Exor保有株を対象にユヴェントス買収を提示
ステーブルコイン「USDT」を発行しているTether(テザー)社は2025年12月12日、イタリア・トリノを本拠地とする名門サッカークラブ「ユヴェントス・フットボールクラブ」の買収提案を正式に提出したと発表しました。
テザー社は、アニェッリ家が経営する持株会社Exor(エクソール)が保有するユヴェントスの全株式(発行済株式の65.4%相当)を、現金による買収対象として提示しています。
この提案では、規制当局の承認を前提にオールキャッシュ(全額現金)方式で取引を進め、残りの株式についても同一価格で公開買付けを行う意向を示しています。
また、提案が成立した場合には、買収とは別にクラブの支援と発展を目的として総額10億ユーロ(約1,830億円)を投資する見込みです。
テザー社CEOのパオロ・アルドイノ氏は、ユヴェントスへの個人的な思い入れとクラブ価値への敬意を表明するとともに、同社の資本力による長期的な支援意向を強調しています。
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ユヴェントス買収提案に見るテザー社の長期戦略
全株取得を視野に入れたテザー社の買収条件
提案書によれば、テザー社はExorが支配するユヴェントスの発行済株式の65.4%を対象に買収を提案し、規制当局の承認後には一般株主にも同条件で株式公開買付けを行うことで全株取得を視野に入れる方針を示しています。
テザー社は、ユヴェントスが長年にわたってイタリアスポーツ界において規律や野心、高い競争力を象徴してきたと評価しており、これらの方向性に沿った長期的な支援を目指すとしています。
また、提案書は買収が完了した場合の投資計画として、クラブのスポーツ成績向上や持続可能な成長支援を目的とした10億ユーロ規模の資金提供を明示しています。
Exorの対応と買収交渉の行方
こうした提案の経緯に関連して、一部報道では、テザー社がすでに2025年中にユヴェントス株の少数株を取得し、同クラブにおける影響力を高めていると伝えられています。
ただし、現状では買収提案が受け入れられるかどうかは不透明であり、Exorの正式な回答や規制当局の審査結果が今後の焦点になるとみられています。
買収が完了した場合には、テザー社がクラブ運営に関与する前提での支援方針が示されています。
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ユヴェントス買収提案を巡る今後の焦点
今回の買収提案は、規制当局の承認やExor側の判断を前提とするものであり、記事執筆時点では正式な合意に至っていないものの、こうした前提条件を踏まえた今後の協議や審査の動向が注目されます。
テザー社は公式発表の中で、短期的な投資回収を目的とするものではなく、ユヴェントスの競技面および事業面の安定と成長を長期的に支える意向を示しています。
同社が掲げる資本注入や運営支援の方針がどのような形で具体化されるのかは、今後の交渉過程と規制判断を通じて明らかになる見通しです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ユーロ=182.94 円)
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Source:Tether公式発表
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