仮想通貨担保型の法人向け融資を試験的に実施
ロシアの銀行最大手であるスベルバンク（Sberbank）は2025年12月26日に、仮想通貨マイニング企業を対象とした仮想通貨担保型法人向け融資のパイロット取引を実施したことを発表しました。
今回の試験的な取引の対象となったのは大手マイニング業者の「Intelion Data」であり、同社が自社のマイニング事業を通じて取得したデジタル通貨を担保として提供し、銀行から事業資金の融資を受けるという枠組みがとられています。
ロシア国内において、伝統的な金融機関が仮想通貨を直接的な担保として受け入れ、法人融資を実行した事例は極めて稀であり、今後のブロックチェーン資産を活用した新しい金融サービスの先駆けとなることが期待されています。
独自ストレージ「Rutoken」を活用した高度なセキュリティ体制
仮想通貨を担保とする融資において最大の懸念点となるのが、担保資産の安全な保管と管理です。スベルバンクはこの課題を解決するため、独自の仮想通貨保管ソリューション「Rutoken」を導入したと報告しています。
このシステムには、ロシア製のハードウェア・セキュリティ・ソリューションが組み込まれているため、これによって融資期間中に担保として預け入れられた資産が外部からの攻撃や不正な流出に遭うリスクを最小限に抑え、銀行と借り手双方に高い安全性を提供することが可能となっています。
スベルバンクが実施した仮想通貨担保型法人向け融資の主な特徴や技術的背景としては以下のような点が挙げられます。
- 担保の源泉：
借り手であるIntelion Dataが自社でマイニングしたデジタル通貨をそのまま担保として利用。 - 保管技術：
スベルバンク独自のカストディ・プラットフォームを使用。 - ハードウェア：
「Rutoken」を併用したコールドウォレット管理に近い高度なセキュリティ。 - 法的スキーム：
ロシアの中央銀行と連携し、現行法および将来的な規制枠組みに適合する形での検証。
スベルバンクは、仮想通貨マイニング企業「Intelion Data」に対して試験的な融資を実施しました。この融資ではマイナー自身が採掘したデジタル通貨を担保としています。スベルバンクはこの取引で独自の仮想通貨保管ソリューションである「Rutoken」を採用しました。これにより、融資期間中の資産の安全性を確実に保証する体制を整えています。
今回のようなビットコイン（BTC）をはじめとするデジタル資産の裏付けを持つ融資モデルは、単なる資金供給に留まらず、銀行がデジタル資産のカストディ（保管代行）機能を高度に備えていることを証明する形となりました。
マイナー以外への波及効果も期待
スベルバンクの取締役会副会長であるアナトリー・ポポフ氏は、今回のパイロット取引の意義について、ロシアにおける仮想通貨市場の規制がまさに形成されつつある段階にあることを強調しています。
ポポフ氏は「私たちは中央銀行との対話を通じて、適切な規制上の解決策を開発し、このようなサービスを開始するためのインフラを構築する準備ができている」と述べています。今回のパイロットは、単に一つの融資事例を作るだけでなく、将来的なデジタル資産関連法案の基礎となるメカニズムをテストする重要な役割を担っています。
また、この「仮想通貨担保融資」という金融商品は、マイニング企業だけでなく、貸借対照表に暗号資産を保有している一般企業やWeb3関連企業にとっても、極めて有効な資金調達手段になると予測されています。
ロシアにおけるデジタル通貨市場の規制は、まだ形成段階にあります。我々は中央銀行と協力し、適切な規制措置の策定や、仮想通貨サービスを展開するためのインフラ構築に取り組む準備が整っています。
今回のパイロット取引を通じて、デジタル資産を担保とする仕組みを検証することができました。これは将来の規制の基盤を築くものになると考えています。このような商品は、マイニング業者だけでなく、暗号資産を保有するあらゆる企業にとって意義のあるものになると確信しています
これまで仮想通貨を保有していても、それを法定通貨に換金しなければ資金調達が難しかった企業にとって、資産を売却せずに流動性を確保できるこの仕組みは、ロシア国内のブロックチェーンエコシステムの成長を大きく加速させる可能性を秘めています。
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source：Sberbank
サムネイル：AIによる生成画像
