北欧アイスランドの金融規制当局(FME)は、ブロックチェーン・スタートアップ企業「Monerium(モネリウム)社」に対して、電子マネーの発行を承認しました。この電子マネーはブロックチェーン上で動作し規制にも準拠しているため、仲介業者を通さず公共・民間と多くの場面での活用が期待されています。また現在はβ版となっていますが2019年後半の正式運用を目指しています。
こちらから読む:日本国内でも導入が進む「電子マネー」関連ニュース
「電子マネー発行」の承認獲得:Monerium
アイスランドのレイキャビクに本社を構えるMonerium社は、2019年1月にConsenSys(コンセンシス)から200万ドル(約2.1億円)の資金調達に成功したブロックチェーン企業です。
Monerium社は、2019年6月14日に同国の規制当局(FME)からブロックチェーン上で電子マネーの発行および営業を承認された事を発表しました。これによりヨーロッパでは初となる電子マネー規制に準拠した事業展開を行う企業となります。
同社は、ブロックチェーン技術を活用する事で仲介業者を介入させる事なく「欧州経済地域(EEA)全域での支払いや電子商取引および金融や証券決済」と幅広い電子マネー取引の活用を可能にする事を目指しています。
また発行される電子マネーは、イーサリアム(Ethereum/ETH)ブロックチェーンを通じて中央銀行が発行する通貨と近い形で動作されるとされていますが、今後はオープンソースとプライベート両方の多様なブロックチェーンプロトコルでのサポートも予定されています。
各国の「法定通貨建て電子マネー」も発行予定
Monerium社によれば、まず初めにEU全域での利用可能とする「アイスランドの法定通貨クローナ(ISK)建ての電子マネー」を発行し、将来的には国境間を超えたシームレスな決済を実現するため世界各国の法定通貨も追加していく方針だとしています。
なお、Monerium社の電子マネー・プラットフォームは現在はクローズドβ版となっておりISK建ての電子マネーは数日で利用可能になるとしています。2019年第4四半期にはより多くのユーザーにサービスを提供できる予定です。
現在、多くの企業がブロックチェーン技術を活用して法定通貨と連動したステーブルコインの開発を進めていますが、規制に準拠し既に普及しつつある電子マネーの発行がどのような影響を与えるのか興味深いと言えるでしょう。
電子マネーに関する記事はこちら