仮想通貨取引の申告漏れは総額126億円|国税庁、令和5年度の税務調査結果報告
暗号資産の内容も含む税務調査結果の報告
国税庁は2024年11月29日に、2023年7月1日〜2024年6月30日までの税務調査結果をまとめた「令和5事務年度 所得税及び消費税等調査等の状況」を公表しました。
この資料は国税庁から毎年公表されているもので「インターネット取引を⾏っている個人に対する調査状況」の項目には暗号資産(仮想通貨)に関する調査結果も記載されています。
【報道発表資料掲載のお知らせ】
— 国税庁 (@NTA_Japan) November 29, 2024
「令和5事務年度 所得税及び消費税等調査等の状況」を国税庁ホームページに掲載しています。#所得税 の調査等で把握した申告漏れ所得金額及び追徴税額の総額は、#過去最高 でした。
詳細はコチラ▼https://t.co/uJ65hQEnYl#税務署 #消費税 pic.twitter.com/zYsH40B3qC
暗号資産取引関連の追徴課税は特に多い傾向
仮想通貨取引に関する項目では「暗号資産等取引の1件あたりの追徴税額は所得税の実地調査(特別・一般)全体の2.4倍」と報告されています。
追徴課税とは、本来支払うべき税額よりも納付額が少なかった場合や、納税期限内に税金を納めなかった場合に追加で課せられる税金のことを指します。
暗号資産などの取引を行っている個人に対する調査の1件当たりの追徴課税額は662万円だったとのことで、これは所得税の実地調査(特別・一般)全体の275万円に⽐べて2.4倍の数値であると説明されています。
申告漏れは1件あたり2,356万円、総額126億円
令和5事務年度の仮想通貨取引に関する調査件数は前年度と比べてやや減少しているとのことで、令和4事務年度の調査件数が615件だったのに対して、令和5事務年度の調査件数は535件とされています。
調査件数・申告漏れの指摘数・申告漏れ金額・追徴税額はいずれも前年比で減少傾向にあるものの、今年度の1件あたりの申告漏れ所得金額は2,356万円で、申告漏れ所得⾦額の総額は126億円に上ると報告されています。
仮想通貨取引の損益計算は非常に複雑で、分散型取引所(DEX)、分散型金融(DeFi)、ステーキング、エアドロップなどが加わるとさら計算が難しくなるため、仮想通貨投資家の間では申告漏れの問題が多く発生している可能性があると考えられます。
エアドロップ分にも税金がかかる?
脱税・申告漏れはほぼ確実にバレる?
仮想通貨の税金・確定申告の話になると「脱税したり誤魔化したりするとバレるのか」や「脱税がバレない方法」といった話題が頻繁に出てきますが、今回の調査報告書では仮想通貨取引に関する脱税・申告漏れが非常に高い確率で指摘されていることが示されています。
調査件数自体は前年比で87.0%にまで減少しているものの、今年度の調査件数が535件であるのに対して申告漏れなどの指摘件数は491件であるため、今年度の調査対象者の91.78%が申告漏れなどの指摘を受けたということになります。
確定申告や納税を適切に行わなかった場合には「過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税」などのペナルティが課せられる可能性があり、最も重い重加算税では最大50%の税率が課せられるため、確定申告・納税はしっかりと行うことが重要です。
仮想通貨は匿名性などの理由から「納税しなくてもバレない」と思われがちですが、取引履歴などはブロックチェーン上で追跡できるため、取引所の登録情報・送金履歴などでウォレットアドレスと保有者情報を紐付けることで簡単に個人に保有状況を確認できると予想されます。
2024年に仮想通貨市場で価格高騰が続いていることを踏まえると、来年は仮想通貨関連の税務調査が強化される可能性もあるため、脱税などは考えずに損益計算・確定申告を忘れずに行うようにしましょう。
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Souce:国税庁
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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