インド政府はベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領が「政府発行の仮想通貨Petro(ペトロ)を使用して原油を購入すれば30%の割引が適用される」という提案したにもかかわらずその申し出を拒否しています。
インドとベネズエラ間で行われている議論
ベネズエラ政府は以前から、原油を価値の裏付けとした仮想通貨Petro(ペトロ)を発行しています。
この取り組みの一環としてベネズエラ政府は、インド政府に対して『ペトロを使って購入すれば原油を30%割引する』という交渉を行っていました。
ベネズエラとイランの間の関係を会議で議論している間にインドの外交通商大臣であるSushma Swaraj(スシュマ・スワラジ)氏は、インドの中央銀行(RBI)の指示と同様に「インドにおける仮想通貨の禁止は、いかなる形の仮想通貨取引も受け入れられない」と述べています。
RBIは4月18日に民間銀行に仮想通貨取引所へ金融サービスの提供を行わないよう通知しており、この禁止令はすべての仮想通貨関連の活動を強制的に停止させることとなりました。
スワラジ氏は「オファーを受け入れるにはどんなに良いことであっても定められた規制に反するだろう」と述べており、「ベネズエラの提案を拒否する決定は最近の米国政府の制裁によるものではない」と主張しています。
「インドは各国が設定した一方的な制裁ではなく、国連が制定した制裁と規制に従う」
「われわれは外交政策を他の国々から圧力をかけて行うわけではない」
インドはカラカスやテヘランに関する国連からの制限を認めているが、米国からの制限は認識していないと述べています。
インドの仮想通貨事情
イランとベネズエラは米国が課した制裁を回避するために、仮想通貨の使用に関する他の国々との協力に努力していますが、インドでは政府が仮想通貨の導入に断固として反対しているにもかかわらず、仮想通貨は着実に成長しています。
インドの中央銀行(RBI)は支配下にあるすべての銀行および事業体が仮想通貨に関与する個人または団体との取引を禁じることを決定し、仮想通貨取引所CoinRecoil(コインリコイル)に対して法的な明確化のために高等裁判所に向かうよう促しました。
CoinRecoilはデリー高裁にこの件を提起しており、銀行の地位が国の憲法に違反していると主張しています。
RBIの決定は7月6日に効力を発することとなっているため、投資家はそれまではルピー(INR)で仮想通貨を購入することができるものの、その日以降は仮想通貨同士のみでの取引だけが許可されることとなります。
Bitfinexはペトロなどの仮想通貨の受け入れを拒否
世界最大の仮想通貨取引所の1つであるBitfinex(ビットフィネックス)は、政府の支援を受けた仮想通貨をプラットフォームに記載することを拒否しています。
Bifinexは「ベネズエラに対する米国の制裁のために、ペトロは十分な安定性を提供していない」としており、「コインを受け入れるつもりはない」と述べています。さらにBitfinexは、ペトロと同じ条件を提示するトークンやコインに関しても、受け入れるつもりはないことも語っています。
ペトロに関するこれまでの厳しい圧力
ペトロはこの他にも今までに多くの批判的な意見や厳しい圧力を受けています。
今年の3月には、アメリカのドナルド・トランプ大統領がペトロの取引を禁止するとの大統領令を発表しました。
この規制はベネズエラ政府へのさらなる圧力となり、この大統領令により米国民は原油価格と連動する仮想通貨ペトロを使った取引に関与することが禁じられています。
また批判的な意見はベネズエラ国内からも出ており、ベネズエラの国会は3月にペトロの発行は国内法の下では違法であるとの判断を下しています。
厳しい状況の続くベネズエラ政府発行の仮想通貨Petro(ペトロ)には今後も注目が集まります。