この記事の要点
- 香港政府が過去最大のデジタルグリーン債で約4,020億円調達
- トークン化預金決済を世界初導入、定期発行の継続も表明
デジタルグリーン債で4,000億円超調達
香港特別行政区政府は2026年9月29日、政府持続可能債券プログラムのもとで、総額約200億香港ドル(約4,020億円)のデジタルグリーン債について価格決定を完了したと発表しました。
香港政府によるデジタルグリーン債の発行は2023年の初回から数えて4回目で、今回は香港ドル、人民元、米ドル、ユーロの4通貨建てで実施されています。
発行規模はデジタル債として過去最大となり、4通貨に対する投資家の応募倍率も1.3倍から11.3倍に達したと香港政府は明らかにしました。
発行規模の拡大に加えて、香港ドル建てトランシェの一次発行決済には、新たにトークン化預金が導入されています。
香港ではこれまでの発行でも決済手段のデジタル化が段階的に進められており、前回採用されたトークン化中央銀行マネーに続いて、今回はトークン化預金まで対象が広がりました。
トークン化預金とは
世界初、トークン化預金でデジタル債決済
香港ドル決済にEnsembleTXを初採用
第4回となる今回の発行では、EnsembleTXを基盤とするトークン化預金が香港ドル建てトランシェの一次発行決済に初めて組み込まれています。
香港政府によると、香港ドルのトークン化預金をデジタル債の発行時決済に統合した事例は世界初となります。
同政府は、これまでのトークン化中央銀行マネーに続いて新たな決済手段を加えたことで、デジタルマネーのプログラム機能を検証する範囲が広がったと説明しました。
4通貨の発行条件と信用格付けが確定
4通貨の各トランシェは9月28日に価格が決まり、通貨ごとに年限、発行額、利率が設定されました。
| 通貨・年限 | 発行額 | 利率 |
|---|---|---|
| 香港ドル・2年 | 55億香港ドル | 3.80% |
| 人民元・5年 | 75億人民元 | 1.65% |
| 米ドル・3年 | 2億米ドル(約315億円) | 5.023% |
| ユーロ・4年 | 4.5億ユーロ(約800億円) | 3.734% |
今回の発行では国際資本市場協会(ICMA)の「債券データ分類(BDT)2.0」も採用され、香港政府は債券データの一貫性や相互運用性、自動化の向上を図ると説明しています。
発行条件の確定にあわせて、信用格付けはフィッチがAA-、ムーディーズがAa3、S&PがAA+となり、いずれも香港政府の長期格付けと同じ水準が付与されました。
これらの債券は、HKMA(香港金融管理局)が運営するCMUとHSBC Orionを通じて清算・決済され、決済サイクルはT+1、準拠法は香港法とされています。
財務長官「世界最大のデジタル債」と評価
ポール・チャン財務長官は、総額約200億香港ドルとなった今回の発行について、同種のデジタル債として世界最大であり、香港で発行されるトークン化商品に対する強い市場需要を示したとの認識を示しました。
同長官は、この需要を踏まえて今後もトークン化債券を定期的に発行していく方針を明らかにしています。
クリストファー・ホイ財経事務庫務局長は、2025年に公表した「デジタル資産政策声明2.0」で、トークン化商品の拡充とユースケース拡大を重点分野に位置づけていると説明しました。
HKMAのエディー・ユエ総裁も、投資家需要の拡大と市場参加者の増加に言及し、今後も市場の革新を後押ししていく考えを示しています。
仮想通貨マージン融資を正式容認
官民連携でトークン化債券の制度を検討
今回の発行に先立ち、HKMAは2026年6月、トークン化債券の普及と市場規模の拡大を目的とする専門家グループを立ち上げました。
金融機関や法律事務所、金融インフラ事業者、テクノロジー企業などが参加し、初回会合では香港の法規制制度をトークン化債券の発行や取引にどう適用するかが議論されています。
第4回発行でトークン化預金が新たな決済手段に加わるなか、HKMAは専門家グループを通じて関連制度や市場慣行の検討を続けています。
香港政府は2026年の施政方針演説でもデジタル債の普及拡大を掲げており、トークン化預金の統合がデジタル債市場のインフラ標準として定着するか、市場の関心が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1香港ドル=20.09 円)
関連の注目記事はこちら
Source:香港特別行政区政府公式発表
サムネイル:AIによる生成画像




























