台湾のFamilyMart(ファミリーマート)重慶店は、ブロックチェーンやロボットなどのデジタル技術を活用して、集客の向上や店員の業務負荷軽減に向けた実証実験を開始していることがFUJITSUが公開したプレスリリースで明らかになりました。この実証実験は2018年3月29日から開始されています。
この実証実験には台湾のファミリーマート本社だけでなく、台湾と日本の富士通株式会社や現地のベンチャー企業などが共同で行なっているとのことです。
導入されている技術と内容
FUJITSUが公開したプレスリリースでは、今回の実証実験に関わる複数の企業によって開発された新しい技術や製品と共に、それぞれが提供するサービスや内容が紹介されています。
以下の各項目では、公開されている実証実験の内容を技術ごとにまとめています。
3Dカメラ搭載|入店カウンター
3Dカメラ搭載の入店カウンター(FLIR Systems, Inc.製)は、店舗の入り口に設置されており、入店者数の情報を収集し、蓄積することで、店舗の売上分析や人員配置の最適化などに活用されます。
QRコードやNFCを内蔵|電子棚札
電子棚札(SES-imagotag SA.製)は、商品の陳列棚に設置されており、POSレジと連携した柔軟な値札変更や自動更新を実現します。
電子棚札に内蔵されたQRコードやNFC(近距離無線通信技術)を通して、商品の生産履歴やキャンペーンなどの情報が提供されます。
透明ディスプレイを搭載|冷蔵庫
透明ディスプレイが搭載された冷蔵庫(LWO Technology Co., LTD製)の扉には、庫内商品に関連する映像コンテンツを映し出すことができるため、来店客の購買行動における新たな顧客体験を演出することができます。
コミュニケーションロボット|ロボピン
「ロボピン」は、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県)が開発したコミュニケーションロボットです。
首/各腕/胴体の根本部分にモーターを配置することで、体全体を使ったダイナミックな動きを実現しているだけでなく、顔のLEDの色と連動した感情の表現もできます。
店頭に設置された「ロボピン」は、来店客に対してお買い得商品の紹介や、店内で実施されるイベントで利用するアプリの案内を行うほか「Fami舞」などのパフォーマンスも披露します。
光に情報を埋め込む?|FlowSign Light
「FlowSign Light」は、富士通研究所のLED情報伝達技術を用いて光にリンク情報を埋め込むことにより、光に照射された対象物に専用アプリをダウンロードしたスマートデバイスをかざすだけで、ユーザーをリンク先へ誘導することを可能にしたサービスです。
対象物に関連したサイトに直接つながり、そのままサイトの閲覧またはサイト上のサービスを利用できる、直感的かつ便利で新しい情報取得スタイルを体感できます。
情報提供者は、見せたい情報に直接ユーザーを誘導することができます。
大きさや形によらず、さまざまな物そのものに情報を付加することができるため、展示会場の展示物/歴史的建造物/案内板などにも活用できます。
今回の実証実験では「FlowSign Light」を活用して、来店客が店舗内を巡り、専用アプリをインストールしたスマートフォンを「ロボピン」などの対象物にかざすことで、スタンプが取得できるスタンプラリーが実施されています。
映像に情報を埋め込む??|FlowSign Video
「FlowSign Video」は、富士通研究所の映像媒介通信技術を用いて映像にリンク情報を埋め込むことにより、スマートデバイスを映像にかざすだけでユーザーをリンク先へ誘導することの出来るサービスです。
テレビやデジタルサイネージを視聴するユーザーは興味のある映像に対し、専用アプリをダウンロードしたスマートデバイスをかざすだけで、映像コンテンツに関連したサイトに直接つながり、そのままサイトの閲覧またはサイト上のサービスを利用できる、直感的かつ便利で新しい情報取得スタイルを体感できます。
リンク情報のリアルタイム埋め込みが可能なので、 生放送にも対応できます。
今回の実証実験では「FlowSign Video」を活用して、専用アプリをインストールした来店客のスマートフォンを冷蔵庫の扉に映る映像コンテンツにかざすことで、スタンプラリーで利用できるスタンプを取得することができます。
顧客情報を安全に管理|ブロックチェーン
富士通のブロックチェーン技術をこのような技術やサービスと組み合わせることにより、スタンプの取得履歴やクーポン利用履歴などの顧客情報を「改ざんやサイバー攻撃にも耐性のある安全な方法」で管理しつつ、スタンプ数に応じてファミリーマートで利用できるクーポンが発行されます。
今回の実証実験では、これらのユーザー体験を提供しつつ、店舗における作業プロセスの最適化や運営コスト削減の有効性が検証されることとなります。
今後は機能強化や他店舗への展開も
実証実験を行なった3社は、今回得られた検証結果をもとに、各ソリューションの機能強化や他店舗への横展開を検討していくことを予定しています。
また将来的には、デジタル技術を活用した次世代店舗のモデルづくりを推進し、AIや手のひら静脈認証などを活用した新たな取り組みについても共同で検討していくことも発表されています。
(参照:Fujitsu.com)
富士通は以前からブロックチェーン技術の研究開発を積極的に行なっており、先月もベルギーにスマートシティの実現を目指すブロックチェーン研究センターを開設したことが世界的に話題となっています。今回の実証実験からは慎重さも感じられるため、今後検証が進むにつれて公表されていない技術力をさらに発揮していくことも予想されます。
ブロックチェーンに対する富士通関係者の力強いコメントも
仮想通貨の導入は?
富士通はこれまでにも、複数の仮想通貨関連のプロジェクトに関わっています。
昨年、IOTA基金がリリースしたプラットフォームと連携したことが話題になったほか、Hyperledger Projectにはプレミアムメンバーとして参画しています。
富士通の連携でIOTAの価格が高騰?
またテックビューロとジャパンネット銀行が共同で行った、mijinとHyperledger Fabricを連携した実証実験にも参加しています。
話題となった世界初の実証実験
今回の実証実験では、仮想通貨に関する具体的な内容は今のところ報告されていませんが、ブロックチェーン技術が社会に浸透しつつあることは間違いないでしょう。
いずれにしてもこのような近未来を連想させてくれるテクノロジー関連の話題は、今後の将来のビジョンに小さな楽しみを与えてくれている気がします。ブロックチェーン技術が多用される頃には、仮想通貨に対する価値観も大きく変わっているのかもしれません。
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