ブロックチェーンを基盤とした「電気自動車と電力網の接続規格」作成:MOBI
大手自動車メーカー・テック企業・ブロックチェーン企業などが参加しているブロックチェーンコンソーシアム「Mobility Open Blockchain Initiative(MOBI)」は2020年10月6日に、自動車業界で初となる「電気自動車と電力網の接続規格」を作成したことを発表しました。
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MOBI「自動車業界初のグローバル規格」を作成
モビリティ・オープン・ブロックチェーン・イニシアティブ(Mobility Open Blockchain Initiative/MOBI)は、ブロックチェーン技術を用いてモノや人の移動をより環境に優しく、より効率的で、より低価格にすることを目指している国際団体であり、「TOYOTA・HONDA・BMW・Ford・Renault・General Motors・HYUNDAI」などの大手自動車メーカーだけでなく、「IBM・Hyperledger・ConsenSys・IOTA Foundation・Ripple」などといったブロックチェーン関連企業も多数参加しています。
MOBIはテーマ毎に複数のワーキンググループを立ち上げてプロジェクトに取り組んでいますが、今回の発表ではHONDA・General Motorsなどが主導する「電気自動車グリッドインテグレーション(EVGI)ワーキンググループ」が、ブロックチェーン技術を分散型車両充電システムに組み込んだ自動車業界初のグローバル規格を作成したことが報告されています。
EVGIワーキンググループが作成した国際規格は以下3つの分野がユースケースとして挙げられており、この国際規格は特定のブロックチェーンや分散型台帳技術(DLT)を指定するというよりも、各ユースケースにおけるデータ属性や機能性の統一に重点が置かれていると説明されています。
- 車両と電力網の接続(Vehicle to Grid Integration/V2G)
- 炭素クレジットのトークン化(Tokenized Carbon Credits/TCC)
- P2Pアプリケーション
MOBIのCOO兼創設者であるTram Vo(トラム・ボー)氏は『この規格は電気自動車と充電エコシステムのあらゆる側面の企業に様々なメリットをもたらす』と述べており、『電気自動車・充電器・電力会社は安全なIDを持ち、標準のメッセージング形式で通信し、充電・生成・交換などのトランザクションを分散型台帳に自動的に記録できる』と説明しています。
ユーザー中心のエネルギーコミュニティを実現
現在エネルギー市場は「大規模な発電所による集中型発電の仕組み」から「風力・太陽光などを活用した分散型発電の仕組み」へと移行しつつありますが、MOBIはこのような変化が起こっている中で『スケーラブルでユーザー中心のエネルギーコミュニティを実現すること』を目標に掲げています。
今回発表されたEVGI規格は『このようなエコシステムを構築するための最初の重要な構成要素の1つ』だとされており、『MOBIはこの規格によって実現されるアプリケーションが、最終的に炭素排出量の削減、交通安全の向上、交通渋滞の軽減、社会的・環境的に有益な多くの成果のサポートに役立つことを期待している』と説明されています。
電気自動車などにブロックチェーン技術を活用する動きは自動車業界で加速してきていますが、大手企業が数多く参加している「MOBI」からグローバルな標準規格が発表されたことによって、業界全体の技術開発が促進されることになると期待されます。