コミュニティ投票でTRONの取引手数料大幅削減を可決
仮想通貨TRON(トロン/TRX)の創設者ジャスティン・サン氏は2025年8月29日、取引手数料を60%削減する提案がコミュニティ投票で可決されたことをX(旧Twitter)で明らかにしました。
今回の削減はネットワーク創設以来の最大規模で、日本時間29日21時に実装されています。サン氏はこの決定について「利用者が直接的な恩恵を受ける」と強調しています。
同氏は短期的には手数料収入の減少によりネットワーク収益に影響が及ぶ一方、取引コストの低下が利用拡大を促進し、長期的にはプラットフォームの成長につながるとの見解を示しました。
On August 26, 2025, the Tron Super Representative community proposed to reduce Tron network fees by 60%. This is the largest fee reduction since the founding of the Tron network. The proposal has already passed and will take effect at 20:00 (GMT+8) this Friday!
Here’s my view on…
— H.E. Justin Sun 👨🚀 (Astronaut Version) (@justinsuntron) August 29, 2025
2025年8月26日、Tronのスーパーレプレゼンタティブ(SR)コミュニティは、Tronネットワーク手数料を60%引き下げる提案を行いました。
これはTronネットワーク創設以来、最大規模の手数料引き下げです。提案はすでに可決されており、今週金曜日の20:00(GMT+8)から施行されます。
(後略)
主要L1価格競争が激化
TRONの手数料改革と市場拡大
60%削減により期待される利用拡大
ジャスティン・サン氏は提案可決を受け、自身のX(旧Twitter)で手数料60%削減の内容を説明しています。
サン氏は、ユーザーにとってこの手数料削減は実質的な利益となるとした上で、60%もの引き下げは「どのブロックチェーンにおいても大胆かつ珍しい試み」と述べました。
また、短期的には収益性に影響が出るものの、長期的にはユーザー数と取引量の増加によって収益性が改善すると指摘し、当面の減収を認識しながらも将来的な成長に自信を示しました。
その具体例として、TRONスーパーレプレゼンタティブ(SR)がエネルギー単価を210 sunから100 sunへ引き下げる案を提示しており、四半期ごとにTRXの価格動向や取引量を踏まえた手数料の見直しを行う計画としています。
利用増加に伴う手数料上昇の課題
TRONはもともと低コストで知られるブロックチェーンでしたが、直近では利用増加に伴い取引手数料が高騰していました。
ブロックチェーン分析のデータによると、TRON上の平均手数料は直近で約1.70ドル(約250円)まで上昇し、2024年12月には1回あたり約2.50ドル(約370円)に達したとされています。
手数料高騰の一因としてTRX価格の上昇が挙げられ、今回の60%削減はそのコスト増への対策と位置付けられます。
USDT・USDC利用者が享受する低コスト取引環境
TRONは高速かつ低コストの決済基盤としてステーブルコイン利用者の支持を集めており、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)など主要ステーブルコインが流通するエコシステムとなっています。
実際、TRON上のステーブルコイン発行残高は約810億ドル(約12兆円)に達し、イーサリアム(ETH)に次ぐ規模で全体の約30%を占めると報告されています。
サン氏は、手数料引き下げでユーザー負担を軽減し、安価な取引環境を維持することで「より多くのユーザーと取引がTRONに集まる」と述べています。
メタマスクが「TRON」を直接統合
トロンのコスト削減と外部連携で進む利用者拡大
MetaMaskがTRONに正式対応
ネットワーク手数料の引き下げと同時期に、TRONはユーザー基盤の拡大に向けた取り組みを進めています。
8月20日には、大手仮想通貨ウォレットのMetaMask(メタマスク)が開発主体のTRON DAOと提携し、MetaMask上から直接TRONエコシステムを利用できるようになりました。
MetaMaskは従来、イーサリアムをはじめ複数のブロックチェーンに対応していましたが、今回の提携で新たにTRONも追加されました。
これによりユーザーは、ブリッジやカスタムRPCの設定を行わずにTRONの分散型アプリケーション(DApps)や分散型金融(DeFi)にアクセスできるようになっています。
相互運用性強化で広がるトロンの可能性
TRON側は、MetaMask対応によりチェーン間の相互運用性が強化されると説明しています。さらに、ステーブルコインの採用が加速する中で、高い処理能力・深い流動性・低コストを備えたネットワークがデジタル金融の基盤として浮上していると指摘しています。
このMetaMaskとの連携は、相互運用性の強化に加えて、TRONの技術をより幅広い層に広げ、現実世界での採用を次段階へ押し上げる取り組みと位置付けられています。
外部ウォレットの統合と手数料構造の見直しにより、TRONは既存ユーザーの利便性を高めながら新規獲得を進め、ネットワークの活性化と利用拡大を図る方針です。
今回の手数料削減と外部連携は、TRONが低コストかつ利便性の高い基盤として利用拡大を狙う姿勢を示しており、今後の成長と競争力強化に注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.82 円)
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Source:ジャスティン・サン氏X投稿
サムネイル:AIによる生成画像



























