米NH州「ブロックチェーン基本法」が成立|仮想通貨の自己管理権を法制化

米NH州でブロックチェーン基本法が成立|仮想通貨の自己管理権を法制化

この記事の要点

  • ニューハンプシャー州知事がブロックチェーン基本法に署名
  • セルフホスト型ウォレットやマイニングを法的保護
目次

NH州、自己管理ウォレットの権利を法制化

米ニューハンプシャー(NH)州のケリー・アヨット知事は2026年7月11日、HB 639「ブロックチェーン基本法(The Blockchain Basic Laws)」を含む38本の法案に署名しました。

HB 639はNH州法にRSA 359-V章を新設し、個人がセルフホスト(自己管理)型ウォレットでデジタル資産を自己管理する権利を法的に保護すると定めています。

あわせて、州・地方政府がデジタル資産による合法的な商品・サービスの購入を禁止・制限することや、決済に利用されたことのみを理由に特別な税・課徴金を課すことも禁じられました。

NH州では2025年5月に全米初のビットコイン(BTC)準備金法(HB 302)が成立しており、今回のHB 639は同州におけるデジタル資産関連政策をさらに拡大する法整備となります。

州法が定める5つの保護規定と紛争処理制度

RSA 359-V章では、デジタル資産利用者の自己管理権やマイニング事業者の活動、秘密鍵の保護など、個人・事業者双方に関わる幅広いルールが定められました。

条文 主な保護内容
359-V:2 デジタル資産による決済・自己管理を州・地方政府が制限することの禁止
359-V:3 住宅地・工業地域でのマイニング容認と差別的な電力料金設定の禁止
359-V:4 秘密鍵の開示強制からの保護
359-V:5 スマートコントラクトを通じた信託の承認
359-V:6 ノード運用・マイニング・ステーキングの送金業者ライセンス免除

マイニング・ステーキングの法的保護

マイニングに関する359-V:3条では、地域の騒音条例を順守することを条件に、住宅地域でのホームマイニングを認め、事業者によるマイニングは工業用途の区域で実施できると定めています。

州・地方政府はホームマイニングだけに異なる騒音基準を設けることができず、工業区域でもマイニング事業のみを対象とした規制や差別的な電力料金の設定は禁止されています。

また359-V:6条では、ノード(ブロックチェーンの取引記録を保持・更新する機器)の運用やマイニング、ステーキングを行う個人・事業者について、それらの活動だけを理由に送金業者としての登録を求めないことを明記しました。

さらに、マイニングやステーキング関連サービスについて、州証券法上の証券または投資契約の募集には該当しない扱いも明確化されています。

秘密鍵の保護規定とスマートコントラクト信託

秘密鍵を保護する359-V:4条では、デジタル資産の管理に用いる秘密鍵(プライベートキー)の開示を原則として強制できないことが定められました。

対象となるのは民事・刑事・行政・立法の各手続きで、裁判所が例外的に開示を命じる場合でも、他の手段では合理的に情報を取得できず、非開示によって回復不能な損害が生じることを明白かつ説得力のある証拠で示す必要があります。

359-V:5条では、スマートコントラクトを通じて管理される信託がNH州の裁判管轄に服する条件を定めるとともに、分散型スマートコントラクトには「履行不能」の推定的な抗弁も認めています。

ブロックチェーン紛争の専門裁判制度を導入

さらにHB 639では、ブロックチェーン関連の紛争を専門的に扱う「Blockchain Dispute Docket」をNH州の上級裁判所に設置する制度も盛り込まれました。

当事者が管轄に同意し、紛争がブロックチェーン技術に関するものである場合は、契約違反や詐欺、不法行為などの関連紛争を審理できるとしています。

初代裁判長は、知事が執行評議会(州の重要案件を審査する合議機関)の同意を得て任命することとされ、法律とテクノロジーの双方に知見を持つ人物が要件となっています。

HB 639は、キース・アモン州下院議員(共和党)が筆頭提出者を務め、共和党所属の州議会議員7名とともに2025年1月に提出されました。

1億ドルのBTC担保地方債は否決に

NH州の執行評議会は2026年7月8日、州の経済開発を担うビジネス金融庁(BFA)が計画していた1億ドル(約162億円)規模のビットコイン担保地方債について、3対2で発行を否決したと報じられています。

この地方債は、BFA理事会が2025年11月に「世界初のビットコイン担保地方債」として承認しており、発行には知事と執行評議会による最終承認が必要とされていました。

その後、格付け会社Moody’s(ムーディーズ)の格付けを取得し、2026年3月には米地方債で初めてビットコインを担保とする案件として報じられていましたが、最終的な承認には至りませんでした。

今回のHB 639の成立によりデジタル資産の利用環境に関する法整備が進む一方、ビットコイン担保地方債の発行は承認されず、NH州では制度整備と金融活用で異なる判断が示されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=162.42 円)

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Source:NH州議会 HB 639法案テキスト / NH州知事室発表
サムネイル:AIによる生成画像

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