アラブ首長国連邦(UAE)政府は、2018年11月28日にアブダビで開催された第2回年次総会で、ブロックチェーン(Blockchain)や人工知能(AI)の分野を強化していくことを目的とした連邦クラスの大規模プロジェクトに取り組んでいくことを決定しました。
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ブロックチェーン・AI分野をさらに強化
アラブ首長国連邦(UAE)は、ブロックチェーン技術の発展を促進するための規制枠組みを定めており、世界的に見ても特に積極的に技術の活用に取り組んでいる国の一つとして知られています。
今回行われた会議では、外国からの投資を引きつけ、ブロックチェーンなどの最先端技術をサポートするために必要なインフラを構築するための仕組み作りについての話し合いが行われました。またこの他にも技術の採用に伴う「潜在的な課題」についての調査も行われており、これらのテクノロジーの有用性に関する適切な認識を広めることの重要性などについての意見も交わされています。
今回の会議では、AIやブロックチェーンの研究開発や各機関への導入をさらに強化し、それらの分野において世界的な地位を確立することなどを目指して以下の2つの政策に取り組んでいくことが決定されました。
AI・ブロックチェーン導入政策
「AI・ブロックチェーン導入政策(AI and Blockchain Guide initiative)」は、連邦レベルでAIやブロックチェーンの標準となる定義を決定することに焦点を当てると共に、それらのコンセプトを関連機関に導入して、急成長している技術の有用性を認識させることを目指しています。
AI・ブロックチェーン能力育成プログラム
「AI・ブロックチェーン能力育成プログラム(AI and Blockchain Capacity Building)」は、教育省の管轄の下でAIとブロックチェーン技術の大学課程と奨学金を提供し、あらゆる専門的な知識を身につけるための短期的なトレーニングプログラムを提供します。
最先端技術を導入しつつ「懸念点」にも対処
人工知能担当の国務大臣であるOmar bin Sultan Al Olama(オマール・ビン・スルタン・アル・オラマ)氏は、『UAE政府は、未来を形作る上で最先端技術の重要性を認識した先駆者である』と強調した上で次のように述べています。
UAEは、経済、健康、教育およびその他の重要な分野にAIやブロックチェーン技術を取り入れていくことを強く望んでおり、様々な政府、連邦、地方団体、国際企業、スタートアップ企業との間で協力関係を強化していくことによって、効果的かつ革新的なソリューションを探し出し、プラスの影響を与えていくことを目指しています。
UAEが取り組むこれらのプロジェクトの注目すべき点は、ブロックチェーンやAIの技術を導入することによって特定の分野の従業員数を削減するのと同時に、仕事を失った人々がその他の分野で活躍できるようにするための訓練を実施しようとしている点です。
AIなどの最先端技術は業務効率を飛躍的に向上させることができると期待されている一方で、導入することによって人間の仕事がなくなり、リストラなどの問題が増加することなどが懸念されていますが、UAEはそのような問題にも配慮した上での政策に取り組んでいます。
会議の参加者は、これらの戦略を通じて「アラブ首長国連邦が2031年までに人工知能の導入において世界トップの国になる」という目標を達成するために、国家関係者の間でさらなる能力を構築することの重要性を強調しています。またこの他にも「2021年までに政府取引の50%をブロックチェーン・プラットフォームに移行すること」も目指しているとされています。
ここ最近でブロックチェーンや仮想通貨の技術は世界中で活用され始めているものの、ブロックチェーン技術だけを受け入れる国や導入を拒む地域なども複数見られています。しかしUAEはブロックチェーンや仮想通貨、AIなどの様々な技術の利点をうまく活用し、それに伴う重要な問題にも目を向け、理想的な活用方法を模索しています。
すでに複数の仮想通貨プロジェクトも関わりを持っているUAEの複数のブロックチェーン・プロジェクトは、これから特に注目すべきものの一つであると言えるでしょう。
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