暗号資産(仮想通貨)に対応したデビットカードを発行していた「Wirecard Card Solutions(WCS)」がイギリスの金融行為規制機構(FCA)から業務停止命令を受けたことによって、「Crypto.com」や「TenX」などの企業が提供している暗号資産デビットカードが欧州で利用できなくなったことが明らかになりました。
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Wirecard子会社に業務停止命令
イギリスの金融庁にあたる「金融行為規制機構(FCA)」は2020年6月26日に、ドイツの決済サービス企業「Wirecard(ワイヤーカード)」の英国子会社である「Wirecard Card Solutions(WCS)」に業務停止命令を下しました。
Wirecard(ワイヤーカード)は同社の監査人である「Ernst & Young」が21億ドル(約2250億円)もの不明金に気付いたことを発端として、同社の前CEOであるMarkus Braun(マークス・ブラウン)氏が詐欺容疑で逮捕されるなどの問題に直面しており、今月25日には『差し迫った破産と債務超過により、ミュンヘン地方裁判所に破産手続きを申請することを決定した』との公式発表が行われていました。
Wirecard Card Solutions(WCS)は、FCAからライセンスを得た上で暗号資産に対応したVisaデビットカードをを展開していましたが、これらの件に関連して業務停止命令を受ける形となりました。
一部の「暗号資産関連企業」に影響
WCSに対する業務停止命令は、同社に関連する暗号資産関連企業にも影響を与えており、“暗号資産対応のVisaデビットカード”などのサービスを提供していた「Crypto.com」や「TenX」のVisa暗号資産デビットカードも2020年6月26日から欧州で利用不可になったことが報告されています。
しかしながら両者は顧客資産などが安全であることを報告しており、「Crypto.com」は『顧客の資産はすべて安全で、48時間以内には利用者のウォレットに資産が全額返金される』と、「TenX」は『顧客資産はWirecardではなくTenXによって保管されているため安全であり、ウォレットサービスなどは通常通り使用できる』ということを説明しています。
なお「Crypto.com」は、暗号資産デビットカードのサービス再開に向けて、新しいベンダーに移行する準備を進めていることも明かしています。
追記:FCA、WCSの活動再開・発行を許可
(追記:2020年7月1日)
金融行為規制機構(FCA)は2020年6月29日に「Wirecard Card Solutions(WCS)」の活動再開と発行を許可しました。これにより「Crypto.com」や「TenX」の暗号資産デビットカードも許可されており、この両社も暗号資産デビットカードが再び使用可能となったことを報告しています。