探すといった時間のかかる作業を大幅に減らすこともできます。

自動車製品の信頼性と透明性

自動車の部品などを製造する工程からブロックチェーン技術を導入することによって、製品の安全性や信頼性を大きく向上させることができます。

自動車の部品に欠陥があった場合には、ドライバーの命に関わる危険性もあるため車の各部品の製造や運送などの過程には細心の注意を払う必要があります。もし製造の途中段階で何か重要な問題が発生した場合には、その原因が何だったのかを迅速に調査して対応する必要があるだけでなく、場合によってはすでに販売されている車両にもメンテナンスを行う必要があるため、それらの作業は非常に膨大な作業や時間、コストがかかることになります。

これらの気が遠くなるような作業も、ブロックチェーンをベースにして製造段階から消費者の手元に届くまでの全ての情報を記録して管理することによって、パソコンやスマートフォンで簡単に情報を調べることが可能になり、最終的には部品の”過剰在庫”を削減することもできます。

デジタル運転免許証で「偽造・詐欺」などに対処

ブロックチェーン技術は、運転免許証のデジタル化にも活用され始めています。従来の運転免許証には”偽造”などの問題が絡んでいましたが、ブロックチェーン技術を用いて免許証のデータをデジタル化することによって、免許証の偽造や詐欺などの問題に対処することができると期待されています。

デジタル化された運転免許証はスマートフォンで管理することができるため、持ち運びも便利になり、免許証による本人確認もより簡単になります。

このような「デジタル運転免許証」を実用化するためには、ブロックチェーン上に記録された免許証情報が法的に認められる必要がありますが、一部の国や地域ではすでにブロックチェーン技術に基づいたデータや契約などが法的に認められているため、そのような地域ではブロックチェーン技術を活用した運転免許証がこれから普及していく可能性あると考えられます。

ブロックチェーンを導入する大手自動車メーカー

今回紹介した内容は、ブロックチェーンが自動車産業にもたらす変化の一部にしか過ぎません。実際にはこれらの他にもはるかに多くのメリットが秘められています。

世界中の大手自動車メーカーはすでにブロックチェーン技術の活用に取り組んでおり、名だたる大企業が様々な研究や実験に取り組んでいます。

またIOTAのような仮想通貨プロジェクトと協力した電気自動車の充電設備なども試験的に導入が進められており、それらのテストの成功報告なども数多く報告されています。

空飛ぶ車の開発にはまだ程遠いかもしれませんが、ブロックチェーン技術の誕生によって『自動運転が可能な環境に優しい安全な車』は近い将来に私たちの手元に届くようなる可能性が高まってきています。現在も研究開発に取り組む、自動車メーカーなどからの最新の発表からは今後も目が離せません。