ブロックチェーンで「経済的自由」の実現を ー シリア自治区Rojava

by BITTIMES   

ブロックチェーン(Blockchain)仮想通貨(Cryptocurrency)の技術を活用して、シリア北部の400万人が住む地域に「経済的自由」をもたらすための研究が進められています。ロジャヴァ(Rojava)と呼ばれる自治区では、現代社会の大規模な問題を根本から変え、国際的な革命を起こすために暗号化技術を幅広い分野に取り入れていくための取り組みが行なわれています。

こちらから読む:シリアの400万人に経済的自由をもたらす「ブロックチェーン」の仕組み

経済制裁に「暗号化技術」で立ち向かう|ロジャヴァ

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シリア北部から北東部にかけて広がる400万人が住む自治区「ロジャヴァ(Rojava)」は、経済制裁を克服するための手段として仮想通貨やブロックチェーンの技術を利用することを計画しています。

過去6年間に渡って戦争が続いているこの地域は、イラン、トルコ、シリア、イラクなどのあらゆる国々から経済制裁を受けています。このような不安定な状況が続く中で国家を支えている人々は経済的に自立することを目指しています。

ロジャヴァで技術開発のリーダーを務めているErselan Serdem氏は「Coindesk」に対して、ロジャヴァは現在自治体のシステムと並行して新しく「技術アカデミー」を立ち上げることを予定しており、特に「ブロックチェーン」や「仮想通貨」などの技術を重要視していると語っています。

この取り組みには、バルセロナで技術アカデミーを設立している人物でありながら、戦争でロジャヴァと共に戦った経歴も持つビットコイン(BTC)の初期開発者Amir Taaki(アミール・ターキ)氏も参加しています。

Taaki氏は、『ロジャヴァは"無政府主義"の原則に基づいて新しい社会を築こうとする革命的なプロジェクトであり、法律、防衛、社会、文化を意味する』と語っています。

新しく設立されるアカデミーは「民主主義的共産主義」と呼ばれる思想の一形態を推進している政治理論家Abdullah Ocalan(アブドッラー・オカラン)氏の哲学に基づいています。直接民主主義、フェミニズム、生態学を支持しているSerdem氏は、このビジョンを達成するためにはブロックチェーンと仮想通貨が不可欠であると述べています。

水を節約して地球と平等な関係を築くためには、ブロックチェーンのようなネットワーク技術が必要です。"ブロックチェーンは人々が社会で使用できる実用的なテクノロジーである"と私たちは考えています。

人々は"どうやって民主的にリソースを準備し管理すればよいか"新しいシステムの将来について深く考えなければなりません。私たちはこのシステムを「分散型の社会システム」と呼んでいます。

仮想通貨で「独自のインフラ」を構築

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紛争中の約2年間をシリアで過ごしたTaaki氏は、ロジャヴァの経済は"紙幣"に基づいていたため、仮想通貨への新しい取り組みは注目すべきことだと語っています。

Taaki氏は、シリアの経済を支える基盤は「法定通貨」での取引を中心にして発展してきたと報告しています。これは高いインフレ率と相まって、現地の人々が取引を行う上で大量の現金に依存していることを意味しています。

このような環境で近隣諸国から経済制裁を受けることによって、地域外への送金には高い手数料がかかっています。Taaki氏は『イスタンブールとの取引を行うコストは現在のところ10%』だと述べており、『仮想通貨を利用することによって、イスタンブールだけでなく世界中への送金手数料を2%にまで抑えることができると確信している』と語っています。

同氏はこのような目標を達成するためには、まず始めに現地通貨をビットコイン(BTC)に交換できる環境を整え、地域言語に翻訳された仮想通貨ウォレットを提供する必要があると語っています。ビットコインを日常的に利用できる仕組みを導入することができれば、迅速かつ安値で安全な取引を行うことができるようになります。

彼らの研究は現在、インターネットに依存しない「無線での取引ができる仮想通貨」や「仮想通貨に基づいた紙ベースの紙幣」などを中心に行われているとのことで、Taaki氏は『誰もが携帯電話を持っているわけではないので、"紙を使った通貨"に関する研究が重要なプロジェクトだと考えている』と語っています。

この地域で仮想通貨を実際に導入するためにはその他の手順がまだ残っていますが、Taaki氏とSerdem氏は、ロジャヴァの自治を近隣諸国から確実に確保するためにはこの手順が必要であると強調しており、『国営資金であるシリア政府の資金に頼るのは好きではないので、我々自身の仮想通貨で取引したい』と述べています。

このように語った同氏は、『仮想通貨が実装される前には、人口、石油、水、太陽光などの自然資源の調査を集中的に文書化し、根本的な分析を完了する必要がある』と強調しています。

ブロックチェーンで「社会的役割」を分散化

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ロジャヴァが描く新しい社会を支えるのは、個々が社会内で異なる機能を果たす「協同組合」のシステムです。例えば、医療、農業、メディア、芸術のような役割を果たす協同組合は、"強制はしない"という強い原則を維持するボランティアで構成されています。

今後ロジャヴァの技術委員会は、これらの協同組合が貿易に携わることができるように地方の仮想通貨を確立するとともに、資金調達に使用できる金融商品を発行する手助けをすると述べています。

さらにロジャヴァの技術委員会は、ブロックチェーンを財務上の枠を超えて活用することも計画しています。Serdem氏は、『ブロックチェーンは分散化された"民主的な管理"と"高いレベルの透明性"を可能にする新しい社会システムの基盤として導入することもできる』と述べています。

同氏は、ブロックチェーン技術を使うことによって『今後新しく構築されるコミュニティの間にネットワークを構築することができる』と語っており、『ブロックチェーンを基盤として使用することによって、自己管理のプロセスを作り出すことができ、社会的な全ての役割を分散化することができる』と語っています。

分散型社会システム実現への「最後のチャンス」

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ロジャヴァはこれらのツールを使用して、中東および世界全体で民主主義社会の具体的な例を挙げたいと考えています。Serdem氏は『生態学、自治、自己管理と並行して機能する別のシステムが可能であることを世界に実証することによって、このような変化が達成される』と強調しています。

またこのプロジェクトは「世界の同盟国」や「革命的なハッカー」を招き入れることも目指しているとのことで、Serdem氏は『現在のシステムが国際的にはうまく機能しないということを理解している専門知識や哲学を持っている人が数多く存在していることを私たちは知っている』と述べています。

Serdem氏は、ロジャヴァが
・グローバリゼーション
・資本主義搾取
・新しい形態の消費者奴隷制度
を崩壊させ、革命を起こす可能性を持つ最後のチャンスを提供していると説明しています。

完全に自立した分散型の社会構造の構築に取り組んでいるロジャヴァの人々は、大規模な問題を解決するために、根本的な物事から徹底的に見直した上で慎重にブロックチェーン技術の適用に取り組んでいます。大規模な計画とともに本格的な「分散型社会システム」の構築に取り組んでいるロジャヴァが、今後どのような発展を遂げることになるのかには、大きな注目が集まります。

業界ごとに見たブロックチェーンの活用事例はこちら

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