仮想通貨の税制改革が前進、米下院「法案草案7本」を公聴会審議へ

仮想通貨の税制改革が前進、米下院「法案草案7本」を公聴会審議へ

この記事の要点

  • 米下院歳入委の共和党指導部が仮想通貨税制の法案草案7本を配布
  • ステーキング報酬の課税繰延・ガス代非課税など業界の長年の要望が審議へ
目次

仮想通貨の税制改革、米議会が7案提示

2026年6月5日、米下院歳入委員会の共和党指導部が仮想通貨(暗号資産)の税制に関する7本の法案草案を配布したことが明らかになりました。

Decryptの報道によると、草案にはステーキングマイニング報酬の課税時期を見直す規定や、ネットワーク手数料(ガス代)に10ドル(約1,500円)の少額非課税枠を設ける内容が含まれており、米議会では仮想通貨税制を個別テーマごとに立法化する議論が進められています。

今回公開された7本の草案は6月9日に予定される下院歳入委員会の公聴会で審議される見通しで、仮想通貨関連税制を上下両院いずれかの指導部が主導して審議するのは初めてだと報じられています。

一方で、ステーブルコインビットコイン(BTC)を利用した日常決済に包括的な非課税枠を設ける規定は含まれておらず、業界団体や関連企業が求めてきた少額決済向け税制改革については引き続き今後の立法議論に委ねられることになりました。

ステーキング課税とガス代、公聴会へ

ステーキング課税、現行制度を大幅改正へ

Decryptによると、現行制度ではイーサリアム(ETH)ソラナ(SOL)などのネットワークでステーキングを行う利用者は、報酬を売却していなくても所得として申告しなければならないとしています。

こうした扱いをめぐっては、報酬の発生時点を課税タイミングとみなすべきかを巡って解釈が分かれており、取得時と売却時の双方で課税対象となる可能性があるとして業界側から制度見直しを求める声が続いてきました。

今回の草案のうち、「マイニング・ステーキング課税明確化法」は報酬の受領時課税を見直す内容を盛り込んでおり、成立した場合は売却時まで課税を繰り延べる扱いになると伝えられています。

ガス代課税を免除、年5,000件まで適用へ

ガス代の課税を緩和する別の法案は、ネットワーク手数料10ドル(約1,600円)以下の取引を非課税とする内容で、同報道によると年間最大5,000件の取引に適用できるとしています。

現状ではブロックチェーン上の全取引を申告する必要があり、数セント規模の少額取引も課税対象となっています。

このため、利用者は取引履歴の管理や税務計算に対応しなければならず、実務上の負担が課題とされてきました。

未納税者に2年の自主申告期間を付与

また今回配布された草案には、過去に仮想通貨の納税を怠った保有者に2年間の自主申告期間を与える自主開示制度法案も含まれており、期間中に税を納付した場合は将来的な刑事責任を免除する内容になっていると報じられています。

このほか、デジタル資産の売却益の10%以上を外国に所得税として支払った米国市民を、特定の売却取引について米国居住者として扱わない規定を設けた法案も草案の一つとして提示されています。

300ドル免税枠は見送り、隔たり残る

シンシア・ルミス上院議員が2025年7月に提出した仮想通貨税制法案は、1件300ドル(約4万8,000円)の少額非課税枠と年間上限5,000ドル(約80万円)に加え、ステーブルコイン決済の非課税化も盛り込む内容でした。

一方、今回の7本にはこうした日常決済向けの包括的な非課税措置は盛り込まれておらず、業界団体などが求めてきた制度改革との間には依然として隔たりが残っています。

GENIUS法によってドル連動型ステーブルコインの法的位置付けが整備されるなか、決済利用の拡大が進んだ場合でも現行制度では支払いのたびに譲渡益(キャピタルゲイン)課税の計算が必要となるため、この論点も公聴会で取り上げられる可能性があります。

テーマ別7法案で超党派成立を目指す

報道によれば、今回公表された草案は、マックス・ミラー下院議員(共和党・オハイオ州)とスティーブン・ホースフォード下院議員(民主党)が提出した超党派の「デジタル資産PARITY法案」を個別テーマごとに切り分けた内容となっています。

ステーキング課税やガス代課税、自主開示制度などを個別の法案として切り分けたことで、論点ごとの審議が可能となり、超党派の支持を得やすくする狙いがあるとみられています。

こうした法案作成の過程について、仮想通貨業界団体The Digital ChamberのコーディCEOは数か月にわたり議会関係者と業界側の協議が続けられてきたと説明しており、法整備に向けた取り組みが具体段階へ移ったとの認識を示したと報じられています。

米国では市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」の上院審議が続くなか、ステーブルコイン規制を定めるGENIUS法に続いて仮想通貨税制の整備も議会の議題に加わっており、6月9日の公聴会では今回公表された各草案が審議される見通しです。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=160.30 円)

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Source:Decrypt報道
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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