SegWit2xが抱える11の問題とは?
SegWit2x(セグウィットツーエックス) のハードフォークが 11月19日に予定通り行われた場合、様々な問題を引き起こすとして、ここ最近ビットコインコミュニティ内に「 SegWit2x 反対」という声が高まってきました。
ニューヨーク協定( NYA )に、署名していた大手マイニングプール F2Pool でさえ、SegWit2x に反対しはじめました。
最近では、ビットコイン関連の企業・取引所・サービスプロバイダを代表する南米の関係者グループから「反対」署名活動も行われ、主要関係者 50人の署名も提出されています。
なぜ「 SegWit2x 」は、ここまで反対されているのでしょうか?
今回は反対派の人々が考える「 SegWit2x が抱える 11 の問題」についてお話ししていきたいと思います。
SegWit2x「11の問題点」とは?
SegWit2x 反対派が問題としてリストアップしているものを 11にまとめました。
1. 資産が 10分の1になる可能性
2. 開発者が 1人しかいない
3. リプレイアタック(盗まれる)
4. 技術的ではなく政治的
5. 妥協案である
6. マイナーの市場独占
7. ビットコインコアの反対
8. 透明性の欠如
9. 準備期間の短さ
10. 信頼できる第三者を必要としないシステムの崩壊
11. SegWitではない
それでは順番に解説を行なっていきます。
1. 資産が 10分の1になる可能性
すでに SegWit2x は「 Bitfinex 」で取引されていますが、その価格は、現在のビットコイン価格の 10%ほどまで下落しています。
もちろんこれは反対派の意見などが市場に反映した結果、下落した可能性もありますが、SegWit2x が正式なビットコインになる可能性は 1%でもあるため、もしも正式なビットコインとして採用された場合は、資産価値が 10%になる可能性もあります。
2. 開発者が 1人しかいない
ハードフォークは簡単に言えば「新システムの導入」です。
通常の企業であれば、システムの開発には開発チームを組んで、数十人・数百人規模で開発を行うのが普通です。
ビットコインの場合、数千万人に影響を与える通貨システムですから、より慎重に開発を進めてしかるべきですが
、SegWit2x のシステム開発者は 1人しかいないとも噂されています。
というよりも、SegWit2xの開発チームは、以前のハードフォーク問題でも良く名前が挙がっていた「 Bitcoin Unlimited 」です。
彼らがビットコインの開発・運営をし続けられるのか不安が残ります。
3. リプレイアタック対策不足(盗まれる)
SegWit2x はリプレイアタックと呼ばれる「ビットコインを盗むハッキング」への対策不足が問題視されています。
要は盗まれるということですね。
しかも、SegWit2x のリプレイアタックは少し特殊で、ビットコインではなく、ビットコインキャッシュが盗まれる。というものです。
「 1ビットコイン」を送金したら、その時に「 1ビットコインキャッシュ」が盗まれる可能性がある。ということです。
4. 技術的ではなく政治的
これはよく言われていることなのですが、SegWit2xは「技術的なアップデート」ではなく「政治的な合意」という部分が最大の問題です。
ビットコインは、これまでにもいくつもの問題を解決してきましたが、あくまで「技術的」な解決方法でした。
ビットコインは「非中央集権」です。
常に利害関係が絡む人間に決定権を与えるのではなく、システムで判断することでそれを実現します。
しかし、SegWit2xの場合、ニューヨーク協定を結ぶなど、明らかに「政治」で動いています。
5. 妥協案である
さらには、SegWit2xは「妥協案」ということを忘れてはいけません。
もともと、ビットコインのスケーラビリティ問題をはじめとした、アップデートに関する議論は「数年間」続けたれてきました。
「時間がかかりすぎている」という印象を持つ方もいるかもしれませんが、ビットコインが 100年以上続くシステム設計を行なっていることを考えれば、むしろ当然です。
しかし、ここに利害関係が絡み妥協案でリリースが急がれた経緯が存在します。
システムは利害を気にしません。利害を気にするのは人間だけです。
6. マイナーの市場独占
SegWit2x を支持しているのがそもそも「マイナー企業」です。
SegWit2x の方がマイニング報酬が高くなるので、マイナーが支持するのは当然のことです。
しかし、マイナー企業の都合でビットコインの運営方針が決定されるのであれば、もはや非中央集権は失われ、ビットコインの信頼は一気に失われるでしょう。
ちなみに、マイナーの大半は中国企業であり、Bitcoin Unlimited は中国で誕生したものです。
7. ビットコインコアの反対
ビットコインの開発・運営は「 Bitcoin Core(ビットコイン・コア)」という開発者コミュニティが行なっています。
彼らは「ビットコインの永続性」という思想を持ちながら、人ではなくシステムで判断するルールを厳守してきました。
ビットコインコアは、SegWit2x が提案された時から、ずっと一貫して SegWit2x には反対しています。
8. 透明性の欠如
SegWit2x の主要開発者からは、開発・運営に関する内容や計画が明確に提示されていません。
運営方法などを誰でも自由に観覧することができず、すべてが不透明なまま計画が進んでいます。
SegWit2x はあくまで「部分的な解決方法」であり、しかもその解決方法として「ベストではありません。」
9. 準備期間の短さ
ハードフォークには常にリスクが伴います。
現在、ハードフォークが進行中のイーサリアムですら、運営当初から計画を立て、じっくりとハードフォークを行なってきました。
しかし、SegWit2x にはテストコードすらありません。
「妥協案」を慌てて実行していますが、すでに 11兆円という時価総額にまで達した通貨の運営方法としては、十分な計画とテスト、準備が行われることが当然だと思われます。
10. 信頼できる第三者を必要としないシステムの崩壊
政治的な要素・利害関係が絡んだことでビットコイン最大の特徴である「信頼できる第三者を必要としないシステム」が崩壊します。
「信頼できる第三者は必要とした方が良いんじゃないの?」
と考えるかもしれませんが、ビットコインの場合は全くの逆です。
「信頼できる第三者」に全てを委ねるということは、それは「中央集権」の意思決定方法であり、ビットコインの「非中央集権」の思想とは真逆の考え方です。
一部の人間が自由にルールを変更できるシステム。ということはそれがたとえ「信頼できる人間」であっても、いずれは崩壊します。
ビットコインが信頼されるのは「どんな利害関係も絡まない」からです。
11. SegWitではない
ビットコインコアは「 SegWit 」には賛成していますが、「 SegWit2x 」には反対しています。公式のアナウンスでも、
「 SegWit2x は SegWit と関係がありません。SegWit は既に有効化されており、異なる人びとによって支持されています。」
と語られています。
SegWit そのものは、数年間かけてやっと実現したアップデートであり、今回の SegWit2x とは全く別のシステムです。
SegWit2x「11の問題点」まとめ
以上が、SegWit2x が抱える問題点です。
細かい部分も含めると、本来はもっと存在するかと思いますが、今回は多くのサイトなどでアップされている問題点を 11個にまとめています。
SegWit2xは、
「非中央集権ではないアップデート」
という部分が最大の問題です。
「なぜ非中央集権でないことが問題なんですか?」という疑問を持っている方は、下記の関連記事をしっかりと読まれてください。
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