この記事の要点
- 欧州9カ国の賭博規制当局が無認可の予測市場への共同対処で合意
- W杯開幕を機に監視を強化し、業界全体で認可取得圧力が高まる
W杯に合わせ欧州9カ国が予測市場を監視
ベルギー・フランス・スペインなど欧州9カ国の賭博規制当局は2026年6月17日、自国の規制に従わない予測市場プラットフォームへの共同対処で合意したと発表しました。
この発表はFIFAワールドカップの開幕に合わせて行われたもので、各国当局は無認可で運営される予測市場に対し、広告規制や賭博の公正性、利用者保護に関するルールの順守を求めています。
共同宣言では、各国の法令に従わないプラットフォームへの対応方針を共有したほか、スポーツ連盟やクラブにもスポンサー契約の締結前に事業者の適法性を確認するよう呼びかけました。
背景には、選挙やスポーツの結果を対象とする予測市場の利用拡大があり、とくに若年層への浸透が進むなかで、各国当局は依存リスクの増大や利用者保護体制の不備への警戒を一段と強めています。
州vs連邦の規制闘争
予測市場の依存リスクに欧州当局が警鐘
依存を招く無認可予測市場の実態
9カ国の規制当局は共同宣言で、無認可の予測市場が利用者を依存に陥れやすい構造を持つとして、各国の監督が及ばない運営形態に改めて懸念を示しました。
利用者が24時間365日いつでもアクセスできるうえ、賭け金の上限やプレイ時間を制限する仕組みが整備されていないケースがあり、本人確認や年齢確認も十分ではないと指摘しています。
当局は依存リスクだけでなく、無認可のプラットフォームには違法性や資金の凍結、インサイダー情報を悪用した詐欺、急激な価格変動といった深刻なリスクが伴うとして注意を呼びかけました。
Kalshiがメッシ起用でW杯市場に攻勢
こうした警戒感の背景には、予測市場大手が2026年ワールドカップを成長機会と位置付け、スポーツ界との提携を通じて利用者獲得を積極化させている動きがあります。
なかでも米国の予測市場大手Kalshi(カルシ)は6月10日、アルゼンチンサッカー協会(AFA)と2026年ワールドカップ期間中の公式スポンサー契約を結んだと発表しました。
この契約により同社は代表チームの標章使用権を取得し、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手を起用したキャンペーンを通じて欧州での認知拡大を図っています。
一方で、スペインの賭博規制当局は2026年5月、KalshiとPolymarket(ポリマーケット)の2社を無認可の賭博事業に該当する疑いがあるとして調査に乗り出しました。
両社のウェブサイトはスペイン国内で現在も暫定的に遮断されており、欧州市場で事業を展開するには、各国制度に基づく認可取得が不可欠な状況となっています。
EU非加盟のスイスも含む9カ国が連携
今回の共同宣言は、各国が個別に進めてきた対応を共有し、国境を越えた協力体制へ発展させる狙いを持つものとなっています。
宣言にはベルギー・フランス・ドイツ・イタリア・オランダ・ポーランド・ポルトガル・スペイン・スイスの9カ国が参加しており、EU非加盟のスイスを含め、それぞれの国内法に基づき連携すると明記しました。
各国当局は大会期間中の情報共有や知見交換を継続するとともに、SNSを通じた啓発活動も強化し、安全な賭博環境の確保に向けた取り組みを進める方針です。
CFTC、予測市場の新規則案を公表
欧州は遮断、米国は法的分類が争点
予測市場を巡る規制上の議論は欧州に限られたものではなく、米国でもKalshiが提供する商品の位置付けを巡って規制当局と既存の金融市場関係者の対立が表面化しています。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は2026年6月、CFTC(商品先物取引委員会)がKalshiのビットコイン無期限先物(満期のない先物)の上場を承認した判断を不服として、CFTCを提訴しました。
CMEは、この無期限先物が2010年のドッド・フランク法上のスワップ(支払いを交換する金融取引)に該当するにもかかわらず、先物商品として扱われたと主張し、承認判断の取り消しを求めています。
欧州では無認可事業者への調査やアクセス遮断が進む一方、米国では商品の法的位置付けを巡る司法判断が争点となっており、予測市場を取り巻く規制環境は地域ごとに異なる展開をみせています。
関連の注目記事はこちら
Source:ANJ(フランス国家賭博規制局)
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用


























