この記事の要点
- 元イーサリアム財団メンバーが「中核開発資金が3〜9ヶ月で尽きる」と警告
- 財団の支出削減とCIP終了で年間48億円規模の資金に空白
イーサリアム中核開発に資金枯渇の懸念
イーサリアム財団(EF)の元メンバーであるトレント・バン・エップス氏は2026年6月18日、イーサリアム(ETH)の中核開発を支える資金が3〜9ヶ月以内に枯渇しかねないと警告しました。
同氏は2021年5月から2026年4月まで同財団に在籍し、コア開発の調整や資金面の取り組みに関わってきた経緯から、今回の問題を一時的な資金不足ではなく、開発体制そのものに影響を及ぼしかねない課題として位置付けています。
背景には、財団による支出抑制の方針と、開発チームを支援してきた奨励プログラムの終了が重なったことがあるとされ、これまで維持されてきた資金供給の仕組みに変化が生じています。
エップス氏は、開発者コミュニティの継続的な活動を支えるためには資金面の対応だけでは不十分であり、財団・開発者・コミュニティの役割分担を含む新たな枠組みの整備が必要だと訴えました。
「財団は並列ノードの一つ」
イーサリアム財団の縮小が開発現場を直撃
自ら小さくなる方針と残る求心力
エップス氏が関係の見直しを求める背景には、財団が自らの影響力を段階的に小さくしていく「Subtraction(サブトラクション)」という方針と、現実に残る影響力の大きさとのあいだに生じたずれがあります。
財団は2019年の公式ブログで、組織が価値を自らのうちに抱え込もうとする傾向に抗い、その価値を財団の外側に広がるエコシステムで生み出すことを目指すと説明していました。
2026年3月に公表した活動指針でも、財団は自らの相対的な影響力を時間をかけて縮小する方針を改めて掲げ、これを撤退や妨害ではなくイーサリアムを成熟させるための過程にあたるとの考えを示しました。
エップス氏は、この方針が財団を唯一の権力の中心にしない姿勢を示した一方で、財団が何を担い、何を担わないのかという線引きが十分に共有されておらず、正当性の源泉は依然として財団に集中していると指摘しています。
実際に同氏は、10年以上かけて築かれた「Ethereum」ブランドへの信頼や、創設者ヴィタリック・ブテリン氏の関与、中核開発者の約25%を雇用してきた実績などをその正当性の源泉として挙げました。
さらに同氏は、正当性は最終的に資金力によって支えられており、その資金を担ってきた財団の財務状況こそが現在もっとも大きく変化している要素だと強調しています。
開発資金を細らせる2つの構造変化
こうした財務面の変化は、この1年で支出の抑制と奨励プログラムの終了という形で表れ、開発の現場にも影響を及ぼし始めています。
1つ目は、財団が2025年6月に公表した財務方針に沿った支出の抑制で、年間の支出比率を現在の15%から2030年までに5%へ段階的に引き下げる計画を進めています。
2つ目は、各クライアントの開発チームをステーキング報酬で支えてきた奨励プログラム(CIP)の終了で、4年間続いたこの制度は2026年4月に期限を迎えました。
後継となる仕組みは示されておらず、この2つが同時に重なったことで、従来は財団が担ってきた開発支援の空白が生じる可能性があるとエップス氏は懸念しています。
同氏の試算では、10を超えるクライアント開発チームに加え、研究や開発調整などの活動を維持するためには、年間で約3,000万ドル(約48.4億円)規模の資金が必要になるとしています。
そのうえでエップス氏は、多くのチームで手元資金が3〜9ヶ月以内に尽きる可能性があるとして、コア開発の継続体制そのものに影響が及びかねないとの認識を示しました。
「社会契約」の再設計が急務に
エップス氏は、こうした資金難への対応は目先の補填だけでは足りないとして、財団・開発者・コミュニティの間で結ばれた「社会契約」を定義し直す必要があると主張しています。
その根拠として、創設者ブテリン氏が、財団は当初トークンセール(ICO)で定めた限られた範囲の開発を担うために設計され、永続的な管理者となることは想定されていなかったと述べた点を挙げました。
エップス氏は、この世代交代を単なる財団の後退に終わらせないためにも、権限を引き継ぐ新たな組織や、中立性と説明責任を備えた資金調達の仕組みを整える必要があると訴えています。
ただし同氏は、コア開発の資金が財団に代わって民間のスポンサーや取引所に頼る形へ移れば、特定の利害から切り離されてきた開発の中立性が損なわれかねないとも指摘しています。
3層移行ロードマップを公開
資金枯渇懸念のなかGlamsterdam前進
今回の警告が公表されたのは、財団の役割や透明性をめぐる議論が続くなか、次の大型アップグレード「Glamsterdam(グラムステルダム)」が最終調整段階に入った時期にあたります。
このアップグレードでは、ネットワークを支える実行・合意の両クライアント(中核ソフト)の更新が必要となり、その担い手は今回の資金不足の影響を受ける可能性がある開発者たちと重なります。
こうした規模の資金を埋め合わせる後継の仕組みは今のところ示されておらず、財団や開発者コミュニティの対応が求められる状況となっています。
正式な有効化日程が未定となっているGlamsterdamの実装作業が進む一方で、開発チームを支える後継の資金支援策は現時点で示されていません。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=161.30 円)
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Source:エップス氏ブログ
サムネイル:AIによる生成画像


























