ケニア独立選挙・区割委員会(IEBC)は、ブロックチェーン(Blockchain)を利用してリアルタイムで投票結果を確認することもできる選挙改革を進めています。大統領選に関連する暴動で大勢の死者を出した歴史を持つケニアでは、この新しい『電子投票システム』に強い期待が高まっています。
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ケニアの選挙問題
ケニア独立選挙・区割委員会(IEBC)の議長であるWafula Chebukati(ワフラ・チェブカティ)氏は、この技術は2007年と2017年の選挙時に起きた悲劇を繰り返さないために使用されると説明しています。
ケニアでは2007年の選挙後に与野党の支持者たちによる大規模な暴動が発生しており、1,100人以上の死亡者が出るという悲惨な結果を招いた歴史を抱えています。また2017年の大統領選挙では、選挙前に選挙管理委員会の幹部が殺害されるという事件も発生しました。
昨年行われたこの選挙では、最終的に最高裁が『各陣営の開票立会人の署名がない集計結果用紙が多数見つかるなど、投開票時の手続きに不備があった
』と指摘し、大統領選の結果が正式に覆されるというアフリカで初めての事態を招いています。
2017年の選挙は2007年ほどの悲惨な結果にはなっていませんが、元々当選したとされていた側の陣営が『選挙管理委員会のサーバーをハッキングして投票結果を改ざんした』などと主張したことによって、政党の支持者たちの抗議に発展し、最終的には首都ナイロビのスラム街などで警官隊と衝突することになった結果、少なくとも24人が死亡したと伝えられています。
このような現状を受けたIEBCは、すべての人々が選挙結果を受け入れることができるようにするために透明性の高い新しい投票方法を導入することを検討しています。
「シリコン・サバンナ」ブロックチェーン活用へ
ケニアは東アフリカのシリコンバレーとも言われており、別名『シリコン・サバンナ』としても知られています。
同国はデジタル決済の分野において世界をリードするほどの急速な成長を遂げた国でもあり、テクノロジーの分野において注目を集めています。
ケニアのブロックチェーン協会(Blockchain Association of Kenya)は、国の深刻な選挙問題を解決するためにブロックチェーン技術を使用することを長い間主張してきました。
2017年の大統領選挙の後にIEBCは、ブロックチェーン技術と分散型台帳技術を採用することができる選挙改革を進めています。
IEBCは声明の中で、委員会のタスクフォースによって法改正のプロセスを導くために提唱された「優先分野」の一環として、ブロックチェーン技術の使用を挙げています。これにより、選挙における投票プロセスに透明性をもたらし、不正行為が行われる可能性もほとんどありません。
またケニアではこの他にも『土地登録』にブロックチェーン技術を導入することを計画しています。ブロックチェーン上でデータを記録することによって、一部の役人が賄賂と引き換えにそれらの情報に詐欺的な変更を加えるのを防ぐことができます。
ブロックチェーン投票システムの普及
ブロックチェーン技術で選挙の不正行為をなくそうとする試みはすでに複数の国で行われています。
アメリカやロシアの一部の地域でもブロックチェーン技術を活用した『電子投票システム』のテストが始まっており、ウクライナでは仮想通貨ネム(NEM/XEM)の技術を用いた実証実験が行われています。
2018年に入り積極的に研究が進められているブロックチェーンでの選挙投票は今後世界中でさらに導入に向けた取り組みが進められていくことになると予想されます。
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