コスロシャヒCEO、ステーブルコイン活用を検討
配車サービスを展開する米Uberのダラ・コスロシャヒCEOは2025年6月5日、米サンフランシスコで開催されたブルームバーグ・テック・サミットの講演で、決済コスト削減に向けた取り組みとしてステーブルコインの活用を検討していることを明らかにしました。
同氏はグローバルな資金移動手段としてステーブルコイン技術に注目しており、その導入によって従来の銀行送金よりも迅速かつ低コストで世界各国への支払いを処理できる可能性があると説明しています。
また、コスロシャヒ氏は「ステーブルコインは仮想通貨の中でも特に興味深い存在であり、価値の保存手段を超えた実用的な利点を持つ」と強調しました。
法定通貨建てのデジタル資産を活用することで海外送金の決済をほぼ即時に行い、各国の銀行間送金にかかる為替手数料など、複数の中間コストを削減できる可能性があるとしています。
ステーブルコイン「RLUSD」を公式トークンに
Uberが進める仮想通貨決済構想
ステーブルコインの導入検討と実用性
コスロシャヒCEOは講演の中で、ステーブルコインについてさらに踏み込み「ステーブルコインには、従来の仮想通貨が主に価値の保存手段として利用されてきた用途を超え、実用的なメリットがある」と述べています。
特に「グローバル企業が国際的に資金を動かす上で、ステーブルコインは非常に有望だ」と評価しており、Uberとしても非常に関心が高く、今後積極的に検討を進めていくとの考えを示しました。
ただし現時点ではあくまで「検討段階」に留まっており、実際の導入にあたっては運用面・規制面・技術面の要素を精査した上で判断すると強調しています。
コスロシャヒ氏は、今回の調査段階においてUberが仮想通貨そのものを保有することはない点も明らかにしており、仮に今後ステーブルコインを導入する場合でも既存の消費者保護ルールを順守した形で展開する方針であると述べています。
講演の締めくくりに同氏は「引き続きステーブルコインに注目し、社内で仮想通貨決済の導入計画を具体化していく」と語っており、これは各国の明確なルール整備を見極めながら進める考えであることも示唆されました。
仮想通貨への一貫した関心を示すUber
今回のステーブルコイン検討表明は、Uberにとって初めての仮想通貨分野への言及ではありません。
Uberは2019年、Facebook(現Meta)が主導して立ち上げたグローバル決済構想「Libra(後のDiem)」に創設メンバーとして参加しており、VisaやMastercard、PayPalなどと共に約1,000万ドル(約14.4億円)を出資して同プロジェクトを支援していた経緯があります
コスロシャヒ氏自身も近年一貫して仮想通貨決済への関心を示しており、2021年9月のCNBCインタビューでは「現在受け入れている各種法定通貨と同様に、取引通貨として仮想通貨やビットコイン(BTC)の支払いを受け入れることを検討している」と表明していました。
その際同氏は「Uberは企業資産としてビットコインを購入・保有しない。現金のような安定資産で資金を確保する」と述べ、仮想通貨決済の導入検討はあくまでユーザーの利便性向上が目的であることを強調しています。
さらに2022年2月にはブルームバーグの取材に対し「将来的に仮想通貨決済を必ず受け入れる」と断言する一方で「現時点では時期尚早である」とコメントし、具体的な対応はブロックチェーンの送金コスト削減や環境面の改善が進んでからになるとの見解を示していました。
コスロシャヒ氏は「送金手段としてのコストが十分に削減され、環境への配慮が進めば、我々は仮想通貨にもう少し踏み込んでいくだろう」とも述べており、こうした発言は今回のステーブルコイン導入検討の動きとも一致していると見られています。
「ダークステーブルコイン」が台頭する可能性
ステーブルコイン決済を加速させる需要と規制
急速に需要が高まるステーブルコイン
このようにステーブルコインは「法定通貨の安定性」と「ブロックチェーンによる迅速かつ低コストな送金」の長所を兼ね備えており、国際送金やグローバル決済の分野で需要が高まっています。
ステーブルコインは従来型の銀行送金に比べて高速かつ低コストな送金を可能にするため「国際送金手段として存在感を増している」との指摘もなされており、世界的企業の国際送金・資金管理において大きな効果をもたらすと期待されています。
各国で進む規制整備とUberへの影響
一方で、ステーブルコインの普及拡大に伴い各国で規制整備の動きも進んでいます。
米国では共和・民主の超党派議員によって、ステーブルコインの規制枠組みを明確にするための法案「GENIUS法案」が発議されており、2025年5月には上院での審議入りが予定されるなど立法化に向けたプロセスが最終段階に入っています。
業界団体のブロックチェーン協会も「仮想通貨業界に必要な明確なルールを示す重要な進展」として支持を表明しており、ステーブルコインに対する監督体制の整備を急ぐよう訴えています。
こうした規制面の動きは、グローバルに事業を展開するUberのような企業にとっても今後重要な意味を持つとみられており、法整備の進展次第では同社のステーブルコイン導入計画にも追い風となる可能性があります。
近年、ステーブルコインは多くの企業や金融機関にとって、国際送金コスト削減の鍵として注目を集めています。
今回Uberが示したステーブルコイン導入検討の動きは、国際送金コスト削減を目指す他の企業にも今後さらに広がると予想されています。
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Source:ブルームバーグ・テック・サミット
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