この記事の要点
- 米上院銀行委、CLARITY法案309頁修正版を公開
- ステーブルコイン規制とDeFi保護を明記、14日に採決へ
米上院、CLARITY法案の最終修正版を公開
米上院銀行委員会は2026年5月12日、仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」の309ページにわたる修正案を公開しました。
同委員会のティム・スコット委員長は声明で「この法案は委員会全体による超党派協議の成果であり、米国民が求める確実性・安全策・説明責任を提供するものだ」とコメントしています。
今回の修正案には、長らく争点となってきたステーブルコインの利回り禁止規定や、DeFi(分散型金融)開発者を保護するBRCA(ブロックチェーン規制確実性法)が盛り込まれています。
一方で、民主党側が求めてきた政府高官の仮想通貨(暗号資産)取引に関する倫理条項は採用されず、トランプ大統領一家の仮想通貨事業をめぐる利益相反問題への対応が論点として残っています。
CLARITY法案とは
「ステーブルコイン利回り規制・DeFi保護・倫理」3つの争点
第404条で利回り規制、銀行業界は反発
今回の修正案では第404条として、ステーブルコインの利回り禁止条項が盛り込まれました。
同条項では「保有のみに基づく利息」と「銀行預金の利息と経済的・機能的に同等の支払い」を禁止する一方、決済やステーキング、送金など取引活動に連動した報酬については許容する内容となっています。
この条文は5月初めにアンジェラ・アルソブルックス議員(民主党・メリーランド州)とトム・ティリス議員(共和党・ノースカロライナ州)が公表した最終文書に沿った内容で、コインベースなど仮想通貨業界も支持を示しており、長期化していた利回り規制をめぐる協議は収束へ向かいつつあります。
一方、銀行業界からは反発の声も上がっています。米国銀行協会(ABA)のロブ・ニコルズCEOは日曜日に銀行幹部宛てに送った書簡で、現行条文について「銀行預金から決済ステーブルコインへの資金流出を過度に後押しする」と指摘し、追加修正の必要性を訴えました。
第604条にBRCA採用、DeFi開発者を保護対象に
DeFi関連では第604条としてBRCA(ブロックチェーン規制確実性法)が組み込まれ、非カストディ型のソフトウェア開発者を連邦法上の「送金事業者」として扱わない方針が明文化されました。
これに先立ち、米政治ニュースメディアPolitico(ポリティコ)はBRCA条文によって地方・州レベルの執行権限に空白が生じる可能性を報じており、法執行機関からは「金融犯罪の摘発が困難になる」との懸念も示されています。
審議直前の月曜日には、チャック・グラスリー議員(共和党・アイオワ州)とシンシア・ルミス議員(共和党・ワイオミング州)が懸念に対応する合意に達したと伝えられており、グラスリー議員とキャサリン・コルテス・マスト議員(民主党・ネバダ州)の指摘事項に対応する条文が法案に盛り込まれたと関係者は説明しています。
DeFi Education Fund(ディーファイ・エデュケーション・ファンド)は月曜夜の声明で「開発者とインフラ提供者にとって最も重要な条項であるBRCAと取引所法上の保護が、この法案に含まれていることを評価する」とコメントしました。
倫理条項なし、民主党が反対姿勢を強化
未解決のまま残る最大の論点として、トランプ大統領一家による仮想通貨事業と利益相反問題への対応が挙げられています。
ブルームバーグの試算によると、トランプ氏一家は就任から1年で仮想通貨関連事業から約14億ドル(約2,200億円)を得たとされ、World Liberty Financialや公式ミームコインへの関与が背景にあるとみられています。
こうした状況を受け、上院銀行委員会の民主党トップを務めるエリザベス・ウォーレン議員は声明で「この法案はドナルド・トランプの仮想通貨腐敗を加速させる」と批判し、利益相反防止条項が一切盛り込まれていない点を問題視していました。
キルステン・ジリブランド議員(民主党・ニューヨーク州)は、Consensus Miami 2026の場で「倫理条項がなければ法案に賛成しない」との立場を明確にしており、「倫理問題は当委員会の管轄外」としてきたスコット委員長の姿勢とは距離を置いています。
ABA会長が全銀行CEOに「緊急動員」
14日採決、7月4日成立に向け最終調整段階
上院銀行委員会は5月14日午前10時30分からマークアップ(修正審議)を実施する方針で、可決されれば米国初の包括的なデジタル資産連邦規制法案として上院本会議の採決へ進みます。
ホワイトハウスのデジタル資産担当顧問パトリック・ウィット氏は、7月4日の米独立記念日までの成立を目標に掲げており、銀行業界6団体がマークアップ直前まで利息規定の修正を求めていることから、最後の調整は当日まで続く見通しです。
上院本会議では60票の確保が必要となるほか、可決後には下院案との一本化や大統領署名を経る手続きも控えており、倫理条項をめぐる民主党との交渉が最終局面を迎えています。
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Source:米上院銀行委員会 CLARITY法案修正案
サムネイル:AIによる生成画像























