IBMはブロックチェーン(Blokchain)技術を活用した食品追跡ネットワーク「Food Trust」を発表しました。同社は食品流通の透明化と効率化を行うためのソリューションを提供しており、食品の品質保証を行うことができます。これにより、食品に関わる様々な問題を解決することができるため、世界中の人々の健康が保証されると期待が寄せられています。
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IBM Food Trustとは
IBM Food Trustは、ブロックチェーン技術を利用して、食品の流通過程を透明化することによって、安心安全な食品の説明責任を果たすネットワークです。
現代社会における食品の流通過程には、さまざまな人々と企業との間で数多くの取引が行われています。「Food Trust」は、このプロセスを単純化して、生産者や加工業者、卸売業者、流通業者、製造業者、小売業者等を繋ぎ、食品流通に関わるデータを安全かつ効率的に共有することを可能にします。
ブロックチェーン(Blokchain)を活用した認証データ管理
「Food Trust」はIBMのブロックチェーンプラットフォーム上に構築されたクラウド・ベースのSaaS(software-as-a-service)と呼ばれる問題解決型のサービスです。
このサービスの利用者は、包括的な食品流通ネットワークを通じてシームレスに連携・協力して認証データを安全に共有することができます。
利用者は、ドキュメントに食品供給データを記録し、全ての検査記録や認証記録のアップロードや管理、利用者への共有および表示をすることができます。これらの情報は機密データとして扱われ、利用者がアクセス制限を行うこともできるようになっており、全ての取引は永久的に信頼性の高い状態で管理されるようになっています。
食中毒やアレルギー問題を軽減
「Food Trust」を用いて効率的な食品管理を行うことによって、食品のリコールやその他の食品安全に関わる問題に迅速に対応することができるようになるため、「食中毒」や「食品の偽造」や「異物混入」などといった、食品の流通過程でおこる様々な問題を解決するための糸口になると期待されています。
リコール機能によるデータ参照
IBMは今までは不透明であることが多かった食品データを、ブロックチェーン技術を用いた食品追跡およびリコール機能を活用することによって、標準化されたデータの発行と照会を可能にしています。
これによって、消費者は買い物をする際にその食品がどこで、だれに、どのように生産され、自分の手元に届いたのかを簡単に確認することができるため、安心して食料品を購入することができるようになります。
品質認定による食品の保証書
このシステムを利用することで、生産者から消費者までがネットワークを通じて、登録されている、単一の検査結果や品質認定された食品のデータを共有することが可能になります。これにより、「ニセモノの食品」を排除し、ブランド化されている食品の生産者はもちろん、消費者の食品への信頼を守ることができます。
世界中の大手食品会社が参加
IBMが提供する「Food Trust」のネットワークには、世界中の企業が参加することができるようになっており、卸売業者は無料でネットワークにデータを保存することができます。また、中小企業やグローバル企業は企業規模に合わせて、月額100ドル(約11,000円)から「SaaS型モジュール」を利用することができます。
このモジュールには、
・安全性確保のために食品を追跡する「Trace」
・デジタル証明書を検証する「Certifications」
・ブロックチェーン上のデータ管理を行う「Data Entry and Access」
の3つの要素が含まれています。
現時点では、以下の企業が「Food Trust」への参加を表明しており、今後も多くの企業の参入が予想されます。
・食品供給業者:BeefChain
・アメリカの肉処理企業:Smithfield
・フルーツジュースとピューレ企業Dennick Fruit Source(デニスニック・フルーツ・ソース
・世界最大の食品飲料メーカー:Nestle(ネスレ)
・世界最大の食品多国籍企業:Tyson(タイソン)
・アメリカスーパーマーケットチェーン:Kroger(クローガー)
・食品や家庭用品の多国籍企業:Unilever(ユニリーバ)
安全な「食品」を世界中に
日本では、2001年にBSE(牛海綿状脳症)による食品問題が発生しており、これをきっかけに農林水産省は食品追跡システムの構築に力を入れてきました。このような食品に関する問題は世界中で発生しており、現在も重要な問題となっています。IBMが今回発表した「Food Trust」のサービスは、これらの問題を解決できる可能性を秘めています。
IBM Food Trustは当初、「食品の安全性」を強化することを目的としていましたが、現在はモノのインターネット(IoT)やビッグデータなどといった複数の技術を利用して、廃棄物の削減や生産や消費の動向分析にも力を入れています。
これにより食中毒やアレルギー、食品の偽造や感染症の問題解決だけでなく、世界中の食品ロスを軽減し、食べ物を十分に得られない国への再分配をも可能にするのではないかと予想されます。このサービスは、保証書つきの食品流通で消費者の健康と安心を守り、それらが効率よく分配されることで地球環境をも守る可能性を秘めています。今後、世界中で取り入れられることが予想される「Food Trust」には期待が高まります。
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