この記事の要点
- 片山金融相が日本での暗号資産ETF解禁を検討する方針を表明
- 金商法改正と税制見直しが進み、暗号資産市場の制度改革が加速
片山金融相、暗号資産ETF解禁に言及
片山さつき財務・金融担当相は2026年7月10日、金融情報サービスQUICK(クイック)が主催するセミナー「オープンQUICK2026」の基調講演で、「日本でも暗号資産ETFを解禁する方向で検討を進めたい」と述べました。
講演が行われた10日はセミナーの初日にあたり、暗号資産(仮想通貨)を裏付けとするETF(上場投資信託)の取引実現に向けた課題がテーマに掲げられました。
片山氏は海外で暗号資産ETFの取引が拡大している現状にも触れ、暗号資産を初めて金融商品として位置付ける金融商品取引法(金商法)の改正案についても言及し、「利用者や投資家が安心して取引できる環境を整備していく必要がある」と語ったと日本経済新聞は報じています。
金商法改正と並行して、暗号資産の課税を最大55%から一律20%へ見直す制度改正も進められており、実現すれば個人投資家は税負担を抑えながら、証券口座を通じてビットコイン(BTC)などへ投資しやすくなります。
自民党議連、ETF解禁を提言
参院審議中の金商法改正案、27年度の施行目指す
規制根拠を金商法へ移管、課税20%に
片山氏が言及した金商法改正案は、仮想通貨の規制根拠を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す内容で、政府は2026年4月10日に閣議決定した後、国会へ提出しました。
法案は6月10日に衆議院財務金融委員会で可決され、翌11日の衆議院本会議を通過した後、6月15日には参議院の財政金融委員会に付託されています。
日本経済新聞によると、法案が今国会で成立すれば2027年度にも施行される見通しで、暗号資産取引による所得への課税は最大55%の総合課税から一律20%の申告分離課税へ移行する予定です。
新税率は施行日の翌年1月1日から適用される予定となっており、2027年度に金商法改正が施行されれば2028年1月から新たな税制が始まる見込みとなっています。
片山氏は講演で「暗号資産市場の発展を考えるためには課税のあり方も重要な論点」と述べ、制度改正と税制改革を一体で進める考えを示しました。
SBI・楽天が暗号資産ETF販売へ、大手も準備
制度改正を見据え、証券会社では暗号資産ETFの商品化に向けた準備が進んでおり、仮想通貨ETFについてはSBI証券と楽天証券が販売する方針だと同紙は伝えています。
対面大手では野村証券や大和証券もグループ内で商品開発を進める方針を明らかにしたと報じられており、法制度が整い次第、各社は販売体制の構築を本格化させる見込みです。
セミナーではETFの商品化をテーマとする議論も行われ、基調講演後のパネルディスカッションには、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の河合健弁護士や大和証券グループ本社の斉藤貴裕デジタルアセット推進室長らが登壇しました。
野村アセットマネジメントや三菱UFJ信託銀行の担当者も加わり、金商法改正が金融業界へ与える影響や、暗号資産ETFを組成する際の実務上の課題について議論が交わされました。
QUICK、BTC指数を本格算出
ETFの商品化を支える価格指標の整備も進んでおり、セミナーを主催したQUICKは2025年12月1日から「QUICKビットコイン指数」の本格的な算出・公表を開始しています。
同指数は複数の仮想通貨交換業者が提供する約定情報を基に、国内で取引されるビットコインの円建て現物価格のベンチマーク(指標)として算出され、同社のウェブサイトなどで公表されています。
日本経済新聞によると、金商法改正後にはこの指数を活用したETFの組成も想定されており、商品化を支える価格指標の整備が進められてきました。
監督体制見直しへ、金融庁に専門課新設
商品化と制度整備が進む一方で、監督体制の見直しも進められており、片山氏は仮想通貨のハッキングなどによる不正流出が国内外で相次いでいることを踏まえ、「セキュリティー確保も業界と連携して実効性のある対応をしていきたい」と語りました。
金融庁は2026年7月にも仮想通貨を所管する「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設する予定で、既存の参事官室を課へ格上げする計画が報じられています。
片山氏は「技術進化が早い分野だからこそ柔軟さと利用者保護の確保の両立が重要。国際的な動向も踏まえデジタル金融発展の後押しをしていく」と述べ、制度整備を進めながら利用者保護を強化する考えを示しました。
暗号資産仲介業の登録制度始動
ETF解禁の鍵は「金商法改正案の成立」
日本では2025年12月に公表された税制改正大綱で、申告分離課税の導入と暗号資産ETFの組成可能化が明記されて以降、法整備と市場インフラの整備が並行して進められてきました。
市場でも、日本取引所グループ(JPX)の山道裕己CEOが暗号資産ETFの上場検討を表明したほか、傘下の大阪取引所はETF解禁を前提とするビットコイン先物の2028年上場を計画していると報じられています。
こうした制度整備や市場インフラの整備を実際の商品化へ結び付けるには、参議院で審議が続く金商法改正案の成立が前提となります。
法案が成立すれば、施行時期や暗号資産ETFの解禁、新税率の適用開始時期など、制度の具体像が段階的に明らかになる見込みです。
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Source:日本経済新聞報道
サムネイル:AIによる生成画像



























