IBM、マルチチェーン対応の仮想通貨管理プラットフォームを発表|機関投資家向けに提供

IBM、マルチチェーン対応の仮想通貨管理プラットフォームを発表|機関投資家向けに提供(IBM launches multi-chain crypto management platform for institutional investors)
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IBMがカストディから決済までを一元化

米大手IT企業IBMは2025年10月27日、機関投資家向けの仮想通貨管理プラットフォーム「Digital Asset Haven」を発表しました。

この新プラットフォームは、銀行や政府機関などが仮想通貨のライフサイクルをカストディ(保管)から取引、決済まで一元管理できる統合ソリューションであり、コンプライアンス対応や他システムとの連携も可能と説明されています。

IBMによると、Digital Asset Havenはマルチチェーン対応ウォレットやポリシー駆動型のトランザクション機能、KYC(本人確認)・AML(マネーロンダリング対策)統合などを備えています。

さらに、MPC・HSM・オフライン署名を組み合わせた鍵管理モデルや機密コンピューティングによる高度なセキュリティも特徴とされています。

IBMの新プラットフォームが備える5つの機能

IBMによると、Digital Asset Havenはトークン化資産やステーブルコインの普及を見据え、金融機関や企業にセキュアでスケーラブルなデジタル資産基盤を提供することを目的としています。

開発にはデジタルウォレット基盤プロバイダーであるフランス企業Dfnsが協力しており、IBMは同プラットフォームが政府や企業が求める高いレジリエンスとデータガバナンスを提供すると強調しています。

Digital Asset Havenの主な特徴として、IBMは次の点を挙げています。

  • マルチチェーン対応ウォレット
    APIやSDKを通じてウォレットの迅速な発行・管理が可能で、40以上のブロックチェーンに対応
  • ポリシー駆動型トランザクション
    スマートコントラクトの実行やカスタム署名に対応した自動化された取引フローを備え、社内承認プロセスに沿った複数当事者による承認を実現
  • KYC・AML統合
    KYC(本人確認)やAML(マネーロンダリング対策)などのサービスがあらかじめ組み込まれており、オープンAPI経由で既存の銀行システム等とも連携可能
  • 柔軟な鍵管理モデル
    単一のプラットフォーム上でMPC(分散署名)、HSM(ハードウェア署名)、オフライン環境でのコールドウォレット運用など、複数の鍵管理方式を使い分けることが可能
  • 機密コンピューティングによる高度なセキュリティ
    IBMのメインフレーム技術を活用した機密計算環境により、鍵の生成や署名など重要な処理をハードウェアで隔離し、内部者による不正や改ざんのリスクを低減

なお、Digital Asset Havenは2025年第4四半期(10~12月)にSaaS形式で提供開始予定で、オンプレミス版は2026年第2四半期(4~6月)に提供される見込みです。

大手金融機関の仮想通貨参入が加速

今回のIBMによる発表は、2025年時点で加速する大手企業の仮想通貨ビジネス参入の流れの一環とみられます。

10月11日、米大手銀行モルガン・スタンレーは、富裕層に限定していた仮想通貨ファンドへの投資アクセスを全ての顧客に開放すると明らかにしました。

この動きを受け、ビットコイン支持者で米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)社共同創設者のマイケル・セイラー氏は「ビットコインの機関採用における新たな節目だ」と評価しています。

また、資産運用世界最大手のBlackRock(ブラックロック)は、自社の現物ビットコインETFの運用資産が10月初旬に1,000億ドル(約15兆円)を超えたと明かし、ラリー・フィンクCEOは同ETFが「ゼロに近い規模から急成長した」と述べました。

こうした動向は、2025年に入り大手金融機関による仮想通貨市場参入が本格化していることを示しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル= 152.65 円)

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Source:IBM公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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