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ブロックチェーンで「臨床試験データ」を管理|医療業界の成長促進なるか


臨床試験(治験)のデータ管理にブロックチェーン技術を取り入れることによって、安全かつ効率的に効果的な治療方法を模索していくことができる新しいシステムが開発されました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者によって開発されたこのシステムは、医療業界全体の研究を大きく成長させる可能性を秘めています。

こちらから読む:データ管理で幅広く活用される「ブロックチェーン」の仕組み

臨床試験(治験)のデータ管理を効率化

アメリカ・カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者は、ブロックチェーン技術を用いて臨床試験(治験)のデータを管理する新しいシステムを開発しました。このシステムは、違法な”データ改ざん”を効果的に防止する監査証跡(*1)を作成します。
(*1)監査証跡:情報システムなどの処理プロセスを後から確認できるように、時系列に沿って保存した記録のこと

このシステムを用いてデータ管理を行えば、臨床試験によって集められたデータをより効率的な方法で扱うことができるようになるため、「効果的な治療法」や「副作用の軽減方法」などを容易に発見することができるようになると説明されています。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAtul Butte(アチュール・ビュート)教授は、このシステムについて次のように述べています。

「医療分野のデータ管理における課題解決に”ブロックチェーン”をどう役立てることができるか」について多くの人々が話し合いを行なっています。このシステムは実際に意味を成す可能性のある一つの例です。

私たちはこのシステムがいずれ「臨床試験を行なっている製薬会社」の役に立つだろうと考えています。

このシステムはウェブポータルを通じて動作するようになっており、治験参加者の新しいデータが入力されるたびに、その患者に関する以前のデータと共に、送受信者、タイムスタンプ、添付ファイルなどが新しいブロックに記録される仕組みとなっています。

特定の目的で「情報の修正」を可能に

一般的なブロックチェーンアプリケーションの「分散化された性質」とは少し違い、このシステムは米国食品医薬品局(FDA)などの一元化された権限を有している規制当局によるウェブポータルの運営、当事者の登録、ブロックチェーン元帳の管理に依存しています。

それぞれのデータはリアルタイムに規制当局に報告されることになるため、臨床試験の安全性と効率が向上する可能性があります。しかしながらこのプロトタイプは、データの入力と「その他エラーの修正」を行うことを考慮して設計されているため、データの改ざんを完全に防止することはできません。データの修正が可能になっているのは、現場で患者データを入力する人が「誤ったデータ」を入力してしまった場合に適切な情報に修正する必要があるためです。

問題があった場合の修正は加えることができるように設計されているものの、新しいデータは既存のチェーンに追加することしかできないようになっており、誰かが変更を加えた場合には「誰がどの情報を変更したのか?」確認できるようにも設計されているため、ブロックチェーンが持つ利点の一部の恩恵を受けることができるようになっています。

「一度記録された情報に修正を加えることができる」という点に関しては批判的な意見が出ることも予想されますが、それでも「セキュリティ」や「透明性・効率」などの面に関しては、これまでよりも優れたデータ管理手段として機能する可能性があります。

ブロックチェーン技術は多くのメリットを備えていますが、業界や用途によっては特定の機能に制限をかけなければならないこともあるため、このシステムにおける「データの修正」に関しては適切な対応であるとも考えられます。また現時点ではプロトタイプとなっているため、これから修正が加えられることによって、より良いものになる可能性もあります。

例を挙げるならば、このプロトタイプに基づいて構築されたシステムは「国際臨床試験の監視」を可能にするためなどに活用できる可能性があります。そして研究者がより純粋なデータにアクセスできるようにするために、あるいは公的に試験結果を提供するために機能を拡張することができるでしょう。
ー Atul Butte

いずれにせよ、膨大な患者データを安全かつ効率的に記録・管理することが必要とされる臨床試験(治験)にブロックチェーン技術を活用する取り組みは、大きな可能性を秘めた活用事例の一つであることは間違いないと言えるでしょう。


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