アメリカ・ネバダ州北西部に位置する商業・観光都市「リノ」では、2018年4月から12月の期間にかけて約950件もの結婚(婚姻)証明書がブロックチェーン上で発行されています。結婚届けなどを迅速に受理して管理することができる「Blockchain技術」は、その他複数の証明書の発行にも役立てられています。
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結婚届けの処理時間を「24時間以下」に短縮
ブロックチェーン技術を用いた結婚(婚姻)証明書は、2018年4月からネバダ州で二番目に人口が多いワショー郡で導入が開始されており、その後はラスベガスに次ぐ人口数を誇るリノでも活発に発行されています。
この結婚証明書の発行にはイーサリアム(Ethereum/ETH)のブロックチェーン技術が使用されており、2018年4月〜12月の9ヶ月間にかけて「950件以上」の結婚届けが処理されています。
このシステムを用いて結婚証明書を発行した場合、証明書は夫婦が所有するパソコンやスマートフォンに送信されることになりますが、データを複製できてしまうことなどの理由から「デジタル証明書」の発行を希望しない人もいると伝えられています。
政府関係者の役職やライセンスをブロックチェーン上で記録するサービスを提供している「Titan Seal」のPhil Dhingra氏は、伝統的な結婚証明書は処理するのに10営業日ほど必要になるのに対して、ブロックチェーン技術も用いて証明書を発行する場合には24時間もかからないと説明しており、証明書をブロックチェーン上で管理することによって、それらのデータを使用したい時に簡単に何度でも利用することができるとも説明されています。
ブロックチェーン技術を用いて各種証明書を発行する取り組みは長い間続けられてきており、2014年にはブロックチェーンに基づいた”地理的な制約のない新しい国家の形”を提案している「Bitnation(ビットネーション)」が主催した”世界初のブロックチェーン結婚式”でDavid Mondrus氏とJoyce氏の結婚がビットコイン(Bitcoin/BTC)のブロックチェーン上に記録されました。またスウェーデンでは、ブロックチェーン技術を用いて同性愛者同士の結婚を支援するプロジェクトも進められています。
スウェーデンで進む「同性愛結婚」支援プロジェクト
出生・学位証明書への活用事例も
ワショー郡とリノでは「ブロックチェーン技術」を活用して結婚証明書を発行する実証実験が行われていますが、同じくネバダ州のエルコ郡では“出生証明書”をブロックチェーン上で発行するテストが進められています。
ブロックチェーン技術を用いた出生証明書の発行はインドでも進められており、複数の政府機関がブロックチェーン企業と協力して個人識別情報を所有・管理・共有するための環境作りに取り組んでいます。
また、その他の国では大学などの”学位証明書”をブロックチェーン上で発行する事例も複数報告されています。情報の改ざんを防止し、安全に保管・管理することができるブロックチェーン技術は、今後も様々な証明書の発行に役立てられていくことでしょう。