約5年続いたXRP訴訟、共同取り下げで終結
SECとRipple(リップル)社は2025年8月7日、第二巡回区控訴裁判所に共同で書類を提出し、双方の控訴を取り下げました。
これにより、2023年7月の地裁判決が最終確定し、仮想通貨XRPを巡る長期にわたる法的紛争は幕を下ろしました。
今回の発表を受け、市場は直ちに反応し、XRPの価格は前日比で一時約12%急騰しました。法的リスクの解消期待が投資家心理を改善させ、出来高の増加とともに価格上昇に拍車をかけたとみられています。
リップルの法務責任者スチュアート・アルダロティ氏はX(Twitter)で「これで一件落着。本来の仕事に戻ります」と投稿し、長期化した法廷闘争の終結に言及しました。
Following the Commission's vote today, the SEC and Ripple formally filed directly with the Second Circuit to dismiss their appeals.
The end…and now back to business. https://t.co/nVqthNcFOt
— Stuart Alderoty (@s_alderoty) August 7, 2025
委員会の今日の投票を受けて、SECとリップルは第二巡回区控訴裁判所に直接訴訟の取り下げを正式に申請しました。
これで終わりです。さて、仕事に戻ります。
SECとリップル、訴訟終結までの経緯と全容
XRPを未登録証券と主張したSECの訴え
この訴訟は2020年12月、SECが「リップルが仮想通貨XRPを未登録証券として違法に販売した」として提訴したことから始まりました。
SECは、リップルと経営陣が約13億ドル(約1,910億円)相当のXRPを無登録で販売し、証券法に違反したと主張しています。
訴訟の過程で、米ニューヨーク南部地区連邦地裁(トーレス判事)は2023年7月、双方にとって部分的勝敗が分かれる内容の判決を下しました。
判決は、一般投資家向けのXRP販売は有価証券の定義に該当しないとする一方で、機関投資家への直接販売については証券法違反に当たると認定しています。
地裁がリップルに科した罰金1億2,500万ドル
この判決により、リップルは1億2,500万ドル(約184億円)の民事罰金に加え、証券法違反の再発防止を目的とする恒久的な差止命令を受けています。
SECは一般投資家向け販売も違法と認めさせるために控訴し、リップルも不利な判断の見直しを求めてクロス控訴で応戦する姿勢を示していました。
その後、双方は差止命令の解除と罰金減額を条件に控訴取り下げを提案しましたが、トーレス判事は2025年6月26日にこれを却下しました。結果として、両者は条件を付さずに控訴を相互取り下げることで合意しています。
共同控訴取り下げによる最終決着
2025年8月7日、SECとリップルは控訴の共同取り下げ書類を第二巡回区控訴裁判所に提出しました。
この手続きにより地裁の最終判決が維持され、リップルに科された1億2,500万ドルの罰金と差止命令は引き続き有効となります。
なお、1億2,500万ドルのうち5,000万ドル(約74億円)は米国財務省に納付され、残る7,500万ドル(約110億円)はリップルに返還されることになります。
年間30兆ドルの送金処理に挑むXRP
XRPエコシステム拡大を支える企業の動き
XRPとリップル株を中核に据えるGalaxy社の投資戦略
米国の大手仮想通貨投資会社Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)は、2025年第2四半期の財務報告で、自社の投資ポートフォリオに約1,539万XRP(評価額約3,440万ドル/約50億円)を保有していることを明らかにしました。
同社の仮想通貨保有額は約35億6,000万ドル(約5,250億円)で、XRPはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)と並ぶ主要資産です。さらに、リップルの株式も約9,730万ドル(約144億円)相当を保有しています。
これらの保有状況は、機関投資家の間でXRPエコシステムへの信頼が高まっていることを示す事例として注目を集めています。
SBI、ビットコイン・XRP ETF計画
一方、日本ではSBIホールディングスがビットコインやXRPを組み入れた上場投資信託(ETF)の組成計画を発表しています。
このETFは金融庁の承認取得後に東京証券取引所への上場を予定しており、実現すれば国内初の公的枠組みによる仮想通貨ETFになる見通しです。
SBIは2025年7月末の決算説明会で、国内公募投信の「SBI Fund of 仮想通貨ETFs」と、東証への上場を予定する「SBI・ビットコイン/XRP ETF」の2種類を計画していると明らかにしました。
規制当局の承認が得られ次第に市場投入する方針であり、訴訟リスクの解消によるXRPの法的地位の明確化も追い風となっています。
SBI、日本初の暗号資産ETF2種を計画
訴訟終結で広がるXRP活用の未来
今回の訴訟終結により、XRPは法的地位の不透明さを解消し、企業や機関投資家による採用拡大が加速する基盤が整いました。市場関係者は長期的な成長への期待を一段と高めています。
リップルを巡る係争が終結したことで、同社は送金や決済インフラなど本業への注力を強化する見通しです。これにより、ブロックチェーン活用事例の拡大や新規提携の発表も期待されています。
XRPを含む仮想通貨市場全体も、今回の決着を好材料と受け止めています。規制明確化と投資環境の改善が進む中で、市場の信頼性向上と流動性拡大が一層進む可能性があります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.17 円)
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Source:SEC提出書類
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