チリの財務局は「税金の徴収」などにブロックチェーン技術を取り入れることによって、徴税プロセスを合理化することを目指す新たなプロジェクトを立ち上げたことを発表しました。国家規模で「Blockchain」の活用に取り組んでいるチリは政府業務の様々な分野の改善活動に取り組んでいます。
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納税に関する情報をブロックチェーン管理
チリの財務局(TGR)は、公的機関によって処理される「税金」や「特許料」などに関する情報をブロックチェーン上で管理するプラットフォームの試験運用を開始したことを2018年12月19日に発表しました。
このプロジェクトは、税金を徴収する際などの取引プロセスにおいて「情報が失われる」といった問題が発生していたことを受けて立ち上げられたと伝えられています。チリの市民が支払った税金は銀行を経由して自治体に送られますが、異なる3つの組織が関与することによって、これらの取引はやや複雑なものとなっており、情報管理にも混乱が発生していました。
今回発表された「TGR Blockchainプロジェクト」では、税金を徴収する際のプロセスにブロックチェーン技術を取り入れることによって、徴税プロセスを合理化することができると期待されています。
具体的には、複数のノード(*1)をホストする「取引の自動化システム」を作成する予定だとされており、このシステムでは、取引が行われる度に「トランザクション情報」と「前のドキュメントのハッシュ値」がブロックに格納されてブロックチェーンが生成されるようになっていると伝えられています。
(*1)ノード:ブロックチェーン・ネットワークに接続されている全てのコンピュータ機器
このブロックは生成される度に参加している全てのノードに送信されて記録されるようになっているため、後から情報に変更を加えることができないようになっています。もし仮に誰かがブロックに変更を加えた場合には、その他のノードが「記録されている正しい情報」との間に違いが生まれていることを発見して拒否するようになっているため、透明性が維持され、不正行為などにも対処することができます。
チリの財務局は、ブロックチェーン技術に基づいた「政府機関や銀行で使用される共通のデータベース」が立ち上げることによって、必要とされているセキュリティを提供しつつ、データの不一致を解消し、支払いに必要な時間を短縮し、運用コストを削減することができると説明しています。
ブロックチェーンで「業務改善」を図る
チリ政府は「エネルギー」や「金融」などを含む複数の分野でブロックチェーン技術を活用していくための方法を模索しています。
チリの国家エネルギー規制機関は2018年4月に、国のエネルギー部門からのデータを記録するためにイーサリアムのブロックチェーンに基づいたプロジェクトを開始すると発表しました。
また昨年10月には、チリの議員であるMiguel Angel Calisto(ミゲル・アンヘル・カリスト)氏とGiorgio Jackson(ジョルジオ・ジャクソン)氏が、サイバーセキュリティの水準を高め、様々な公的機関の官僚を削減するためにあらゆる分野でブロックチェーン技術を活用していく計画をまとめた決議案を提出しています。
ブロックチェーン技術を政府業務にも積極的に活用していく動きを見せているチリは、ブロックチェーンの分野においてこれからさらなる成長を遂げていくことになるでしょう。
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