仮想通貨投資がアジアの富裕層に浸透
スイスのデジタル資産銀行であるSygnum(シグナム)は、2025年12月11日に最新の調査結果を発表し、アジアの富裕層投資家の約6割が今後仮想通貨のポートフォリオ比率を引き上げる計画であることを明らかにしました。
同社レポート「APAC富裕層レポート2025」によると、対象者であるアジアの富裕層・およびプロ投資家の87%はすでに仮想通貨(暗号資産)を保有しており、そのうち約半数は総資産の10%以上を仮想通貨に割り当てています。
こうした調査結果からは、富裕層が仮想通貨をより本格的に活用し始めている傾向がうかがえます。
実際に、回答者の90%は仮想通貨を「長期的な資産保全・継承において重要な役割を果たすもの」と見なしており、資産分散の手段として位置付ける姿勢が鮮明になりました。
2025年版仮想通貨採用ランキング
アジア富裕層による仮想通貨需要の背景とは
富裕層の仮想通貨保有比率と投資意識の変化
本調査はアジア太平洋地域の10市場(シンガポール、香港特別行政区、インドネシア、韓国、タイなど)で富裕層およびプロ投資家270名以上を対象に実施されました。
回答者の87%がポートフォリオに仮想通貨を組み入れており、そのうち約半数では総資産の1割超をデジタル資産が占め、富裕層の仮想通貨保有比率の中央値は10~20%に達しています。
同レポートによれば、アジア富裕層の仮想通貨に対するスタンスは成熟段階に入っており、回答者の90%が仮想通貨を長期的な資産保全や遺産承継に重要とみなし、もはや短期売買の対象ではないと捉えています。
こうした投資意識の変化は、実際の投資判断にも反映されています。回答者の56%が「ポートフォリオ分散」を重視しており、短期トレードやメガトレンド投資を上回る結果となりました。
富裕層は積極的運用やアウトソーシング運用、さらには利回り追求型の戦略にも関心を示し、仮想通貨を既存の資産運用枠組みに組み込む傾向が強まっています。
規制環境の整備が富裕層の投資を後押し
シグナム共同創業者でAPAC CEOのジェラルド・ゴー氏は、仮想通貨について「すでにAPAC地域のプライベートウェルス・エコシステムにしっかり組み込まれている」と述べています。
さらに同氏は、シンガポール金融管理局(MAS)の枠組みや香港の規制整備を背景に「もはやプライベートバンクがこの需要に応えるか否かではなく、いつ応えるかの問題だ」と強調しました。
また、足元の不透明感が残る中でも戦略的な資産分散や世代間の資産計画、機関投資家水準の投資商品の需要が原動力となり仮想通貨の採用が加速しているとゴー氏は指摘しています。
ソラナETFやステーキング型商品の関心拡大
さらに、仮想通貨関連の投資商品に対する具体的なニーズにも顕著な傾向が見られました。
調査対象者の80%がビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)以外の仮想通貨を対象とするETFへのアクセスを望んでおり、特にソラナ(SOL)は52%の回答者が投資先として需要が高い銘柄に挙げています。
ステーキング報酬付きETFが提供されれば「投資を増やす/開始する」と答えた人は70%に上りました。
安全なカストディ(資産保管)体制も重要で、富裕層投資家の66%が「プライベートバンクや資産管理会社が高度な保管・セキュリティ態勢を示すこと」が仮想通貨投資の前提条件になると回答しています。
機関投資家の67%が強気
仮想通貨は機関投資家主導で主流化へ
今回の調査結果は、2025年に加速する仮想通貨の主流化動向を裏付ける内容となっています。
例えば米大手銀モルガン・スタンレーは10月、富裕層向け仮想通貨ファンドへの投資制限を撤廃し、全顧客にビットコインやイーサリアム投資商品の提供を開始しました。
ストラテジー(旧マイクロストラテジー)共同創業者のマイケル・セイラー氏はこの動きを「ビットコインの機関投資家導入における新たな節目」とX(旧Twitter)上で評価しています。
さらに、ビットコイン価格は10月に過去最高となる12万6,000ドル(約1,940万円)超を記録し、香港でのステーブルコイン法整備など地域の規制強化も市場の信頼感を後押ししています。
富裕層や機関投資家の参入が進む中で、仮想通貨は「いつ主流になるか」という段階へと移行しつつあるとみられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.78 円)
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Source:Sygnum調査
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