イーサリアムの「The Merge・ETHS・ETHW」とは?暗号資産取引所の対応方針まとめ
イーサリアム(Ethereum/ETH)の大型アップグレードである「The Merge(マージ)」の概要や、ハードフォークによって誕生する可能性のある「ETHPoS/ETHS」や「ETHPoW/ETHW」、各種暗号資産取引所のETHアップグレード対応方針などを初心者向けにわかりやすく解説します。
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- 1. イーサリアムの「The Merge」とは?
- 2. ハードフォークで「ETHS・ETHW」分岐の可能性
- 3. 取引所の「The Merge・ETHW」対応方針一覧
- 3.1. Huobi Japan(フォビジャパン)
- 3.2. bitFlyer(ビットフライヤー)
- 3.3. bitbank(ビットバンク)
- 3.4. FTX Japan
- 3.5. SBI VCトレード(SBI VC Trade)
- 3.6. DMMビットコイン(DMM Bitcoin)
- 3.7. GMOコイン
- 3.8. Coincheck(コインチェック)
- 3.9. Kraken(クラーケン)
- 3.10. OKCoinJapan(オーケーコインジャパン)
- 3.11. Zaif(ザイフ)
- 3.12. サクラエクスチェンジビットコイン(SEBC)
- 3.13. CoinBest(コインベスト)
- 3.14. Liquid by FTX(リキッド)
- 3.15. BINANCE(バイナンス)
イーサリアムの「The Merge」とは?
イーサリアム(Ethereum/ETH)の「The Merge(マージ)」とは、イーサリアムで採用されているコンセンサスアルゴリズム(取引承認・合意形成の仕組み)を「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work/PoW)」から「プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake/PoS)」へと移行する大型アップグレードであり、イーサリアムの歴史上最も重要なアップグレードとしても注目されています。
PoSは仮想通貨業界で人気の第三世代ブロックチェーンでも広く採用されている環境にも優しい高性能なコンセンサスアルゴリズムであり、「PoWに比べて消費エネルギーを99%削減できる・51%攻撃への耐性を強化することができる・トランザクションが覆る可能性をさらに下げることができる・ブロック生成時間を安定させることができる」など様々なメリットがもたらされると期待されています。
「The Merge」の実施日時は正確には確定していないものの、イーサリアム財団は8月24日の発表で「The Mergeが2022年9月10日〜20日の間に実施される予定であること」を正式に発表、具体的にはマイニングの最終合計難易度(Terminal Total Difficulty/TTD)が「58,750,000,000,000,000,000(2022年9月15日頃になる予定)」に到達したタイミングでマージが実行されることを報告しています。
※TTD到達のリアルタイム予想は「Bordel.wtf」や「797.io/themerge」のウェブページで確認可能
なお、イーサリアムの「The Merge」に関しては『ガス代が安くなる・取引が著しく速くなる・ステーキングAPRはマージ後3倍になる』などのメリットがあるとの意見が一部で出ていますが、イーサリアム財団は2022年8月17日に公開した記事の中で『そのような認識は全て誤解である』ということを説明しています。
ハードフォークで「ETHS・ETHW」分岐の可能性
イーサリアムの大型アップグレード「The Merge」が実施されることによって、現在のイーサリアムはPoSを採用した新しいイーサリアムへと移行する予定となっていますが、現在は「イーサリアムのPoS移行後に現在のイーサリアムの演算能力を他ブロックチェーンの支援に回す」「イーサリアムのハードフォークを行なってチェーン分岐後もPoWを使い続ける」という2つの意見が出ているため、ハードフォークによってETHが2つのチェーンに分裂する可能性があると言われています。
分岐が発生しなかった場合はPoS版イーサリアムが「ETH」として利用されていくことになると予想されますが、分岐が発生した場合には「PoS版イーサリアム(ETHPoS/ETHS)」と「PoW版イーサリアム(ETHPoW/ETHW)」という2種類のイーサリアムが誕生することになります(※ETHPoS/ETHS・ETHPoW/ETHWなどの呼び方は取引所によって違いがあります)。
もしもイーサリアムが「ETHS」と「ETHW」に分裂した場合、既存のETH保有者は「ETHS」と「ETHW」の両方を受け取れる可能性がありますが、実際に両方の通貨を受け取れるかどうかは「取引所やウォレットなどのサービスプロバイダーの対応次第」となるため、両方の通貨を確実に受け取りたい場合には、自分がETHを保管している取引所・ウォレットなどの対応方針をしっかりと把握して、適切な場所でETHを保有しておく必要があります。
このような状況を受けて、国内外の暗号資産取引所などからは「The Merge」や「ETHPoW/ETHW」への対応方針が続々と発表されているため、以下の項目では各取引所発表内容をまとめています。
取引所の「The Merge・ETHW」対応方針一覧
Huobi Japan(フォビジャパン)
- PoSへのアップグレードプランを尊重する予定
- フォーク時に無料配布されるトークンの対応を検討
- 分岐時にはマージ前にETHの保有量記録(スナップショット)を実施
- ハードフォーク成功時は1:1の割合でETHが"ETHS"に自動変換され、ETHという名称が取引市場から削除される可能性がある
- ハードフォークしない場合は"ETH"のトークン名称を使用し続ける
- ETHWの取扱いについては現時点で未定
- ETHWの取扱承認が得られなかった場合はETHWの付与/相当額の現金交付ができない可能性あり
- 2022年9月6日20時からETHとERC-20トークンの入出金を一時停止
- 2022年9月14日8時〜9月16日8時にかけてETHとERC-20トークンの入出金を一時停止
【一時停止対象通貨】
ETH、HT、BAT、ENJ、JASMY、OMG、COT
>>「Huobi Japan」の公式発表①はこちら
>>「Huobi Japan」の公式発表②はこちら
bitFlyer(ビットフライヤー)
- ETHPoWが誕生した場合は、ETHPoWトークンの価値・ユーザーからの要望などを注視し、状況によってはETHPoW現物での付与・取扱い/価値相当額の現金交付を検討
bitbank(ビットバンク)
- イーサリアムのアップグレードThe Mergeに対応する
- 現時点でのETHWの取扱いは未定
- ETHWの取扱いを開始するためには、社内でのリスク評価や日本暗号資産取引業協会の規則に沿った手続きが必要
- ビットバンクはETHWの発生時点でユーザー資産のスナップショットを取得する
- ETHWを取扱わない場合はETHWの付与も行わない
- チェーンの分岐で取得したETHWはコールドウォレットで厳重に管理する
- 2022年9月6日17:00〜2022年9月7日17:00頃にかけてETH・ERC20トークンの入出金を停止
- 2022年9月14日11:00〜2022年9月16日11:00頃にかけてETH・ERC20トークンの入出金を停止
- 対応方針に変更がある場合は改めてお知らせする
【入出金一時停止対象の暗号資産】
ETH, BAT, OMG, LINK, MKR, BOBA, ENJ, MATIC
FTX Japan
- マージ前に取引停止をしたりする予定はなく、ユーザーが問題なく取引ができるようサポート
- ETH-PERPについてはETH PoSの価格を参照
- フォークコインはリスク評価をし、取扱う場合は協会規則等に則り申請し、スナップショットしたユーザー口座の現物ETH残高に応じて順次付与を行うことを検討
- 正当に認められたETH PoWが出現した場合にはPoW ETHを付与する予定
- フォークコインを取扱わない場合はフォークコインの付与も行わない方針
- マージ後のティッカー「ETH」はETH PoSを参照
- Bellatrix(日本時間2022年9月6日20時34分47秒)およびParisの30分前から、ETHやERC-20トークンの入出金を一時的に停止
- ETHを借りているユーザーは、Parisアップグレード前に行われるスナップショット時点でのETH残高に基づいてPoW ETHが請求される
- FTX JPはフォークされたETHPoWの対応方針を変更する可能性がある
SBI VCトレード(SBI VC Trade)
- PoSに移行したETHは継続して取扱予定
- ETHWはThe Merge後のETHWの状況を注視した上で、ETHWの取扱・ETH保有者への付与等を検討
- ETHWの取扱いについてはETHWの流動性の確保や日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の承認の手続きを行う必要があり、関係各所との連携を図っていく
- ETHWの発生時点、及び「The Merge」の際に、一時的にイーサリアム(ETH)の入出庫を停止する予定
DMMビットコイン(DMM Bitcoin)
- ETHの入出金受付制限を実施(受付制限の実施時間は後日報告)
- カバー先の取扱い状況に応じて、ETHやERC-20トークン(ETC・OMG・ENJ・BAT)の取引を一部制限する可能性あり(取引制限の有無・実施時間については後日報告)
- 現時点でETHWの取扱いは未定
- アップグレード実施時点で現物ETHのスナップショットを実施予定
GMOコイン
- 2022年8月29日時点でETHWの取扱については未定
- ETHW発生時点でユーザー資産のスナップショットを取得する予定
- ETHWの取扱に際しては日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が定める規則に沿った対応が必要
- アップグレード後に扱うETHは「PoSチェーン上のETH」を採用する予定
- アップグレード時にはETHやERC-20規格暗号資産(BAT・OMG・ENJ・MKR・DAI・FCR・LINK)の預入送付受付・取引を一時停止
- 2022年9月6日15:00にETHやERC-20規格暗号資産の送受金を停止(安定稼働確認後に再開)
- 2022年9月12日15:00にETHやERC-20規格暗号資産の送受金を停止(安定稼働確認後に再開)
- 2022年9月14日15:00にETHやERC-20規格暗号資産の取引を停止(安定稼働確認後に再開)
- 取引停止の対象サービス:取引所(現物取引&レバレッジ取引)・販売所・暗号資産FX・つみたて暗号資産(取引規制・新規取引規制・有効注文の取り消しを実施)
- 対応方針に進展や変更がある場合には改めてお知らせ
Coincheck(コインチェック)
- コインチェックは「The Merge」に対応する
- マージ後のティッカー「ETH」はEthereum PoSを参照する
- ETHWの取扱い・現物の付与は現時点で未定
- ETHWの価値・安全性・流動性などを総合的に判断した上で、取扱い・現物付与を検討
- ETHWを取扱う場合は日本暗号資産取引業協会(JVCEA)等の審査プロセスを経る必要がある
- 2022年9月6日17:00にETH、BAT、ENJ、OMG、SAND、PLTの送受金を停止予定
- 2022年9月14日12:00にETH、BAT、ENJ、OMG、SAND、PLTの送受金を停止予定
- 2022年9月14日12:00にETH、BAT、ENJ、OMG、SAND、PLTの購入・売却を停止予定
- 2022年9月13日の買付を以てCoincheckつみたて「毎日つみたてプラン」におけるETH、BAT、ENJ、OMG、SAND積立を一時停止予定
- 2022年9月14日12:00に大口OTC取引サービスにおけるETHの購入・売却を停止予定
- 2022年9月6日17:00にCoincheck NFTにおけるNFTの入出庫および出庫申請を停止予定
- 2022年9月14日12:00にCoincheck NFTにおけるNFTの入出庫および出庫申請を停止予定
>>「コインチェック」の公式発表①はこちら
>>「コインチェック」の公式発表②はこちら
Kraken(クラーケン)
- 現在のETHはマージ後「PoS版イーサリアム」に引き継がれる
- アップグレード後もこれまでと同様に取引可能
- マージの間はETHと全てのERC20トークンの入出庫が一時停止される
- 停止措置の開始日時・再開日時に関する最新情報は今後お知らせ
- マージに関してユーザー自身が特段の作業を行う必要はない
- ステーキングサービス利用中のイーサリアム(画面上では:ETH2.Sとして表示)は、マージの後に予定されている「Shanghai(シャンハイ)」と呼ばれるアップデートが完了するまでは、ステーキングの解約・ETH2.Sの移転を行うことができない。マージ後にステーキングを開始したイーサリアムについても同様の取扱い
- ステーキングされたイーサリアムの報酬レートは現在、年間4%から7%とされている。これらの報酬はETH2としてユーザー口座に記録されているが、上記と同様にシャンハイアップデートが完了するまでは取引・出庫を行うことができない。他方、マージ後のステーキングに対しては、新たにETHの報酬も受け取ることができる。当該ETHの報酬は通常のETHとして付与されるため取引・出庫を行うことも可能
- ETHW発生時のETHW取扱い・現物付与は現時点で未定
- フォークした暗号資産の現物付与の対応を行う場合には、マージ前の口座残高に基づいて処理が行われる
- スナップショット日時は対応方針・詳細が確定し次第お知らせ
- マージ直前に入庫されたETH残高は、ETH残高のスナップショットに含まれない可能性がある
- ETH残高に、ステーキング中のETH(ETH2.S)およびステーキング報酬(ETH2)は含まれない
OKCoinJapan(オーケーコインジャパン)
- ハードフォーク状況・ETHWの価値などを注視してETHW対応を検討
- 現時点でETHWの取扱いは未定
- ETHW取扱い開始の際には日本暗号資産取引業協会(JVCEA)等の審査プロセスを経る必要がある
- 2022年9月6日20:00からETH・ERC20規格暗号資産の入庫・出庫受付を一時停止
【入出庫受付停止の銘柄一覧】
ETH、OKB、ENJ、BAT、PLT、DEP
>>「OKCoinJapan」の公式発表①はこちら
>>「OKCoinJapan」の公式発表②はこちら
Zaif(ザイフ)
- 大型アップグレードへの対応に伴い、ETH・ERC20トークンの入出金を一時停止
- 2022年9月6日12時頃からETH・ERC20トークンの入出金停止(ネットワークの安定稼働が確認でき次第再開)
- 2022年9月14日12時頃からETH・ERC20トークンの入出金停止(ネットワークの安定稼働が確認でき次第再開)
【入出金停止対象暗号資産】
FSCC、CICC、NCXC、COT、ZAIF、CMS:ETH
サクラエクスチェンジビットコイン(SEBC)
- 大型アップグレードに伴い、ETHとCOTの取次サービス・積立サービスを一部停止
- 2022年9月6日午前9時30分からETH・COTの新規注文を停止(安定稼働の体制が整い次第再開)
CoinBest(コインベスト)
- イーサリアムのアップグレード「The Merge」に対応
- ETHWの取り扱いついては現時点で未定
- チェーン分岐で取得したETHWは自社のコールドウォレットで厳重に管理
- アップグレードに伴いETH・DAIの入出金停止を予定
- 2022年9月6日19時~Bellatrixアップグレード終了後の安全が確認できるまでETH・DAIの入出金停止
- Parisアップグレード実施時期に合わせて、改めてメンテナンス時期をお知らせ
>>「CoinBest」の公式発表①はこちら
>>「CoinBest」の公式発表②はこちら
Liquid by FTX(リキッド)
- Bellatrix・Parisの30分前からETH・SOLネットワークにおけるETH・ERC-20トークンの入出金を一時的に停止
- Solana(Wormhole)ネットワークのETHについては、2022年9月15日00:00(UTC)に入手金を停止する予定
- ETH・ERC-20トークンの入出金は、Merge後にネットワークの安定を確認した後に再開する予定
- フォークされたPoW ETHの対応方針について変更する可能性あり
- ETHのティッカーについてはMerge後はPoS ETHを参照
BINANCE(バイナンス)
- 日本時間9月6日20時にETHとERC-20トークンの入出金を停止(Bellatrixアップグレード)
- 日本時間9月15日9時にETHとERC-20トークンの入出金を再び停止(Parisアップグレード)
- 分岐しなかった場合はETHとERC-20トークンの入出金をできる限り早く再開
- 分岐した場合はPoS版イーサリアムで「ETH」のティッカーを使用
- Parisアップグレード前のスナップショットに基づいて、1:1でフォークトークンをユーザーに付与し、出金にも対応
- フォークトークンの新規上場については通常のリスティング基準をもとに審査
- ETHとERC-20トークンの現物・マージン・先物取引はアップグレードの影響を受けずに利用可能
- ETHクロス・分離証拠金の借り入れを日本時間9月14日9時〜9月16日9時まで停止予定
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